演劇制作をやっている友人と公演を配信することについて話した。
コロナが落ち着いたとしても演劇の配信は、なくならないだろう。
話はそれるが、彼女は最初からコロナの流行に全く動じなかった。今よりももっと得体が知れないウィルスと報道され私がいくら心配しても。結果彼女が正しかったような気がしているし、以降なんと大胆不敵な人なんだと思うようになった。
話がそれた。
私も演劇配信は続くと思うし、そう感じたから、私自身も生配信を始めたとも言える。
おかげで私の家の一室は、もうYouTubeスタジオだ。
そしてゆくゆくは劇場公演へ繋げたいと思っている。
前回配信した「第二章」よかったら見てみてください。
また話がそれた。
朗読劇の生配信を始めて気づいたことがいろいろあった。
配信までの準備は大変だけど、実際に劇場で公演を打つよりは、当然コンパクトに済む。
お金も、実際の公演よりはかからない。
たった15 分とはいえ、本番までの緊張感と集中力を考えると、自分たちの経験にも財産にもなっていると思う。
そして、安全な場所で安全に皆さまへ作品を届けることができる。
だけど、難しい面もあって。
それは、観客のリアクションがないこと。
上演中、唯一の観客である私は、俳優に伝わって欲しい気持ちをこめて、そっとリアクションをしているけれど、カメラの横にいるため声が出せない。
大袈裟にニヤニヤしたり、眉間にシワを寄せたりしてみるけれど、俳優に伝わっているとは思えない。
演劇は観客と一緒に作るものと言うことを改めて思う。あぁ、お客様に会いたい…。
リアクションがわからないので、企画自体のモチベーションの維持も難しい。通常あるアンケートもなく、お客様とのコミュニケーションも取れないので、一体どんな風に見えているのだろうと疑ってしまう。
その見え方を充実させるために、機材等も揃えたいが無料配信なので収入はない。
終演後SNSで届く感想が唯一の頼りで、それでも不安な私は、友人知人に感想を聞きに行ってようやく少しだけ安心。
そして、YouTubeの視聴者数やチャンネル登録者数がどうしたら伸びるのかなあなどと考える。
①機材を充実させるか、
②vlogみたいな形で、もっと小まめに日常の稽古風景を配信する?とか、
③映像の演出を派手にする?とか、
などと考えながら「待てよ」、と思う。
そもそも配信は、その先にある劇場公演に向けて始めたもの。
A)チャンネル登録者が増えなくても、
B)機材が充実していなくても、
c)派手な映像ではなくてもいいはずだ。
私たちは演劇をやりたいのだから。そう思い直す。
だけど、いつか行う劇場公演へお客様に来ていただくには、やはりいいものを届けたいし、たくさんの人に見て欲しい。
そう思うとまた①②③の悩みに戻り、そしてまたA)B)C)へたどり着くいて。
それらをグルグル回ってしまう。
結局は信じて、やるだけなのですが。
こういう悩みが「変わり目」の只中にいるということだね、と友人とはなした。
だけど、もう演劇ができなくなると絶望し、ひねくれていた数ヶ月前のことを思うと、いまの悩みはずっと前向きだと思うし、あの時に動いてくださった方々に感謝したい気持ちでいっぱいになる。私は署名くらいしかしていない。
緊急事態宣言後、初めて行った劇場では、観客を半分以下に減らしつつ、上演と配信の両方をやっていた。
その大きな劇場にはスクリーンがあって、配信で流れている映像がそこに映し出されていた。
3階席だった私は、上演中ほとんど舞台にいる米粒くらいの演者ばかり見て、スクリーンには目が行かなかった。
で、演劇を見るってこういうことなんだなって、妙に納得したことを覚えている。
表情が見えなくても遠くても、人が舞台にいることがもう表現で、そこに人がいることで安心できるのだ。
グルグル回りつつ、次回もがんばろう。