現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

児童文学の作品世界と書き方のミスマッチ

2017-01-12 21:13:12 | 考察
 児童文学の同人誌などでよくあるケースとして、幼児を主人公にしたメルヘンなどのかわいらしいお話で、作者の書き方がミスマッチをおこしていることがあります。
 どうもそういった作者は、漢字をかなにひらいてやさしい言葉づかいをすれば幼年物になると思っているようですが、実際は高学年向けの作品よりも書くのは難しいのです。
 まず説明的な文章はできるだけ廃して、一つ一つの文章が幼い読者の五感に訴えるように磨き上げなければなりません。
 また、場面転換やストーリー展開にもっとメリハリをつけて、気まぐれな読者を飽きさせないような工夫がいるでしょう。
 幼年物が出版される場合には、一つ一つの場面に挿絵がつくと思いますが、かつて安藤美紀夫は「日本語と「幼年童話」」という評論(その記事を参照してください)の中で、少なくとも二十はそういう場面が必要だと書いていました。
 作者には、実際に作品を書くときに、魅力的なシーンがいくつ浮かぶかをカウントしながら書くことをお勧めします。
 
世界児童文学ノート (てらいんくの評論)
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てらいんく
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ゲーマーズ

2017-01-12 12:59:32 | キンドル本
 主人公は小学校六年生の男の子です。
 ある日、主人公はゲームサークルの例会に参加します。
 参加者は、ほとんどが高校生や大学生でしたが、同い年の男の子と知り合います。
 その子は、コンピューターでプログラミングして、独自のゲームを作っていました。
 二人は、ネットを通して、その野球シミュレーションゲームをやるようになります。
 ラストで二人は?

 (下のバナーをクリックすると、スマホやタブレット端末やパソコンやKindle Unlimitedで読めます)。

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川村元気「世界から猫が消えたなら」

2017-01-12 12:12:43 | 参考文献
 脳腫瘍で余命が短いことを告げられた主人公が、自分とそっくりなアクマと取引をする話です。
 世界から何かを消す代わりに、一日寿命が延びるのです。
 主人公が消したものは、電話、映画、時計、猫?、僕?です。
 非常にスタイリッシュな文体と構成で、会話と余白が多いので、若い読者(特に女性)には読みやすいのベストセラーになったのでしょう。
 出版形態は一般文学になっていますが、児童文学のヤングアダルト作品(ファンタジー、メルフェン、寓話などのジャンルに属します)と言ってもいいかもしれません。
 作者の年齢からすると、書かれている題材や設定、そしてテーマである家族愛や生きることの意味などに対する考え方は驚くほど古風で、最近の若い世代の過去へ回帰する傾向にはフィットするかもしれませんが、オーソドックスすぎて物足りません。
 個人的な行動が、直接世界全体に影響を与えるという意味では、「セカイ系」に分類できるかもしれません。
 家族、恋人、ペットといった近景のみが描かれ、それを取り巻く職場や社会などの中景は極力省かれ、いきなり世界全体にインパクトを与えるという遠景に飛躍します。
 このあたりは、自分の周りの小さな物語を大事にしていて、その一方で世界平和や環境汚染など世界全体の問題にも敏感な、今の若い世代にフィットしています。
 まあ、そういった若い人たち(作者自身も十分若いのですが)を啓蒙しようとする軽い読み物といった印象です。

世界から猫が消えたなら
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