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コショウ

 東京薬科大学“薬用植物園”の温室で見られる「コショウ(胡椒)」。コショウ科コショウ属のつる性常緑木本でインド原産。紀元前500年頃には古代ギリシアで医薬品や食用として利用されていた。コショウは熱帯地域に生育するがヨーロッパの気候では栽培できず、古来から黄金に匹敵するような高値で取引されていた。世界史で中世ヨーロッパでは決死の覚悟でコショウを求めて探検したと習ったが、現代の生活ではとても理解できずもし我が家でコショウが無くなってもステーキやラーメンの味付けを我慢するくらいの存在だと思っていた。
 冬が厳しいヨーロッパでは屠殺した家畜の肉を乾燥させたり塩漬けにして長期間保存していたが、乾燥肉は固くて風味が無くまた塩漬け肉は時が経つにつれ腐敗していきそれでも人々は我慢して食べていた。そのため防腐剤や香辛料としてのダブル効果があるコショウは食糧確保のためには無くてはならないものだったわけだ。
 当時は原産地のインドからヨーロッパに運ばれたが、途中のオスマン帝国や地中海を支配していたベネチアにかなりの中間利益を搾取されていた。そのため大航海時代には安価なコショウを求めてアフリカ喜望峰回りのルートを開拓することになった。コロンブスが新大陸を発見したのはキリスト教布教と並んでコショウの輸送ルート確保も目的だった。
 コショウにはホワイトペッパー、ブラックペッパー、グリーンペッパー、ピンクペッパーなどがあるがこれらは全て同じ種類のコショウが原料。果実を収穫するタイミングや製法を変えることで色や風味に違いが生まれる。例えば完熟した実を収穫して乾燥させ水に漬けて外皮を剥いたものがホワイトペッパーになり、完全に熟す前の実を乾燥させたものがブラックペッパーになる。写真はまだ若い緑色の果実だがこれを短期間で乾燥させるとグリーンペッパーになる。
 コショウで思い出したのが獅子文六著の小説『胡椒息子』。冷たい継母のもとに引き取られた少年が実の母を探すというストーリーでテレビドラマ(昭和44年)では中村光輝(三代目中村又五郎)さんが主演し意地悪なお姉さん役が岡崎友紀さんだった。
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ネジキ・6~果実

 長沼公園“栃本尾根”に多く生育している「ネジキ(捩木)」。ツツジ科ネジキ属の落葉小高木で5~6月に簪飾りのような小さな花を下向きに咲かせる。果実は直径3~4ミリの蒴果で上向きになり熟すと裂開して中の種子を零す。
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