最近イタリアがヤバいらしい。
・・・というニュースを急によく聞くようになった。
何がヤバいかというと、そりゃあもちろん、発端はギリシャ。
アイルランドとポルトガルがギリシャの二の舞。
ならイタリアが三の舞じゃねぇのかという話である。
なら、前々から言われているスペインのほうがヤバいんじゃないのか?
ということで、ちょいと調べてみた。
とりあえず↓ここを見てみよう。
イタリア10年国債 金利チャート
http://www.bloomberg.co.jp/apps/cbuilder?T=jp09_&ticker1=GBTPGR10%3AIND
スペイン10年国債 金利チャート
http://www.bloomberg.co.jp/apps/cbuilder?T=jp09_&ticker1=GSPG10YR%3AIND
スペインは
「実はヤバいんじゃね?」
と言われはじめた去年の年末あたりで金利が急上昇している。
けど、それ以来安定している。
イタリアはどうかというと、去年の年末あたりで金利が急上昇しているところまではスペインと同じ。
とはいっても、スペインより利回りが低いので、スペインよりヤバくはないと思われていた。
しかし!
ごく最近のところを見よう。
7月に入ってからイタリア国債の金利がモーレツに急上昇していて、スペインに追いつきそうな勢いである。
これを翻訳するとどうなるかというと・・・
ようするに、もうちょっとでイタリアはスペインよりヤバい人扱いされてしまうゾーンに突入するということだ。
ちなみにアイルランドやポルトガルは短期国債のほうが長期より金利が高くなってしまっていいる。
これを翻訳するとどうなるかというと・・・
ようするに、(ヤバい人扱いではなく)返せない人扱いされているというほうが正しい。
ならば。
格付けはどうなのか?
ムーディーズでは、日本もイタリアもスペインもAa2のネガティブでどれも同じ。
ちなみに貿易黒字国でなおかつ債権国化したブラジルはBaa2で上記3カ国より遥かに下にいる。
なら比較的安全なのでは?
いや、日本がイタリアやスペインと同じくらいヤバいということか?
それは微妙だ。
格付けはあまり当てにならん。
なぜ格付けが当てにならんかというと、それには理由がある。
かつて実情に合わせてスピーディーに格付けを変更していたことがあったが、頻繁にコロコロ変えすぎだと非難を受けてしまい、それ以来かなりじっくり様子を見てからしか変えなくなった。
その副作用として、わたしが見ても格下げが当然だと分かるくらい明らかにならないと格下げをしないという、日本人の官僚が運用しているんじゃあるまいかと思うくらいスピーディーさに欠けてしまっている。
格付けは、自分のよく知らない発行体のリスクを時間をかけずにエイヤで決めるときくらいしか役にたたない。
とはいえ・・・
実は世の中にはそうやってエイヤ的に決める人が少なからずいる。
なので格付けの影響力は未だ健在だ。
だから現在は格付けよりも格付けが変更されたときに起きることを予測するほうが投資の上では重要になってしまっている気がする。
では。
格付けが当てにならないとしたら、いったい何を見ればいいのか?
市場のコンセンサスをリアルタイムに反映しているもののほうが良いに決まっている。
たとえば国債の金利差だとか。
たとえばCDSのスプレッドだとか。
ということで、格付けは後回しにして、国債の金利を先に紹介した。
格付けなんてペットの血統書みたいなもんさ。
っていうかさ。
ユーロはどの国にとっても自国通貨ではないから、イタリアやスペインは自国通貨建て政府債務の格付けって意味解らなくねぇか?
自国通貨建て政府債務なら、政府はどうしようもなくなったらジンバブエみたいに札を印刷すれば済むだけの話なんだから、世界中のどの国だって自国通貨建て政府債務がデフォルトなんて普通ありえなくねぇか?
(とはいっても昭和21年に大日本帝国の円建て国債はデフォルトしたけど、これは国がいったん滅んだ超レアケースということで)
外貨建て政府債務って項目もあるんだが、日本がドル建て国債とか発行する場合を想定していると思われるのだが、世の中に存在しないものの格付けっていったい何なのさ?
ドラえもんを担保にした時ののび太国債の格付けを発行しているのとそれ何か違うの?
サブプライム関連で格付けがザルだったということで格付け会社は非難されているが、格付けはそれとはもっと根本的なところで怪しいところがあるような気がする。