会社を早期退職した男が、長年の夢だったキャンピングカー購入と妻との旅行を家族に反対されたのをきっかけに、心身に軽い変調をきたす話です。
とっくに自立している妻や子どもたちに気づかないでいた会社人間、中高年の再就職の困難性、心療内科医のサポートなど、いかにも今日的な問題をよく調べて書いてあります。
しかし、それだけでは、本当の小説にはならないでしょう。
実務書やノンフィクションなどにはない、作家ならではのサムシングエルス(それが作家性なのでしょう)が、この小説には決定的にかけています。
特にラストの解決の方向性の安易な提示には、唖然とさせられました。
実際のこの年代(作者や私と同世代)のこのような境遇の人たちは、もっと深刻な状況を抱えています。
こんな小説ならば別に「村上龍」でなくても書けるわけで、そういう意味では彼自身の作家としての価値に対して、この作品は大きな危険をはらんでいるように思えます。
とっくに自立している妻や子どもたちに気づかないでいた会社人間、中高年の再就職の困難性、心療内科医のサポートなど、いかにも今日的な問題をよく調べて書いてあります。
しかし、それだけでは、本当の小説にはならないでしょう。
実務書やノンフィクションなどにはない、作家ならではのサムシングエルス(それが作家性なのでしょう)が、この小説には決定的にかけています。
特にラストの解決の方向性の安易な提示には、唖然とさせられました。
実際のこの年代(作者や私と同世代)のこのような境遇の人たちは、もっと深刻な状況を抱えています。
こんな小説ならば別に「村上龍」でなくても書けるわけで、そういう意味では彼自身の作家としての価値に対して、この作品は大きな危険をはらんでいるように思えます。
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