人生初のワーグナー作品であり、初のタイトルロールであるタンホイザーまで気がつけばもう一ヶ月を切っておりました。
これまでカラフ(トゥーランドット)、ホセ(カルメン)、ロドルフォ(ラ・ボエーム)など、物語にとって重要な役は歌ってきましたが、それらとタイトルロールでは少し違いがあります。
それは物語の中心に居るか、居ないか、です。
物語はタイトルロールの心情と共に進んで行きます。
前述のカラフ、ホセ、ロドルフォは、ともにプリモテノール(主役を歌う実力を有するテノール)の役であり、それぞれ素晴らしいアリアや重唱があります。
カラフ・・・「誰も寝てはならぬ」
ホセ・・・「花の歌」
ロドルフォ・・・「冷たい手を」
しかし、これら3役は物語に付随しているのみで、作品の中心となり物語を進めるのはトゥーランドット姫、カルメン、ミミ(←タイトルロールではないけど)です。
ここまででおそらく
「え?だからなにが違うの?」
と思われるとおもいます。
無理もありません、僕がその違いを知ったのは自分がタイトルロールになってから・・・
つまり最近のことです(笑)
昨年12月、音楽通し稽古終了後に音楽アシスタント(副指揮)の方が僕のところに来て
「指揮に合わせようとしてる?タイトルロールなんだから指揮を引っ張って行かないと!」
と言われ、その時初めて
「指揮=合わせる」
から
「指揮=こっちに合わせさせる」(ちょっと言い方は悪いけどw)
という意識が生まれました。
これまでは一度も言われたことのないアドバイスで、自分自身の固定概念が崩れると同時に大きな責任がのしかかってきました。
タイトルロールはただ歌うだけがその役割ではなく、物語を進行させなければならないのです。
そして、タイトルロールは歌う箇所が多いです(笑)
ま、物語の進行役ですから当然といえば当然なんですが
そこはワーグナー・・・・
そもそも3時間以上の上演時間にも関わらず、計算上、タンホイザーは1時間弱歌ってます(笑)
そして言葉が多い・・・・
ベルカントオペラの様に「同じ歌詞を延々と繰り返す」という手法(親切設計)は採用されていないので、目下暗譜に忙殺されています(ヽ´ω`)
そんな暗譜に最善な方法(個人の感想)を最近編み出したので、次回はそれを紹介したいと思います( ・∀・)