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防衛利権の闇~守屋前次官はスケープゴート?

2007年11月05日 21時52分04秒 | おかしいぞ
どうやら大きな闇が隠されているらしい。

まずは、コレ>ZAKZAK

何だよ、zakzakじゃないか!とか怒らないでね(笑)。確かにゴシップ関係が多いのかもしれないけれど、ヒントにはなっていると思えるのでね。二瓶再逮捕とか、PCIの強制捜査とか、段々と核心部分に接近している可能性はあるんじゃなかろうか、と。まだ点に過ぎないけれども、これが線に繋がった時には、何かが動くであろうと思う。そこは捜査というか、特捜の腕にかかっているだろう。

10月の出来事から追ってみよう。

14日 給油量疑惑で守屋証人喚問要求
16日 PCI の強制捜査の報道
17日 特捜部の捜査、二瓶容疑者ら再逮捕
18日 守屋次官のゴルフ接待疑惑一斉報道
    以後、守屋バッシング続く

22日 小沢代表の山田洋行献金返還報道

29日 守屋国会証言
    久間、入院
    小沢、党首会談受入
30日 1回目党首会談
31日 F2 名古屋で炎上事故

どの勢力との暗闘なのかは判らないが(そんなものはないかもしれないし。陰謀論が結構好きなので。笑)、様々な思惑が交錯しているのであろう。10月の後半2週間でこれほどの状況変化というものが出てくるというのは、偶然かもしれないけれども、凄いことだと思うね。


元々は「米軍への給油量を隠蔽した疑惑」というところから守屋前次官への追及が始まった。防衛省内部の問題からスタートしていたのだが、どうも検察が捜査をやっている、みたいなことは「上の方」では知っていたであろう。そこで、「何かを急ごう」という焦りみたいなものか、ワザと忙しい状況というものを作り出していたのだろうか?どこに弱みを握られたのか?それは関係ないのか?…謎が多いかもしれない。

防衛庁内部の「情報漏れ」の問題というのは、今に始まったことではなくて、同じような状況は過去にもあった。

防衛庁で何が起きているか~小久保一郎

事件は古いのだが、この記事中にも守屋が登場しており、防衛庁内部の人事・権力抗争みたいなものが複雑に絡んでいたようだ。この時にも制服組と内局との対立などがあって、これは給油量の問題とも共通する問題でもある。未だにこれが解消されることなく続いている、ということだろう。スーツと制服組の確執は根が深いということかもしれない。しかも、海幕の暴走みたいなものもあって、それが石破や中谷といった防衛庁長官経験者の若手防衛族に食い込んでいるということも窺われる。これまでの給油活動というのが内部的対立の産物であった、というのであれば、これも問題だろう。いずれにせよ、防衛庁には以前から内部抗争はあって、権力闘争という面でもスーツと制服の対立という面でも、続いてきた、ということであろう。

あと、こちらも参考になる。
噴出する防衛省スキャンダル 検察が狙う本当のターゲット - ビジネススタイル - nikkei BPnet

田原は、検察の狙いは津島派、平成研にあり、ということらしい、と書いている。特捜と平成研とは、因縁がある。例の毒まんじゅうの人の1件ですね。あの時には、故橋本、青木、野中という権力者は起訴には至らぬままで終わった。今回は果たしてどうであろうか、というところかもしれない。恐らくターゲットに入りそうなのは、防衛族として名前を売ってきた人たちだろう。守屋証言の後、突然の雲隠れを決め込んだ久間初代防衛省大臣が最有力候補であろう。他には、現財務大臣の額賀元防衛庁長官だ。
<寄り道:キモい石破大臣は変態チックではあるけれども、叩いてもあんまり埃は出てこないらしい。さすが防衛オタクだ(笑、それともマニア?)。確かにマニアっぽい人たちというのは、その気性として「きっちり」してないと気が済まなさそうな感じを受ける(私の勝手な印象ですけど)し、兵器や知識には魅力を感じても接待や利権ゲームには興味がなさそうだもんね。(自衛隊の)制服を着ている”オトコ”には興味ありまくりではあっても、色仕掛けには関心がなさそう、というような感じ(笑、安全保障上はいいかも)。>

で、守屋バッシングの構図は見え難いのだけれど、大方言われている通りに、たぶん山田洋行が「仕事取られた」とバックに付いてる久間・額賀近辺に泣きついた、と。日本ミライズ&守屋陣営に奪われたと。そこで、圧力かけちゃうよ、ということで守屋を切ったら、どこからか穿り返す方々が現れた、と。防衛省内部なのか、外交関連筋?なのか、別な利権関係なのか、判りませんけれども、捜査の手が伸びてきたことは自民党の一部では知られるに至ったのではないでしょうか。
久間に代わり小池大臣が就任して守屋を切ろうとしたのは、別な思惑だったろうと思いますね。それは小池大臣は以前に沖縄担当相だったからだろう。小泉政権時代の環境相だった時、沖縄担当も兼務していて、沖縄地元民の陳情なんかを受けていたはずだからね。政府系金融機関の統廃合問題が持ち上がっていた時には「沖縄では基地問題があるので、沖縄振興開発金融公庫には(特別の)配慮をして欲しい」旨、述べていたはず。つまり、地元に配慮して欲しい、という意向はずっと前からあったのだろう。それが守屋との対立の原点ともなっていただろう。情報云々の責任を取るとか、守屋の癒着なんかを理由とはしていなかったであろう、多分。後付けの理由だろうと思うよ。

沖縄利権については、こんな話があるそうだ。
-江田けんじNET- 今週の直言 316

一部引用する。

『安全保障上の要請から沖縄県内移設しかないとすれば、周辺住民の安全面や騒音等の環境面、生態系への負荷等の負担を極力軽減し、日米安保上の要請も満たす、そのベストミックスを追求するしかない。にもかかわらず、それが地元利権への思惑で歪められた。その象徴が、当初の「海上施設案」ではなく「埋立方式案」への変更(普天間飛行場代替施設基本計画/平成14年7月)だった。「埋立でないと地元土建業者にお金が落ちない」との理由で、それで甘い汁を吸おうとする政治家を巻き込んでの結果だった。

その後、紆余曲折があって昨年、名護市のキャンプシュワブ沿岸に建設されるV字型滑走路の建設で一応決着をみた。それを強力に推進したのが守屋事務次官だった。彼には毀誉褒貶があるが、少なくとも本件で、彼個人の思惑や利権等への意識が働いたことはない。代弁すれば、現在のV字案を、知事や名護市長が要望するように沖合にずらせば、米軍の管理水域内からはずれ、途端に、反対派の実力行使や知事の許可権限等の関係から計画が頓挫することを懸念するからだ。事の是非は別にして、彼が頑なにV字案の修正を拒んできた理由はここにある。』

つまりは、地元利権が東京もん(=守屋)には理解されてなかった、ということかと。守屋次官は米軍との折衝経緯やジュゴンへの配慮(笑)ということから、地元利権なんぞを優先させる必要もない、と判断していて、政府案もそこに落ち着いていた、と。しかし久間大臣は突如利権に目覚めたのか(笑)、反対するようになって米側に疎まれた。地元の意向を優先させようとしたからだ。この点では小池大臣も同じであり地元配慮を滲ませていたはず。沖縄知事や名護市長などの反対が何度も出されていたからね。沖縄知事選では小池さんは直接応援に行っていたんじゃなかったかな?

とりあえず守屋は切ったし後は人柱になってもらおう、ということにしたのだろう。それは元々給油量疑惑の話だったからね。でも、突然「ゴルフ接待疑惑」というのが18日に一斉に報じられた。ありゃ何だったのか、よく判らない。バッシング対象としての仕込みだったのかもしれないけど。国策捜査の人身御供経験者(笑)である佐藤優はこんなことを書いている。
livedoor ニュース - 【佐藤優の眼光紙背】第5回:守屋武昌前防衛事務次官に対する証人喚問


山田洋行は泣きついていったことを悔やむだろうな、と。もう山田洋行と日本ミライズの利権争いという話ではなくなった。どちらも暴かれるということだな。
結構詳しく出ていたよ、コレ>山田洋行 - Wikipedia

まあこうなっちゃったら、久間が雲隠れするというのは、よく判るね。
日米・平和文化交流協会ですか。
福田、石破、額賀、ら現職大臣は名前を抜きました、と。ああそう。武部、赤城、前原、中谷、なんかもそうなんですか。ほほー。
更には、東祥三(元民主党議員)が山田洋行に入ってるようだ、と。これは小沢筋ですか?直接的には関係ないかもしれんがね。複雑ですね、中々。


国会質問でも、山田ゴルフ倶楽部でプレーしてた人たちは、守屋以外にごっそりいたということを指摘されとるね。02年6月23日。

国会質問

○大門実紀史君 じゃ、はっきりと、同席はされていないということですね。
 じゃ、ちょっとかねてから私、思っていることも含めて、せっかくの機会ですのでお聞きしたいと思いますが、額賀大臣はゴルフが趣味だということで、結構なことだと思いますが、〇二年の六月二十三日に、この事実はもう守屋さん自身が国会で認めておられますけれども、山田洋行のグループの山田地建というのがあります。要するに、山田洋行のグループがあります。それが千葉県にゴルフ場を持っています。山田ゴルフ倶楽部といいます。幾つかのゴルフ場を持っております。そこで〇二年六月二十三日に、額賀さんと久間さんと浜田靖一さんと東さんですね、今山田洋行の顧問をやっていらっしゃいますが、元衆議院議員ですけれども、それと守屋当時の防衛局長、プラス防衛庁から七人、合計八人、課長級以上がその山田洋行経営のゴルフ場でゴルフをされたという事実はこれはもう国会でも認められているわけですけれども、終わってから当然飲食もあったのではないかというふうに私思いますが。
 昨日の流れでいきますと、ちょっと疑問なのは、これは会費を払ったゴルフだったのかと。守屋さんがこのときだけお金を払ったとは思えないんですけれども、これはお金を払ったゴルフだったのかどうか、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(額賀福志郎君) それは私が出ているんですか。全く分かりません。覚えていません。

○大門実紀史君 じゃ、これ後でまた調べてお聞きいたしますんで、会費を払ったかどうかがこの間でいけば非常に重要な問題になりますので、後でまたお答えいただけるかと思います。
 そうすると、出たことも覚えていらっしゃらない、同席した人間もよく覚えていらっしゃらないということですね。じゃ、ついでに調べてもらえればと思いますが、このときに山田洋行の人間がゴルフしたというのは、これは防衛庁から聞いておりますので、額賀さんも出られているのは間違いないわけですけれども、後で確認していただきたいと思いますが、そのときに山田洋行の人間が一緒にいなかったかどうかですね。
 といいますのは、このゴルフの主催そのものが、これは大臣よく御存じの安全保障議員協議会の主催でございます。大臣もメンバーですし、山田洋行の宮崎元専務もその理事をやっていらっしゃいますから、その主催ですので、当然私は山田洋行の人が、宮崎さんかどうか分かりませんが同席していたのではないかと思いますので、一緒にまた調べて、機会があればお聞きしますので、お答えをいただければと思います。
 もう一つ、私、防衛関連企業、いろいろ調査をしてきているところがあるんですけれども、山田洋行だけではございません。ミサイル防衛とかいろいろいきますともっと大きなところがいろいろあります。
 大臣は、三菱重工、三菱電機、つまり三菱グループの皆さんと宴席をともにされたということはございますか。

○国務大臣(額賀福志郎君) 三菱重工の皆さん方と安全保障協議会等で忘年会とかそういうときに参加をして、大勢いる中で一緒になったことはあります。


そうでしたか。接待ゴルフ。いや、いいんですよ、ゴルフくらい(笑)。
防衛庁長官だったのは久間が96年11月~98年7月、その後を継いだのが額賀だった。
当時守屋は、守屋武昌 - Wikipediaによると
1995年12月 - 長官官房防衛審議官兼防衛局防衛政策課長兼防衛研究所企画室長
1996年6月1日 - 内閣官房内閣内政審議室内閣審議官併任
1997年1月20日 - 情報本部副本部長兼任
1998年6月30日 - 防衛施設庁施設部長
1998年11月20日 - 長官官房長

というような経歴で官房長まで階段を駆け上がっていった時期だった。
次に守屋が2人と出会うのは事務次官就任後の05年に額賀大臣、06年に久間大臣となった時だ。守屋と久間や額賀は昨日今日の付き合いなどではなく、はるか昔からずっと付き合ってきたんじゃないの。更には防衛族であれば、みんな守屋を知らないはずはなかったであろう。02年のゴルフなんて珍しいことでもなく、日常茶飯事のことだったろう?


ちょっと脇道にそれる話だが、山田洋行がらみでRCCのことが出てくる。どうも債権が大幅に損失を喰らってるんじゃないか、っていうようなことだね。不自然さもあるみたいだ、と。
で、このネタは恐らく会計検査院の検査に引っ掛かっていたはずで、RCCの債権の損失額が2千億円から3千億円とかに膨らむんじゃないか、そうなると損失穴埋めで税金からの負担になるんじゃないか、ってな話だったと思う(定かではない、ソース探してない)。つまり、RCCを調べていたら、買取債権とかに怪しいやつがあるよ、というのはバレていたと思われますね。検察がどこから情報を掴んだのかは知らないですけれども、ODA関連でPCI が捜査対象となり、山田洋行も「久間・額賀へのお車代」なんかがバレてますから、いずれ検察捜査で詳しく明らかにされるかもしれません。


更には、三井物産との問題もあった、と。
10月29日付の日経産業新聞によれば、GE社製のF2エンジンの補修部品に関して、三井物産が切られ代理店を山田洋行に変更されてしまった、ということらしい。山田洋行と三井物産の幹部級会合で両者の交渉(提携話)は決裂した、ということだった。これまでGEと組んできたのは三井物産であったのに、どういうわけかF2エンジンの補修部品は山田洋行にぶん取られてしまった、ということ。不可解な商権変更。

そしてどういうわけか、31日の名古屋でのF2炎上事故。
初めての事故だったらしい。テストパイロットの操縦。定期点検中の事故。
パイロットは奇跡的に脱出して事なきを得た、と。
その後、警察は捜査に入った、と。
うーん、この辺りも不可解ではあるけれど、たまたば偶然「同じ時期」にF2の事故だったんだよね。


まあ、謎は深まるばかり。
守屋次官は本丸ではないことは確かだろう。
官僚をバッシングして、ここに落としどころをこしらえたい連中が、どこかにいるということか?
それとも、他の狙いがあるのか?
闇は残されたままだ。



エコーチェンバーはどこにあるか

2007年11月05日 10時46分23秒 | 俺のそれ
この前のサイバーカスケードに関連して。

ブログ記事で初めて知ったのだけれど、サンスティーンの説明には、「エコーチェンバー」なるテクニカル・タームがあったらしい。

2007-10-29 - 児童小銃


で、チョロりと思ったことなど。
エコーチェンバーのイメージは、要するに自分たちの意見の「共鳴+増強」装置みたいなもんかな、と。
これに類することは、以前に書いた>「サイバー・デモクラシー」は醸成できるか~1

コメントスクラムなんかの例を見ていても、大体は同じような印象を持つ人は結構いるだろう。
あるポイント(=場、例えばどこかのブログや掲示板など)に意見が積み重ねられていくと、集団分極化っぽい現象は生じてしまうことがある、ということかと。何かの意見の強化が行われ、同時に声の大きさも大きくなりますね、というのが、エコーチェンバーの正体ですね、と。

具体例
「○○病院を訴えた遺族は××だ」
「~はトンデモ判決を生み出している」
「~は謝罪するべきだ」
「投手交代は~だ」
「~は歴史捏造だ」
「日本軍は~だ」
「特定亜細亜の~は××だ」

まあよくある話ですね。エコーチェンバーという「機構(?装置?)」は、ネット上のそこかしこにあると言っていい。だからといって、全部が炎上に繋がるわけじゃないけど。

しかも現実世界であれば大丈夫、ということもない。ネットのサイバー空間特有の話なんかではないのである。
その場合、エコーチェンバーはどこにあるだろうか?
大抵は、マスメディアにある。
「役人は許せない」
「偽装・隠蔽を詫びろ」
「責任を取れ」
とかみたいなものかな、と。
これまでにも何度か書いてきたが、マスメディアの「謝れ!お前らが悪いんだ、泣き詫びろ!責任取れ!」みたいな姿勢が一番強力なんですよ。会見場での記者氏のツッコミや、吊るし上げの様子を見れば明らかですもんね。

亀田一家のことを、しつこく繰り返し繰り返し報じたり、あれこれとバッシングに加担していたのも、みんなマスメディアでしょ?現実世界の中で、主婦の井戸端会議で「ダイキは悪いわね」「オヤジが一番のワルよ」「いいえ違うわ、TBSよ」みたいに面と向かって討議していた人たちなんて、殆ど滅多にいなかったと思いますよ。因みに、我が家でも、家族でも、仕事上の知り合いでも、誰一人として「亀田一家」の話題で「~が謝罪するべきだ」「~は悪くない」とか論評していた人はいなかったよ(笑)。つまり、エコーチェンバーを自作自演みたいに構成しているのは、マスメディア自身、ということ。「声の集積」は、何度も繰り返し報じられるニュースやVTRやコメンテーターの低脳コメントや雑誌記事なんかを通じて、勝手に「モンスター化」していくのだよ。だからこそ、亀田一家の問題があれほど長期間に渡って、テレビや雑誌などに取り上げられてしまうのですよ。一般人の多くはあんなものにそれほど関心などないのですよ。はっきり言えばどうでもいい。
あと、沢尻エリカのVTRにしても、何回流されたでしょうか?
それも、ブログや掲示板でしつこく同じようなコメントを書き連ねる連中と全く同じなのですよ。そして、その圧力は有効に作用し、テレビ画像から見事に沢尻エリカを消し去ったのではありませんか?どちらも私には関心のない話だし、どうだってよいのですけれども、そうした「エコーチェンバー」は現実世界の中にこそ「強烈に」存在しているのです。そのメディエイターmediatorの役割を担っているのは「マスメディアの中の人」であり、彼らが「自身で感じとる」ということになると、エコーチェンバーの発動をアシストしてしまう、ということでしょう。本人には自覚がなくてもそうなってしまうでしょう。
まさしく「マス」とテレビだの新聞雑誌だのとを繋ぐ媒介役となっているのですよ。エコーチェンバーを演出するのは、特定個人の「マスメディアの人」ということです。

メディエイターの人は、悪意はなくても、みんなに知らせようと思って、「~がありましたー、是非みんな見て下さいねー!」みたいに御注進に走っているようなものです。マスメディアはトータルでは良かれと思って、皆に知らせるのだけれど、結果としてはエコーチェンバーの発動を強化しているのです。
ネット上でも同じで、悪意や攻撃の意図とは無関係に、媒介役を担う人々がまとめサイトを知らせたり、掲示板にアドレスを書き込んだり、色々とお知らせ活動をやってしまう。すると、情報をあまり知らなかった人々も集まってきてコメントスクラム状態を生み出す、みたいなことになってしまう。マスメディアもこれと一緒なんですよ。掲示板だとか、ネット上のどこかに、「どこどこが燃えています」みたいに書いてるのとおんなじ。

ただ、ネット上で炎上したとしても、多くの場合に実質的損害が大きいとは限らない。それは影響力の範囲が、マスメディアに比べればまだまだ小さいからだ。けれど、マスメディアにある「エコーチェンバー」がひとたび発動すると、それは非常に大きな影響力を持つのです。ま、私自身もそれに便乗したことはあったので、それを責めることなどできないのですが。
今のところ、現実世界のエコーチェンバーの阻止機構は明確には存在していない。これが非常に危険性を孕んでいるということになるでしょう。あるとしても、対抗言論、というようなことくらいしか存在しないでしょう。けれど、それが黙殺された場合には、歯止めとなるものはないでありましょう。


他には、集団自決抗議集会というのがありましたが、これも似たような現象かもしれません。
いうなればエコーチェンバーの発動であり、集団分極化の一例のようなものではないでしょうか。あそこに集結していた人々はどちらかといえば「polarization」的で一方に偏っていると思われ、あの場所で「いや、日本軍の強制はなかったから」とか主張できるでしょうか?仮に主張する人が少数いたとしても、大群衆の声にかき消されて集団内で埋没するだけなのです。そうして、あの集会を(報道を通じて)見た多くの人々は日本軍の強制が隠蔽されたのだ、という一方の極だけの意見に同調してしまうことになり、各自がもっと詳しく調べ資料や文献などに当たってみるなどということは殆ど行われません。自ら考えることは少ないのです。ここで真実がどちらかということを論じるわけではないので、それはおいておきますけれども、あの抗議集会こそが現実世界での例と考えてよいでしょう。このような集団の圧力が作用して、結果的に「検定意見」を覆すことに成功するのです。これはブログ主に、「謝れ!」とか「間違いを認めろ!」という要求を突きつける人々と、本質的に同じようなものだ、ということです。
「軍の犯罪を隠蔽するな」「過ちを認めろ」「検定は捏造だ」「歴史修正主義者の陰謀だ」みたいなコメントスクラムによって、「検定意見が間違っていました、私の考えを改めます」とブログ主に表明させたのと、何が違うと思いますでしょうか?


サイバー・デモクラシーの記事に挙げた例として新幹線建設問題を書いたので、また使ってみます。
現実世界の推進派たちの集会では、商工会のオジサンとか、地方議会議員とか、建設業界の社長さんとか、地上げ対象地域の地権者とか、そういった人々が集っていると思います。これもエコーチェンバーの機構そのものであり、既に集団分極化が進んだ結果でありましょう。こういった集会の場では、反対派の根拠となっている「数多くの資料、意見、評価」などといったものは省みられることはありません。すなわち、反対意見の「情報取得コストは高い」ということです。周囲にいるのは、賛成意見のオヤジ連中ばかりです。建設が決定されるとどんなにいいことがあるか、自分たちの利益に繋がるか、みたいな一方的な賛成意見だけが、「ご来賓」とか「有力者」たちからしつこく繰り返し繰り返し聞かされるわけです(笑)。現実世界においては、そこでいちいち対抗意見や反論などが即座に出されるわけではないのです。それだけ情報の偏在が大きく、コストも高い、ということなんですよ。故に、推進派たちのオヤジたちには、論理的に自分の意見を賛成と決定できるような決定機構は存在していません。賛否の両方を同時に聞いたり、両派が討議する機会には滅多に遭遇しないからですね。

反対派にしても同じです。抗議集会同様に、反対デモなんかを繰り広げることが多いので、それらがエコーチェンバーとなっているだけです。デモ集会で、あわよくばもっと多くの一般大衆をpolarizeしようと活動しているということですね。鉢巻やプラカードに「~を守れ」「~を断固阻止せよ」と書いておくことで、声の強さをアピールし、磁石の極方向に向かって引き寄せようとしているのです。更に、悲痛な叫びをもって、(マスメディアの)メディエイターたちにも届くように配慮しているのです。


つまるところ、現実世界であれば質の高い討議ができるとか、エコーチェンバーを通じた先鋭化が防げるとか、集団分極化が起こらないとか、そういうことではないように思えます。むしろ、情報取得コストが高い分だけ、ネット上の方が有利なのではないかとも考えられます。エコーチェンバーは現実世界においても存在しており、サイバー空間での影響力よりもずっと大きいと言えるでしょう。


次は、この対策なども考えてみたいと思います。