海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

岡田外相発言について

2009-10-24 18:14:52 | 米軍・自衛隊・基地問題
 岡田克也外相が23日の記者会見で、民主党がこれまで主張してきた普天間基地の国外・県外移設からの転換を表明した。あわせて嘉手納統合案を検討する意向も示した。「内閣の見解ではない」「個人的見解」などと言っているが、鳩山政権に大きな打撃を与えかねない重大な発言を、鳩山首相と何の相談もなく岡田外相が独断で行うことは考えられない。内閣の統一見解では勿論ないが、鳩山首相や小沢幹事長などと打ち合わせたうえで、鳩山首相の口からじかに国外・県外移設断念を表明させては政権への打撃が大きすぎるが故に、ワンクッション置く形で岡田外相が泥をかぶったというのが実際のところではないか。
 嘉手納統合案に関しても、過去に同案が検討されて潰れた経緯や、再度打ち出しても嘉手納町や沖縄市、北谷町などの周辺自治体が猛反発し、大規模な反対運動が起こって実現不可能なことくらい承知のはずだ。ゲーツ国防長官が来日し嘉手納統合を否定した直後に、あえて嘉手納統合案を検討すると打ち出しているのも不自然だ。ゲーツ国防長官と正面から対立するだけの土性骨が岡田外相にあるなら、こうも易々と「県外移転は考えられない状況」と口にはしないだろう。結局、嘉手納統合案を検討したが沖縄の猛反発があって断念した。それで仲井真知事の主張を受け入れて沖合への微修正で辺野古沿岸への「移設」を受け入れることにした、という筋書きで進めたいのだろう。
 鳩山首相が結論を来年に先送りしようとしても、防衛省の来年度予算をどうするかということを考えれば、辺野古新基地建設に向けた予算を凍結するのか否かが問われる。凍結はないということなら実質的な推進であり、年内に決着させざるを得ない状況となる。それなら、国外・県外はないという方向性を現時点で明確に示した方がいい。岡田発言からは民主党中枢のそういう意図を感じる。
 鳩山政権への怒りや失望が沖縄では当然のことながら噴き出している。結局、自公政権と同じではないか、という声も出ているが、そうやって高まる政権不信が政治不信に変わっていけば、選挙など何の意味もない、というニヒリズムが蔓延していくだろう。国外・県外移設は衆院選のマニフェスト(政権公約)には書いていない、ということで誤魔化せると考えるなら大きな間違いであり、鳩山首相や岡田外相は自分たちの選択が、議会制民主主義の根本を脅かす結果に導くことを自覚すべきだ。
 同時に、鳩山政権がどれだけぶれようとも、辺野古に新基地を造らせないということで決してぶれることのない市民が沖縄はもとより全国にいる。自公政権が13年かけてできなかったことを鳩山政権は強行するというのだろうか。そうやって辺野古で激しい対立を生じさせれば、それは「友愛」を掲げる鳩山政権にとって最悪の結果となるだろう。

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