「現代児童文学」は、2010年に終焉したと言われています。
その年の、「現代児童文学」終焉を象徴する事柄としては、大阪国際児童文学館の閉館、理論社の倒産、作家後藤竜二の死などが上げられています。
しかし、文学運動としての「現代児童文学」は、もっと早い時期に終焉したのではないかと思っています。
オーソドックスな成長物語を描いた「現代児童文学」は1990年代には出版点数が大きく減り、2000年代にはそこから派生したエンターテインメント類までもが売れなくなったのです(「ズッコケ三人組」シリーズは2005年に終了しています)。
その背景としては、出版バブルがはじけたことと、少子化などによる児童文学のマーケット・サイズの縮小があります。
また、子どもたちの読書に求める物の変化(知的欲求の満足から娯楽へ)や、読解力の低下(これは子どもたちだけでなく、大人も同様です)による軽薄短小な本への傾斜なども理由にあげられるでしょう。
( 「現代児童文学」のみならず、児童文学の終焉の可能性については、2000年には、本田和子「消滅か?復権か?その伴走の歴史」という論文の中で、次の項目の内容も含めて予見されていましたが、残念ながらその声は反映されませんでした。)