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年金不安は越年

2006年12月30日 21時48分01秒 | 社会保障問題
「年金制度というのは破綻しない制度である」という説明を誇らしげにする人たちがいるが、こういうのを見るに相当アレだな、と思ったりする。もうちょっと一般社会の人々と同じ程度に考えて下さいよ。普通、「給付水準をお約束しますから、この制度改革案に賛成して下さい」と言っているのであれば、それが「契約」とほぼ同じ意味合いであると考えるのは当然であろう。「100万円預けたら、利息を1万円払いましょう」という約束をしていて、そうだろうと信じて預けたのに、「やっぱり100円しか払いません」と後で言われりゃ、「契約違反じゃないか」と思うのではないか?給付水準を50%確保します、なんて謳い文句を信じろというのは難しいんじゃないか?


年金見込み水準、人口減で破たん ニュース 医療と介護 YOMIURI ONLINE(読売新聞)


出生率に怯える社会


子どもの数が急には増えないのは、今すぐにはどうしようもない。回避できない。仮に上向いてきたとしても、効果が出るのはずっと先。なので、保険料を払う人々の割合が確実に減っていく。今のような厚生年金制度から漏れてる人たちとか、年金未納者たちとか、そういう人々の負担を将来誰かがせねばならない。その上、高齢者は確実に増えるから、受け取る人々は多いのである。現役世代の人々が払う保険料や税金でこれらを賄わねばならないのである。保険料の形であろうが、税金の形であろうが、取られることは同じである(笑)。よく「保険料で全部賄うのではなく、国庫負担がある」とか当たり前のことを言う人もいるのだが、国庫は「打ち出の小槌」なんかではないのである。誰かが税金を払わねばならないのであり、年金財源が不足するからといって、無限に国庫から金を引っ張ってこれるわけではないのである。


現在支払っている保険料の払い込み合計額と将来予想される受取額を考えた時、公的年金の水準が「約束通りには払えません」という落ち込みが強く推測されるなら、払わない方がいい場合も有り得る。別な消費や投資に回した方がマシだと考えるからである。それに、現時点で低所得の為払える余裕がないのであれば、「将来生活保護でいい」と考えることもあるかもしれず、そうであるなら未納を選択する方が有利である。遠い将来の数万円よりも、目の前の数千円、というのが本当に必要な人たちはいるのである。


悲観的な見方になれば、現役世代3人で2人の高齢者を支えろ、とかいうことになるかもしれないのである。本当にそれが可能なのであろうか?今の時点でさえ、厚生年金の保険料と給付額の差は6兆円規模でマイナスなのである。運用益や積立金取り崩しなんかで穴埋めはしているが、今後も労働者の給与が伸びず、企業が負担を回避している限り、給付額の伸びには追いつけない。負担逃れで「厚生年金には入れてやんない」という選択をしているのであるから、保険料の払い手の頭数が大幅に減るに決まっているのにね。


要するに、たくさん保険料か税金の形で現役世代が払い続け、給付を受ける高齢者世代も思ってたよりずっと少ない額で我慢することになり(働き続けられる限り働かねばならないかもしれない)、老後の生活設計の大幅変更を強いられるのが関の山である。こういう制度を「破綻している」と呼ぶのは当然ではないか。


そういえば、上の参考記事でポンジーのことを書いたのだが、前に立ち読みした経済関係の本にも出ていたな。著者の書名も全く覚えていないけれど、確かに出ていた。割と有名な経済学者の本だったと思うんだけどな・・・・