4月から新入生を迎え、本来は日大豊山の歴史について研修を行う予定でしたのでここで紹介したいと思います。
在校生にとっても新たな発見があるかもしれません。
まずは「護国寺」です。
護国寺は真言宗豊山派のお寺で、5代将軍徳川綱吉の母、桂昌院の願いで建立されたお寺です。
真言宗は平安時代の空海を開祖とする宗派で、「密教」を中心とし「三密の行」により大日如来と一体化する「即身成仏」を説きました。
空海は高野山に金剛峯寺を建て、庶民の教育機関である綜芸種智院の設立や三筆の一人(弘法大師)として知られるなど他分野で活躍した人物です。
真言宗の総本山は、奈良県にある「長谷寺」です(www.hasedera.or.jp/)。
その長谷寺の山号が「豊山(ぶざん)」なのです。
私はこれまでに二度長谷寺を参拝したことがありますが、とても風光明媚なところで長い回廊や大きな観音様が印象的でした。
護国寺は真言宗豊山派の大本山です。
護国寺は弘法大師霊場でもあります。
本堂は1697年に建てられたもので元禄時代から現代まで存続している建築物です。
御本尊は、琥珀の如意輪観音で秘仏とされています。
普段は見ることはできませんが、毎月18日には御開帳されます。
とてもきらびやかで穏やかな顔をされた観音様です。
しかし、本堂は撮影禁止のために写真はありません。
本堂には33体の仏の像があり、それぞれの仏に桂昌院の髪の毛が収められているとのことです。
本堂には他にも貴重な仏像が数多くあります。
釈迦の下山時を表現した木造仏は見事な造形であり、大きな不動明王は迫力満点です。
仏の世界を表現した曼荼羅(マンダラ)がありますが、護国寺には猫が描かれているという珍しい曼荼羅があります。
たいへん大きなもの(2教室分ぐらい?)で、過去には日大豊山の体育館で見学会が催されたことがあります。
真言宗はチベット仏教とのつながりが深いため、ダライ・ラマ法王が護国寺に来られた際、旧校舎の体育館で高校生に講演をして下さったのは大変貴重な思い出として強く印象に残っています。
他にもチベット仏教の読経や砂マンダラなどの見学なども催されています。
護国寺駅すぐ横の仁王門から入ります。
山号は「神齢山」です。
桂昌院から寄進されたという改修された手洗水盤です。
江戸後期の江戸名所図会にも描かれているそうです。
仁王門を抜けると不老門がみえてきます。
この門につながる階段の風景は、夏目漱石の『夢十夜』にも登場します。
赤松の描写がありますが、漱石が書いているようにおそらく江戸時代から変わらぬ姿なのでしょう。
不老門を抜けると本殿へ。
境内には三条実美、大隈重信、山縣有朋、大山倍達、そして日本大学の学祖である山田顕義など他にも多くの著名人のお墓があります。
写真は山田顕義のお墓で、本堂の裏側にあります。
重要文化財の月光殿と多宝塔、薬師堂があります。
大師堂には弘法大師(空海)が安置されています。
周辺には私たちを導いてくれるお地蔵様や大きな大仏様がいます。
鐘楼です。
護国寺は茶道でも有名であり、5つの茶室があります。
これは茶人として有名な財界人である高橋義雄の功績です。
定期的に大規模な茶会が開催されています。
境内には富士塚の「音羽富士」もあります。
造り方が珍しいとされる庚申塔もあります。
裏の方にあるため、この庚申塔の存在を知っている人は少ないと思います。
本堂のすぐそばに、知る人ぞ知る、珍しい緑色の桜の花が咲く木があります。
今は満開でした!
境内から音羽通りを望んだ風景。
日大豊山とのつながりですが、1872年に護国寺に設置された真言宗「宗学林」が旧制豊山中学なのです。
豊山中学は、現在の日大付属校の中では最も古い歴史をもつ学校です。
戦後は護国寺から日本大学へ譲渡されることになり、宗派である豊山派から校名を「日大豊山」としたのです。
高校新入生の皆さんはこれから3年間、護国寺駅を利用して通学することになります。
是非、護国寺を見学してみてください。
竹村知洋