現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

「現代児童文学」の終焉

2021-09-14 18:15:44 | 評論

「現代児童文学」は、2010年に終焉したと言われています。
その年の、「現代児童文学」終焉を象徴する事柄としては、大阪国際児童文学館の閉館、理論社の倒産、作家後藤竜二の死などが上げられています。
しかし、文学運動としての「現代児童文学」は、もっと早い時期に終焉したのではないかと思っています。
オーソドックスな成長物語を描いた「現代児童文学」は1990年代には出版点数が大きく減り、2000年代にはそこから派生したエンターテインメント類までもが売れなくなったのです(「ズッコケ三人組」シリーズは2005年に終了しています)。
その背景としては、出版バブルがはじけたことと、少子化などによる児童文学のマーケット・サイズの縮小があります。
また、子どもたちの読書に求める物の変化(知的欲求の満足から娯楽へ)や、読解力の低下(これは子どもたちだけでなく、大人も同様です)による軽薄短小な本への傾斜なども理由にあげられるでしょう。
( 「現代児童文学」のみならず、児童文学の終焉の可能性については、2000年には、本田和子「消滅か?復権か?その伴走の歴史」という論文の中で、次の項目の内容も含めて予見されていましたが、残念ながらその声は反映されませんでした。)


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