ALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者さんの嘱託殺人と思われる事件が起きた。いつものように実行した医師の怪しげな背景や電子媒体を使ってのやりとりなどの興味本位な側面に注目が集まり、回復の希望のない苦しみが続く病人の安楽死希望に正面から向き合った議論は高まらない。
自分で排泄の始末も出来ず、食事を味わうことも出来ず、もはや思い残すこともない思いを託す家族も居ない、寝ても覚めても痛い苦しいだけの生存を想像したことがあるだろうか。想像するのは難しい正面から直視しにくい厳しい問題だから直視を回避するのは避けようという感覚が根底にあるように思う。
正確な情報かどうか分からないが、安楽死を考えている会?の人達からは、話にならないお粗末な愚行だという批判があるようだが、そうした反応もALSに苦しむ患者さんに現実に起きた嘱託殺人?を脇にやって問題に正面から向き合うことを遠ざけているように見える。
語弊があるかもしれないが不快なこと面倒なことには向き合いたくない、そういう問題を持ち出す人物は排除してしまえという風潮が、結局は問題解決を先送りにし大破綻を招くと危惧する。
新型コロナ対策にも不都合な現実を正面視して国民を率いていかねばならない首相が引きこもってしまっている。問題を先送りにしてほとぼりが冷めるのを待つというのは忘れっぽい国民性を見据えた狡猾な政治戦略かもしれないが、災害病気には無効だと申し上げたい。