海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

輿石正監督『辺野古不合意』を見る

2010-08-13 16:35:03 | 米軍・自衛隊・基地問題
 12日は午後7時から名護市民会館中ホールで『辺野古不合意ー名護の14年とその未来へー』というビデオ作品の上映会があったので、ティダの会のメンバーで見に行った。じんぶん企画制作で監督は輿石正氏。
 1995年の少女暴行事件とそれに対する県民の怒りが大規模な反基地運動を起こし、その後、SACO合意、名護市民投票という動きを生みだしていく。それから現在に至る辺野古・名護の状況を振り返りながら、普天間基地「移設」とリンクされた経済振興策(SACO関連事業、島田懇談会事業、北部振興策など)の問題や米軍再編の内実などが、稲嶺進名護市長や伊波洋一宜野湾市長などへのインタビューを交えつつ、90分の作品としてまとめられていた。名護の東海岸で長年暮らしてきた監督が、政治を監視する市民としての主体的責任をふまえて辺野古の新基地建設問題を内側からとらえ返し、特に基地と振興策の問題に力を入れて追及していた。
 新基地建設推進の世論を作り出すために、名護市にどのような「アメ」がばらまかれてきたか。それが箱物を中心に写真と予算規模で具体的に示されていた。国が9割の高率補助をするといっても残りの1割は市の負担であり、財政能力を超えて箱物を乱立すれば、維持管理費を含めて累積した負担がいずれ財政危機をもたらすのは分かりきったことだった。9年前、市民が中心となって市長候補を選ぼうという運動があったが、その時に行われた討論会でもこの問題は指摘されていた。
 それを克服できないまま岸本市政、島袋市政が重ねてきたツケをこれから名護市民は背負わなければならない。いまだに新基地を受け入れて金を引き出そうという発想から抜け出せない者たちが、名護では1ヶ月後に迫った市議会選挙での多数派確保を狙って精力的に動いている。しかし、住民の犠牲を省みない悪しき乞食根性が幅を利かせているかぎり、名護市にろくな未来はない。それは名護市だけでなく、沖縄全体に言えることだ。

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