現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

エーリヒ・ケストナー「本を焼くことについて」子どもと子どもの本のために所収

2017-01-09 13:23:58 | 参考文献
 1933年5月10日に、ケストナーの著書は、他の反ナチスとされた作家たちの本とともに、ドイツ各地で焚書(広場に本を積み上げて、観衆の前で燃やす儀式)にされました。
 ケストナーは、自分の本が焼かれる現場のひとつであるベルリンのオペラ広場で立ち会った唯一の著者です。
 彼は、その後、ナチスの敗戦までの十二年間、執筆を禁止されたにもかかわらず、亡命することなくドイツに目撃者として留まります。
 この文章は、焚書からちょうど25年後の1958年5月10日に行われた、ハンブルグのペン会議におけるあいさつです。
 ケストナーは、いろいろな先人の言葉を引用しつつ、この焚書がいかにドイツ精神を破壊したかを述べています。
 しかし、少なくとも児童文学作家(皮肉にも焚書の理由は、児童文学作品ではなく風刺詩や社会批判論文などであったでしょう)としてのケストナーの輝きは、この焚書と執筆禁止によって失わされてしまいました(児童文学の代表作は、すべて焚書以前に発表されたものです)。
 戦争のむごさは、こんなところにも爪痕を残しています。

子どもと子どもの本のために (同時代ライブラリー (305))
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岩波書店
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サイレント・ウォー

2017-01-09 09:32:44 | キンドル本
 主人公は、友だちとネットを通してやる対戦型戦争シュミレーションゲームにはまっています。
 ちょうどそのころ、中東では実際に戦争が起こっていました。
 主人公は、戦場から送られてくる実際の映像を見ても、ゲームより実感が得られません。
 ゲームの映像の方が、はるかに生々しいのです。
 ゲームは、主人公の圧倒的勝利で終了します。
 最後に主人公が直面した恐怖とは?

 (下のバナーをクリックすると、スマホやタブレット端末やパソコンやKindle Unlimitedで読めます)。

サイレント・ウォー
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パターン化を脱するためには

2017-01-09 08:48:34 | 考察
 児童文学の作品世界では、いろいろなパターンが存在します。
 例えば、塾へ行くようになった友だちと疎遠になるとか、塾へ行きたくないけれどみんなが行くから行かなければならないといった少年像は、もう三十年以上も前から書きつくされています。
 他の例では、髪の毛に金のメッシュが入っているくらいで過剰反応する母親やボランティアをやっている専業主婦というのも、すでにありふれていて古くなっています。
 また、パターンの裏返しのような設定もあります。
 例えば、ロック好きな母親が自分の子どもにはロックを禁止するなどというのも、単なるパターンの裏返しにすぎません。
 このようなパターン化及びパターンの裏返しを脱するためには、自分の体験に過度に頼らずに、現実に生きている子どもたちに幅広く接するとともに、社会の動向にもアンテナを張り巡らして、常にフレッシュな人物像や事象を作品に取り込まなければならないでしょう。

table border=0 colspacing=0 cellpadding=0>ライトノベル・ゲームで使えるオリジナリティあふれるストーリー作りのためのシナリオ事典100―パターンから学ぶ「お約束」クリエーター情報なし秀和システム
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