8/19(木)の本番に向けて稽古は進んでいる。
今回の「浅夜喫茶」は、数年前に取材させてもらった90代のおじいさんのお話から始まっている。
その方とは仕事先の関わりで知り合い、気難しい方だったけど、私とはなんというかウマがあった。
話されるお話も、その方ご本人も、とても面白かった。
いつもユーモアがあって、頭の回転が早く、声が大きかった。
当時、できたばかりの舞台芸術学院で、秋田雨雀や土方与志に演劇を学ばれたそうだ。もうそれだけで痺れる。
「土方先生はヘビースモーカーで、教室がいつも煙で曇っていた。だけどそれが、戦後の自由の象徴のように思えた。カッコよく憧れた」
そう、話されていた。
私が劇団をやっていたことも、かわいがってもらった一つの要因だったのかもしれない。
伺うお話が面白くて私は聞いた。
「これ、いつか芝居に書いてもいいですか?」
「いいよ、どんどん書きなさい」
1番印象深かったのは戦争のお話だった。
戦争体験者から、実際の戦争を聞くのは初めてだったこともあり、今まで聞いた戦争体験の話と全く印象が違った。
とはいえ伺ったお話を、どんなふうに物語にすればいいか分からない。
私が感じた面白さを、そのままお客様に伝えることができなければ、書く必要なんてない。おじいさんにも失礼だと思う。
物語は日常を切り取って作るというけれど、その切り口が見つからないまま、数年がたった。
そして、今回「浅夜喫茶」を書いた。
「今だ」と思って書いたわけじゃなく、考え抜いた切り口でもなく、自然にできた物語という感じがしている。
もちろん、そんなことは執筆後だから言えるだけで、書いている途中はずっと頭を抱えていたし、もっといい切り口もタイミングもあったのかもしれない。
でも2回の公演延期を経て、結果8月の終戦記念日後の時期の公演になって…その原因が自分の怪我のせいであり、皆さんにご迷惑をかけてしまったことを棚に上げて言わせてもらうと、ここまでの全てに繋がりを感じてしまう。
全く都合のいい話ですが。
私自身はとても好きな作品になったと感じています。
たった1日の公演で配信もなく、今回見ていただける方は限られてしまうのですが、ぜひご覧いただけましたら幸いです。
どうぞよろしくお願い致します。
B.LET'Sのドラマリーディング企画
「浅夜喫茶」
作・演出 滝本祥生
■出演
大田 康太郎(B.LET‘S)
如月 皐
■日程
2021年8月19日(木)14:00 / 18:00
(受付開始・開場は開演の30分前)
■料金
前売・当日共(予約制) 2800円
■会場 RBL CAFE
(下北沢駅から徒歩5分)
詳細・お申込み→◎こちらです