新米の教師の目を通し、学級崩壊、モンスターペアレント、給食費不払い、児童虐待、ネグレクト、過度な個人情報の保護など、様々な今日的問題を描いた作品です。
現代の子どもたちを取り巻く困難を、真正面から取り上げた点はおおいに評価できます。
ただ、様々な問題を限られた紙数の中で取り上げたため、個々の問題が薄まった感がします。
母親や義理の父親に虐待やネグレクトを受けていて、給食だけでかろうじて生き延びている神田さん(男の子)の問題に絞り込んでもっと突っ込んで書くべきだったと思います。
また、問題の背景にある社会問題や学校や行政の怠慢に対する作者の批判が及び腰で、原因を神田さんの両親の個人的な資質に収斂させているので、この今日的問題を告発する力が弱くなっていると思います。
特に、ラストで主人公が思い切って神田さんの家を訪問するシーンで終わっているのは、主人公の勇気は評価できるものの、書き手としてはその後(おそらく修羅場になることが予想される)を目をそらさずに書くべきなのではないでしょうか。
このラストシーンも含めて書き方が全体的に情緒に流れすぎているのが、作品を弱くしています。
現代の問題を告発するためには、もっと冷徹に現実を見据える視線が必要だと思います。
また、子どもの視点ではなく、大人の視点で書かれたために一般文学になっていますが、抑圧されている神田さんの視点で描く、あるいは教師と両者の視点で描くなど、子どもにも手渡される形にする工夫も必要だったのではないでしょうか。
これらの問題は大人だけでなく、抑圧される側の子どもたちにとっても大きな問題なのですから。
現代の子どもたちを取り巻く困難を、真正面から取り上げた点はおおいに評価できます。
ただ、様々な問題を限られた紙数の中で取り上げたため、個々の問題が薄まった感がします。
母親や義理の父親に虐待やネグレクトを受けていて、給食だけでかろうじて生き延びている神田さん(男の子)の問題に絞り込んでもっと突っ込んで書くべきだったと思います。
また、問題の背景にある社会問題や学校や行政の怠慢に対する作者の批判が及び腰で、原因を神田さんの両親の個人的な資質に収斂させているので、この今日的問題を告発する力が弱くなっていると思います。
特に、ラストで主人公が思い切って神田さんの家を訪問するシーンで終わっているのは、主人公の勇気は評価できるものの、書き手としてはその後(おそらく修羅場になることが予想される)を目をそらさずに書くべきなのではないでしょうか。
このラストシーンも含めて書き方が全体的に情緒に流れすぎているのが、作品を弱くしています。
現代の問題を告発するためには、もっと冷徹に現実を見据える視線が必要だと思います。
また、子どもの視点ではなく、大人の視点で書かれたために一般文学になっていますが、抑圧されている神田さんの視点で描く、あるいは教師と両者の視点で描くなど、子どもにも手渡される形にする工夫も必要だったのではないでしょうか。
これらの問題は大人だけでなく、抑圧される側の子どもたちにとっても大きな問題なのですから。
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