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原作者の故郷庄内地方、架空の海坂藩を舞台にした下級武士の悲哀をものの見事に描いている作品の多い藤沢周平氏。
数々の小説があるが、いずれも人と人の交わりの矛盾も描いている。
ちょっと、暗い影を落としている場面も多い、ただ、そこに登場する悲運の主人公はいずれも剣の使い手でもある。
それゆえに、映画化やドラマ化されると見入ってしまう。
惜しいことにいい作家は、志し半ばで早逝されるから残念と思うばかりでもある。
当方が尊敬している池波正太郎氏も、鬼平や梅安の完結を見ないまま早逝された。
残念至極と言わざるを得ない。
ところで、下級武士の悲哀と理不尽な上級武士の振る舞い、そのような作品群の中、NHKBSでドラマ化されている捕物劇は異色である。
「神谷玄次郎捕物控」は、いざ事件となると明朗快活な主人公の裁きが見られるから・・・えっ、これって藤沢作品なの。
と、思いたくなる。
「清濁あわせのむ懐の大きさ」と、制作者の方が書き込んでいる、正にその通りの主人公・玄次郎(高橋光臣)。
このことは、池波小説の神髄でもあり、池波小説における善悪を超えた主人公が醸し出す人間味。
すなわち、人間として魅了されるところである。
「人間というやつ、遊びながらはたらく生きものさ。善事をおこないつつ、知らぬうちに悪事をやってのける。悪事をはたらきつつ、知らず識らず善事をたのしむ。これが人間だわさ」
の世界観でもある。
であるから、「神谷玄次郎捕物控」シリーズに登場する主人公を取り巻く、江戸の庶民の面々もいいのである。
気風のいい美人の女将・お津世(中越典子)、神谷家の女中・おさく(岸本加世子)、岡っ引き・銀蔵(中村梅雀)、北町奉行所の支配役・金子猪太夫(小野武彦)・・・。
(出典:NHK公式HP 抜粋)
先週の第3回「消えた女」に登場する“流れ星”と呼ばれる盗っ人。
この盗っ人と玄次郎の関わり合い、最後は事件の背景を探りとることから、その盗っ人を捕えることもしない。
目こぼしをするさまは、池波小説「鬼平」の懐の深さにも相通ずる度量でもある。
白と黒のはざ間の色合いを大切にしているさまでもある。
つまり、融通である。
それゆえに、主人公に爽快さを見出し、これって藤沢作品なの・・と、思うのかも知れない。
何はともあれ、次回以降の玄次郎がいかなる裁きを下すものか。
取り巻きの江戸の人々との粋な関わり合い。
ちょっとはみ出しながらも、事件を解決する北町奉行所同心・神谷玄次郎。
毎回楽しみな作品に仕上がっている。(夫)
(出典:NHK公式HP 抜粋)
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