ホワイトデーとアニオタ

昼メシを食っていると、いっしょにメシ食っていたダチがこう言った。

「世間的にはもうすぐイベントがあるんだけど、おまえ気付いてる？」

この男は、わたしが世間の事件や行事に全く無関心なのをよく承知しており、そのうえでの発言である。

「なにが？」

たぶん野球か何かだろうと思ったのだが、それはさておき、そう聞き返しておいた。

「そうか・・・、やっぱりわからんか」
「うむ、知らぬ」

男は少し考えた末、こう切り出した。

「じゃ、ヒントだけやろう。ヒントは『白』だ」
「そーかー、『白』でかつ日付的にもうすぐあるものか・・・」

（白、白、白・・・）
わたしは脳ミソのデータベースをフルサーチした。
そして、ついに該当する項目にたどりついた。

「わかったぞ、案外難しいぞこれは！」

わたしは得意げな顔をしていたに違いない。

「そんなに難しいか？」

男は怪訝な顔をしていた。

「『白』とは『管理局の白い悪魔』すなわち ”リリカルなのは” の主人公『高町なのは』のことだ！
　そしてイベントとは、３月１５日が『高町なのはの誕生日』であり、それがせまっている事を指す！
　どうだ？　これで！」

こう言ったとたん、男はますます怪訝な顔をしていた。

「なんでそうなるんだよ？」
「それ以外に思いつかね」
「もっと普通に、、、」
「じゃ、もっとメジャーな『白』というと、『連邦軍の白い悪魔』のほうか？」
「いいかげんアニメから離れろよ」
「そうか、じゃ、光栄の『ジンギスカン 蒼き狼と白き牝鹿』でもいいや」
「おまえが気付いていないのはよくわかった・・・
　あのね、世間ではもうすぐホワイトデーというものがあってだね・・・」

ということで、今年はここで初めてホワイトデーに気付いたわけであった。



ちなみに、バレンタインデーのときもこんなやりとりをしたことがある。

「世間的にはもうすぐイベントがあるんだけど、おまえ気付いてる？」
「なにが？」
「２月というと、もうこれしかないでしょ！？」

そう男は得意満面で聞いてきた。

「あー、２月ね。２月というと・・・」
「２月というと？」
「２．２６事件だな。雪のニイニイロク」

男は食いもんを落としそうになった。

「なんだ、違うのかよ」
「えっとね、世間では２月というとバレンタインデーなの！」
「へー」
「『へー』じゃなくて、、、いいよ、もう」

男はノロケ話でもしたかったのかもしれん。
こればっかりは相手が悪かったとしか言いようがないな。



そういえば、クリスマスのときもこんなやりとりをしてた。

「世間的には今月大きなイベントがあるんだけど、おまえ気付いてる？」
「なにが？」
「１２月に入ったらどこいってもそれ一色なんだから、さすがに気付くでしょ！？」
「まー、そりゃ、知ってるっちゃ知ってるけど・・・」
「そうか、これはさすがに知ってたか・・・」
「まあ一応・・・」
「で？」
「あしたが真珠湾攻撃で開戦した日ってことでしょ、真珠湾日米合同慰霊祭のことね、おまえもよく知ってるな」
「知るか！」