「最後の1センチ、1秒は何を食べてきたかで決まる」
これは30年前のアメリカオリンピック委員会のコーチの言葉です。
強くなるためには人体・トレーニングの知識に加え、栄養の知識を身につけることが不可欠です。
共通していることはスポーツ選手の必要な栄養量は一般の人に比べて多くなるということです。
しかし競技や練習の目的・時期・質や量、性別や体格などにより必要な栄養素は異なってきます。
ここでは競泳選手にとって必要な栄養の知識を考えていきたいと思います。
まずは「タンパク質」です。
「プロテイン」というのはギリシャ語からきている言葉で第一番目という意味だそうです。
人間の身体のほとんどはタンパク質からできています。
スポーツ選手が身体づくりをするうえで最も大切な栄養素となります。
必要な量は、体重×2gが目安とされています。
つまり体重が70㎏の人であれば140gのタンパク質を摂取する必要があります。
1度の食事で吸収される量はだいたい40gほどということですから、3食では120gなので20gほどをプラスするために補食やサプリメントで補う必要があります。
食品では肉や魚、豆類に多く含まれています。
タンパク質の主な働きです。
①筋肉・骨など身体の組織のほとんどを構成し、再生・修復させる
②神経の伝達物質として働く
③病気やケガに対する免疫力を高める
④血液中のヘモグロビンの合成に関わる。
⑤成長ホルモンを分泌させる
人間のすべてのタンパク質のうち約30%はコラーゲンです。
例えば骨を建造物で例えると、壁はカルシウムで鉄骨にあたるのがコラーゲンです。
ヘモグロビンのヘモは鉄、グロビンがタンパク質です。
タンパク質を作るアミノ酸の中には免疫力を高める働きをするものもありますので、特に今は積極的に摂取する必要があります。
成長ホルモンが分泌されなければ身体も大きくなりません。
成長ホルモンは睡眠中に分泌されるためしっかり睡眠時間を確保する必要もあります。
タンパク質がなければいくらほかの栄養素があってもうまく働きません。
摂取のタイミングでいうと、練習後できればすぐに摂ったほうがよいです。
練習後は筋肉を再生させる必要がありますから、ダウン後にプロテインを20g(大さじ1杯)摂取する習慣をつけるとよいです。
ただし、どんなプロテインでもよいというわけではなく、吸収のよいサプリメントを選ぶ必要があります。
選ぶポイントはアミノ酸スコアの高いもの、アミノ酸の鎖が短く吸収がしやすいもの、糖分などが多く含まれていないものです。
日大豊山水泳部では練習後にすぐにプロテインを飲んでいます。
竹村知洋