駅から家までは7、8分の距離で、近くて嬉しい。
以前住んでいた阿佐ヶ谷の家は、駅から15分くらい歩かなければならなかったから、毎日の帰宅時、駅へ着くたび、憂鬱な気持ちになっていた。
でも2年前に引越して来てからは、駅が近くなった喜びを、たった7分で家に着く幸せを、飽きることなく日々噛みしめている。
だけど先日は、そんな距離すら遠く感じるほど体が重くて。思わずついた溜め息の勢いで上を見たら、夕暮れ時の空が澄んでいた。
でも写真にはそれほどキレイに写ることはなく。
絶妙な青色とか、空の広さとか、冷えた空気とか、もっと感動的に思えたのに。
そんなものまで、映るはずないから仕方ないじゃないと思い。写真と経験は違うと、スマホを閉じる。
そして、ああそうかって、急に思った。
配信で演劇を見るって、こういうことなんだなって。
そんなことはもうとっくに分かっているし、分かった上で、私も朗読劇配信もやってきたけれど、私の場合、頭で分かると、体でわかるのは、いつも少し時間にズレがある。
この数ヶ月、画面ではきっとほんの少ししか伝わってなかったんだな。
そう複雑な気持ちになってしばらく歩いたら、今度は本当にそうかな? と、思えてきた。
だけどそれでも伝わったこともあるだろうし、伝える伝わるが全部じゃないし。スマホの空もないよりあった方がいいじゃないかと、少し強引に思い直した。
次にお客様の前で上演する時は、画面で伝わらなかったことをたくさん感じてもらいたい。
演じる側だってきっとたくさんのものをもらえるはずだ。
最近の大田さんと皐さん。
この稽古の内容を見てもらうのは、まだもう少し先になります。