現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

廣嶋玲子「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」シリーズ

2022-09-16 09:04:28 | 評論

2013年5月から刊行されて、現在までに15巻(9月15日に16巻目が出ます)とガイドブックが発行されて、2021年7月時点の累計発行部数は350万部を突破しています。それまでもかなり売れていたようですが、2020年6月にアニメが始まってから爆発的に売れるようになりました。

本の構成
・一巻あたり6作のお話と、プロローグやエピローグやサブストーリーやおまけ情報など(巻によって異なります)が掲載されています。
・一つのお話は原稿用紙30枚以内の長さです。

お話におけるルール
・何か悩みや望みを持った主人公が、それまでなかった場所に「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」を発見します(あるいは、店主の紅子が現れます)。
・主人公は、紅子が望んでいたお宝(例えば、昭和四十年の十円玉)と、望みをかなえる不思議な駄菓子とを交換できます。
・それぞれのお話には、ハッピーエンドの物と、アンハッピーエンドの物があり、ハッピーエンドの場合はお宝の硬貨は金色の小さな招き猫に代わり(銭天堂の勝ち)、アンハッピーエンドの場合は真っ黒な不幸虫に代わります(銭天堂の負け)。

作品の魅力
・店主の紅子のキャラクター(白髪で真っ赤な口紅を塗った和服姿の巨大なおばさん。しゃべり方が独特で、特に語尾に「ござんす」を多用する)
・さまざまな魅力的で不思議な駄菓子。
・各お話の主人公の、どんな願いでもかなえてしまう。
・必ずトラブルが起こって、ハラハラドキドキできる。
・ハッピーエンドになるか、アンハッピーエンドになるかが、最後までわからない。
・アンハッピーエンドのお話の主人公は嫌な奴なので、読者はどちらにしても満足が得られる。
・起承転結がはっきりしていて、物語がダイナミックに展開される(分析図を参照)。
・文章が読みやすい(文章がうまいということではありません)。
・文章が短くて(40字以内)、読みやすい。
・漢字にはすべてルビがふってあるので読みやすい。
・短いお話のひとつひとつが完結している。
・一冊で6つのお話を楽しめる(一話あたり150円ぐらいなので、コスパのいい物語消費ツールなのです。そういった意味では、ライトノベル的なのかもしれません)。
・お話がパターン化しているので、分かりやすい。
・挿絵がマンガみたいで、状況が分かりやすい。
・お宝が、古い硬貨なのが面白い。

 

 

 


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