結局、腕時計はまだ時計屋さんへ持って行っていない。
すごく不便……。
そんなことより、京都から房ちゃんと葉子ちゃんがまたまたやってきた。
今回は朋美ちゃんも一緒。
彼女らは以前、京都の洋食料理店で働いていた時のアルバイト仲間。
今では皆アルバイトを辞め、一人は「看護師」に、
一人はこの時期イルミネーションがきれいな「R○ME」に、
一人は河原町五条を上がった「○川ふとん」に、
それぞれ務めている。
三人は「劇団EXILE」を見に東京へ来たという。
この日も三人に、「どうしても行きたい所がある」と連れられて行ったお店は、
EXILEのメンバーのお父さんが経営されている居酒屋で、店内は若い女の子で溢れかえっていた。
その「EXILEのお父さん」は、息子同様のかっこいいサインを彼女らの携帯電話に書き、
握手を振舞っていた。
店内のモニターではライヴの映像が流されていたが、
どの息子さんのお父さんなのか、私にはまったくわからない、
私たちのテーブルへやってきたお父さんを、房ちゃん達三人は大歓迎していた。
お父さんが私にも手を差し出してくださったので、握手をしてもらった。
……でも、私にとってはただのおじさんだった。
そうして三人は「EXILEの出待ち」をするために、
夜更けの渋谷の街へと消えていった。
これから青山劇場の楽屋口へ行くそうだ。
しかし、三人曰く「ダンスはサイコー! でも演技はイマイチ」
なのだそうだ。……ファンの目は厳しい。