駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

正面から向き合わなくては

2020年07月26日 | 町医者診言

            

 

 ALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者さんの嘱託殺人と思われる事件が起きた。いつものように実行した医師の怪しげな背景や電子媒体を使ってのやりとりなどの興味本位な側面に注目が集まり、回復の希望のない苦しみが続く病人の安楽死希望に正面から向き合った議論は高まらない。

 自分で排泄の始末も出来ず、食事を味わうことも出来ず、もはや思い残すこともない思いを託す家族も居ない、寝ても覚めても痛い苦しいだけの生存を想像したことがあるだろうか。想像するのは難しい正面から直視しにくい厳しい問題だから直視を回避するのは避けようという感覚が根底にあるように思う。

 正確な情報かどうか分からないが、安楽死を考えている会?の人達からは、話にならないお粗末な愚行だという批判があるようだが、そうした反応もALSに苦しむ患者さんに現実に起きた嘱託殺人?を脇にやって問題に正面から向き合うことを遠ざけているように見える。

 語弊があるかもしれないが不快なこと面倒なことには向き合いたくない、そういう問題を持ち出す人物は排除してしまえという風潮が、結局は問題解決を先送りにし大破綻を招くと危惧する。

 新型コロナ対策にも不都合な現実を正面視して国民を率いていかねばならない首相が引きこもってしまっている。問題を先送りにしてほとぼりが冷めるのを待つというのは忘れっぽい国民性を見据えた狡猾な政治戦略かもしれないが、災害病気には無効だと申し上げたい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

エールが面白い、丸山九段強い

2020年07月25日 | 趣味

            

 

 殆どNHK朝の連続テレビ小説を見ることはないのだが、休みでエールをじっくり見ることが出来た。途中からなので分からないところもあるが面白く見た。役者が上手いというか、魅力がある。特に音というのが本当にこんな人だったのかどうか知らないが驚く行動で面白い。演技力という言葉だけでは不十分な魅力を感じた。映画は年に十本ほど見るが邦画は一二本だ。もう少し邦画を見てもよいかなと思い直した。

 丸山九段が竜王戦決勝トーナメントで藤井棋聖に先番で千日手になったあと、後手番で勝った。がっぷりの四つ相撲でぎりぎりの所を腰を落として寄せ切った。藤井棋聖はちょっと不利になってからが特別に強いのだが116手と粘らせず、1ミリの差を着実に広げ丸ちゃんスマイルが出た。丸山先生強いねえ、見直した。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

任せられない、面舵一杯

2020年07月24日 | 町医者診言

                 

 

 新型コロナの感染が再拡大している。政府の対応は行き当たりばったりで官邸は浮き足立っている。国の危機に首相が隠れて指導説明に出て来ないなどと言う事があって良いだろうか。

 尤も首相を責めても問題は解決しない。首相により良い施策を行わせるように圧力を掛ける必要がある。周りの国を見渡せば教師と反面教師が揃っている。まず危機に弱い加藤厚労省と忖度する尾身分科会長を交代させることだ。

 危機に強そうな桝添氏(もっと良い人が居るかも知れない)を厚労大臣に科学的で忖度しない黒川先生を分科会長にしたら良い。藻谷さんや上さんを委員に登用すべきだ。

 昨日テレビを見ていたらPCR検査が進まない理由に偽陽性で間違って陰性の人を拘束すると人権侵害になるので、それを恐れて役所が抵抗しているという証言があった。耳を疑う。まず、今までそれほど人権に配慮してきただろうかと疑問が浮かぶ。PCR検査を増やしたくないので持ち出した一見正しそうな理屈だろう。間違って陰性の人を拘束しても、それは勿論申し訳ないことだが意図的ではなく希なことで命には別状ない。それよりもPCR検査が不十分で正しい施策が出来ず、何千人も死者が増加し何万人も感染者が増加する方が重大な問題だ。

 医者の中にもPCR検査に偽陽性があるから偽陰性があるから増やさない方が良いという物事の軽重を理解できない人が居るようだが、偽陽性偽陰性の率を把握していれば評価出来ることだし、PCRが普及している国でそうしたことが問題になっているとは報じられていない。

 データと解釈で最善の政策を勧めないとアメリカブラジルに次ぐ国になる。ゴーツートラベルと言い出したのは誰か、三密に移動を加えるなんて馬鹿かと言いたい。デイブに言われるまでもなくゴーツートラブルになる。なぜ旅行観光を刺激しようとしたか、それは元気になったように見えるからだろう。印象操作と権力維持には長けてる官邸の考えそうな作戦だ。一将功ならず万骨枯るは愚の骨頂。

 小池知事には新型コロナの感染者数だけを勿体つけて発表するのをやめて欲しい。検査数検査対象陽性率占床率と組み合わせて発表しなければ意味がない。そうした数字の発表は長である知事の仕事ではない。知事は意味解釈と対策を説明するのが仕事でしょう。

 危機には科学的に対応しなければならない。科学的というのは先ず出来るだけ正確なデ-タを揃えて文献も読んで虚心坦懐に解釈すること、それを踏まえての英断が政治の仕事だ。 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

現代経済学を理解出来る本

2020年07月22日 | 学思

              

 

「現代経済学の直感的方法」(長沼伸一郎)を読んで現代経済学がどういうものか分かった。物事が分かるとはどういうことかよく分からないが、この本を読んでいくと成る程そういうことかと砂地が雨を吸い込むように理解することが出来た。経済学が分かったと久しぶりに脳が喜んだ。

 七十過ぎて新しい学問が分かったと感じることが出来るとは思わなかった。今までは何だか勿体を付けた言い回しと経済用語で不本意ながら、経済評論家や経済系議員のいうことに煙に巻かれてきたが、これで正体見たりと恐れることはなくなった。勿論、細かいところや技術的なところはたった一冊の本では知り得ないが、根幹を押さえることが出来たと感じられ自信が生まれ視界が開けた。

 長沼伸一郎氏は在野の理系の研究者のようだが凄い人だ。知る人には知られているようだが、分かるように説明する天才と思う。教師には分からないように説明する秀才が揃っていると憎まれ口も叩きたくなる。

 とにかく世の中を動かしている最大の力は経済なので、経済を学んだことのない世の中のことを色々考えるのが好きな人にはおすすめの本である。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

難題山積の新型コロナ対策

2020年07月21日 | 小考

            

 

 東京都の新型コロナ検査の陽性率がようやく毎日発表されるようになるらしい。

 日本は決して先進国ではなく、危機管理に優れているとは思えない。今のところまずまずに見えるのは民度が高く大人しい国民性と目を逸らせるのが上手い官邸の戦略によると思われる。

 新型コロナの性質はかなり分かってきたが未だ未だ不明の点も多い。確実なのは十一月以降寒くなるとインフルエンザが流行することだ。コロナも寒冷乾燥期には感染が広まりやすくなると予想されるので、医療機関は対応が難しくなる。新型コロナとインフルエンザを臨床症状で鑑別するのは困難で、迅速検査が必要となる。インフルエンザ診断は前線で簡単にできるのだが、新型コロナが混じっていると検査施行時に医療者に新型コロナが感染するリスクがあり、インフルエンザ検査に二の足を踏む医療機関が多いと予想される。そうすると、二十年前はそうして診断していたのだが、臨床症状で診断してインフルエンザの治療薬を出すことになるだろう。その場合は薬を所望する患者が多いだろうから使わないよりは使う医療機関が多いと思う。使い過ぎは個々短期では実害はなくても全体長期では耐性誘導で薬が効かなくなる恐れが出てくる。間違って新型コロナにインフルエンザ薬を出してしまい診断が遅れることも起きるだろう。今のところ唾液利用の新型コロナの迅速診断キットやワクチンが間に合うとは思えないので、医師と医師会への指針が欲しい。

 しかし首相も厚労相も、形勢不利とみるや口が達者な西村さんを矢面に立たせて雲隠れしてしまう。痩せぎすではあるがタフな西村さんは弁慶の立ち往生覚悟で頑張っておられる。なるほど?の構図だが時間稼ぎにはなっても、良い対策を生み出すやり方とは思えない。

 あと三か月しかない。今までの三か月を振り返れば、ごちゃごちゃ混乱のまま十一月を迎えそうで背筋が寒くなる。決して一生懸命頑張っていないとは言っていない、台湾韓国ベトナムドイツ・・にできることができないのはおかしいと申し上げている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする