教団「二次元愛」

リアルワールドに見切りをつけ、二次元に生きる男の生き様 (ニコニコでは「てとろでP」)

ヒロイン像の新しい潮流

2009-03-05 00:06:40 | オタネタ全般
「俺を全力で守ってください」
「はい!! 喜んで!!」

これは ”ああっ 女神さまっ” 245話に掲載された主人公とヒロインの会話である。
これを見てはっと気付いた人はわたしだけではないだろう。

遥かいにしえの時代、ヒロインは常に守られる存在だった。
ヒロインは清楚でおとなしく控えめで引き立て役でなければならなかった。

そこに風穴を開けた男がいる。
松本零士だ。
氏は、強く美しい大人のお姉さまを描いた。主人公はお姉さまに守られていた。それまでのヒロイン像とは完全に一線を画していた。(これはもちろんメーテルやエメラルダスたちのことを指す。)
世間に絶大なインパクトをあたえたものの、しかし、その時代においてヒロイン像を書きかえるほどすぐには浸透しなかった。
ある意味で時代が早すぎたのかもしれぬ。

おそらく松本零士のヒロインはガンダムやうる星やつらへ影響を与えた。
自己主張がつよく活動的な戦う年上のお姉さま。(もちろんセイラさんとラムちゃんのことね。)
この2名の登場によって、おとなしく控えめでなければならないというヒロイン像に対し、新たなヒロインが一般化したと考えることができる。

うる星やつらの次の時代、さらに強烈なインパクトを引っさげて現れたものがある。
ガイナックスのナディアだ。
ナディアは性格が悪かった。自分勝手でワガママだし素直じゃないし怒りっぽいし偏食だ。
けれど、みな一瞬にしてトリコになった。
なぜか。
それは、いま全盛期をむかえているツンデレ少女の起源だったからだ。
このころはツンデレという単語もなかった。それに萌えを表現する単語もなかった。
しかしナディアはその当時すでに完成したツンデレ萌えを備えていたのである。

そのあと、妹萌えや姉萌えといった、リアルにはありえない空想上の妹や姉というものが発明された。
2009.01.10の記事に書いたように、主人公にしても、かっこよく男らしい主人公以外に空気のようなヘタレ主人公も発明された。
女流作家の恋愛モノに多くあるような、ヒロインが周りの男どもを巻き添えにして驀進するというような女性向け特有のストーリー的な手法も、徐々に男性向け作品に取り入れられるようになってきた。(たとえばとらドラ!のように。)
気が付けばハーレムという手法も発明された。
ネコミミやメイドロボなど人外のモノも発明されたし、ストライクウィッチーズによりメカ少女萌えというジャンルも確立された。
いつのまにかブラックラグーンのような怖い姉御にも萌えていた。

萌えは多くのジャンルに分化していった。

そしてついに時代は男と女の立場が逆転するに至る。

遥かいにしえの時代、ヒロインは常に守られる存在だった。
ヒロインは清楚でおとなしく控えめで引き立て役でなければならなかった。

現代、か弱い主人公を守るヒロインが現れた。
主人公は清楚でおとなしく控えめで・・・と言えば聞こえがいいが、主人公は空気のようなヘタレでなければならなくなった。

30~40年の時を超え、ついに男と女の立場が逆転したのだった。
男女同権意識の現われなんだろうか?
妙に感慨深いものがあるような気がするのはわたしだけではないだろう。