チェッカーの無敵のチャンピオンだったマリオン・ティンズリーに関する作品です。
チェッカーは10の30乗ほどしか局面がなく、囲碁の10の360乗や将棋の10の220乗はもちろん、チェスの10の120乗と比べても格段にシンプルで、1992年にはコンピューターは人間よりも強くなっていますし(チェスでコンピューターが人間より強くなったのは1997年、最近話題になっていますが将棋や囲碁もコンピューターの強さが人間を上回っています)、コンピューターによる完全解(最善手を続けると必ず引き分けになる)も2007年にだされています。
マイナーなすでにゲームとしての命も失われてしまったチェッカーについて、ほぼノンフィクションの手法(最後にSF的なフィクションの味付けがされています)で書かれた名人伝なので、私のようなゲームマニア以外は退屈な作品でしょう。
また、宮内のノンフィクションライターとしての姿勢も物足りません(ほとんどが既存の文献からの孫引きで、実地の調査がほとんどされていません)。
とってつけたようなSF的な味付けもいかにもありがちで、読者を驚かせてくれません。
児童文学でも、事実(例えば教育実践など)をもとに書かれた作品はたくさんあるのですが、ほとんどがフィクション化が中途半端になってしまって成功例(例えば、古田足日の「おしいれのぼうけん」など)は少ないと思われます。
盤上の夜 (創元日本SF叢書) | |
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東京創元社 |