6月10日(水)日本大学体育大会(千葉国際水泳場)
竹村知洋
昭和53(1978)年には池袋に「サンシャイン60」が完成しました。
当時はアジアで最も高いビルでした。
日大豊山と池袋は有楽町線で結ばれているため多くの生徒が利用します。
池袋の象徴は「サンシャイン60」といえますが、実は戦争と深いつながりがある場所に建設されているのです。
今の「サンシャイン60」ができる前、戦時中にあったのは「東京拘置所」でした。
「東京拘置所」には処刑場があり、ゾルゲ事件で有名なロシア人リヒャルト・ゾルゲや日本人尾崎秀実の死刑が執行されました。
大戦中、ゾルゲはロシアのスパイであり、尾崎はソ連のスパイでした。
尾崎のスパイ活動は妻にすら知られなかったほどで、近衛文麿の側近として軍の首脳部とも緊密な関係を保ち、日本で共産主義革命を起こすべくゾルゲとともに戦争への道を画策していました。
尾崎はマルクスの思想を完全に理解し実行しようとした日本最大のスパイで、逮捕された後の尾崎の手記を読むと、戦争発生から日本が敗北するまでの過程は尾崎の思惑通りだったということがわかります。
尾崎はアメリカ・イギリス・日本・ドイツなどが第二次世界大戦ですべて倒れ、肉親でも上司でもすべて裏切って自国が敗北することを「正しいこと」であると信じて行動していたのです。
日本はアメリカやイギリスと戦争をしていたわけですが、目に見えない形で共産主義者とも戦っていたわけです。
このような事実を知らずして戦争の本質は見えてきません。
「東京拘置所」は戦争後にGHQに接収され「巣鴨プリズン」となりました。
ここには東条英機ら7名のA級戦犯をはじめGHQからBC級戦犯とされた多数の容疑者が収容されました。
そして東京裁判の結果、A級戦犯は全員が有罪とされ昭和23(1948)年、12月23日(当時の皇太子誕生日)に死刑が執行されました。
「サンシャイン60」はその跡地につくられたものなのです。
死刑場があった場所は現在「東池袋中央公園」となり、慰霊碑が建立されています。
巣鴨プリズンで刑務官を務め、その後サンシャイン60建設の警備を指揮したという人物を描いた『プリズンの満月』(吉村昭著)という本があります。
池袋から有楽町線を使って登校してくる生徒にとって池袋駅は毎日乗り換える駅となります。
池袋の象徴ともいえる「サンシャイン60」の歴史を知ることも必要かと思います。
竹村知洋
人間は身体を動かすエネルギーである筋肉内のATP(アデノシン三リン酸)がなくなると3つのエンジンを使って再合成をしながら活動しています。
筋肉の活動が活発になると「乳酸」が蓄積し、筋肉内の水素イオンが増加することで酸性になります。
人間の身体が健康であるときの体液は弱アルカリ性です。
筋肉内が酸性になることでエネルギーの再合成の量が減り、筋肉の活動のレベルが低下します。
これが疲労です。
そこで疲労を防いで持久力を保つトレーニングをする必要があります。
疲労を防ぐトレーニングは2種類あります。
①筋力トレーニング
筋力トレーニングで筋肉を太くすることで、乳酸が蓄積しても水素イオンを分解する能力を上げて、筋肉が酸性になることを防ぐことができます。
特に「速筋繊維」を肥大させることが必要です。
速筋を使うトレーニングはウェイトトレーニングでいうと、「下げる動作」を重視することです。
持久力を保つためには筋肉を太くする必要があります。
②有酸素トレーニング
乳酸は疲労の原因であり悪いものととらえられがちですが、実はエネルギーとして再利用することができます。
そのために必要なのが有酸素トレーニングです。
有酸素能力を鍛えることで乳酸をエネルギーとして再利用する能力を高めることができます。
有酸素能力は心肺機能によるものであるため、呼吸循環系能力を向上させる必要があります。
具体的な有酸素トレーニングの内容は別の項目で解説します。
筋肉を太くしたうえで有酸素能力を高めるというのは矛盾しているように見えるかもしれません。
これもよくある誤解で、筋肉を太くすると持久力が落ちる、というものがあります。
ボディビルダーにように極端な例はともかく、私が今まで学び経験してきたことで考えると、一般的な競泳選手であればウェートトレーニングで筋肉を太くしたことによって持久力が落ちるということはありません。
もし持久力に悪影響が出ているとしたら、単に有酸素トレーニングが足りないだけなのではないかと思います。
たいていウェイトトレーニングが好きな選手は有酸素トレーニングが苦手なことが多く、その逆もよくあります。
競泳選手として優れた筋肉の色は「ピンク色」ですから、大切なのは筋力と有酸素能力のバランスが取れた練習に取り組むことだと考えています。
竹村知洋