いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

オール人力狙撃システム試作機

過剰警備と演出

2008年07月06日 16時09分52秒 | 社会全般
えー、昨日は結構長時間飲んでいたので、かなりヘロヘロ。デモ隊の話とか、逮捕者が出たとか、そういうニュースは一切知りませんでした。そんなことがあったんだ、と。率直な感想を言えば、経費の無駄なんじゃないだろうか、と。一言で言えば、「やりすぎ」だ。


見せる警備、というのは、多分警察庁とか警視庁などの「対テロ部門」「要人警護部門」みたいな(どんな分野でどんな組織体系なのかとか全然知らん)幹部連中が、「一生に一度」という大舞台を前にして、超「張り切り」過ぎて編み出したようなスローガンの一種なのではないかと思います。あれです、昔日の血、みたいなもんです。表現がヘンですね。簡単に言うと、卒業年の「最後の学校祭」で目一杯盛り上がろう、みたいに張り切っていた時の心境、に近いようなものです。そうした、若き日の血が騒ぐ、ということですね。一世一代の晴れ舞台を前にして、興奮するな、昂揚感を持つな、みたいに言っても、それは無理でしょうから。けれど、ありがちな標語?だと「心は熱く、頭は冷たく」という感じで、幹部の方はもっと冷静になっているべきではないかと思われます。兎角現場は熱くなりがちでしょうからね。


今回のサミットの警備体制において、達成するべき目標というのがあります。
誰が考えても判ることですが、安全に何事もなく過ぎるというのが一番大事です。これは当然ですけれども、付随的な目標として「アピールする」というのがあります。言ってみれば、国民向けのデモンストレーションみたいなものですね。これをやることによって、「存在意義を認めてもらいたい」ということがあるわけです。承認欲求(笑)ってヤツかどうかは知りませんが、そういうのに近いものかもしれません。

そういうわけで、今回、最も張り切っているのが警察です。学校祭と全く同じで、長期間かけて計画を立て、それを実施してきたわけです。いよいよ晴れ舞台に立ったわけですから、「魅せたい」みたいな気分にもなりましょう。そいうのが、ちょっと面白くないと言いますか、「何だよ、警察の連中は。あんなに張り切っちゃって(笑)。まるで自分たちだけで警護していると勘違いしているんじゃないか?ウチも負けてられませんよ」、という気分になっているのが、自衛隊や海保でしょう。全然知らないんだけど。単なる想像なんですけど。

なので、警察機構の全精力を挙げてのデモンストレーション、更にはライバル心を剥き出し気味の陸自、オカには負けてられんぞ海はオレたちに任せろと釈迦力になる海保、海保がデバってくるなら海自が黙っていられない、後れを取るわけにはいかない空自はAWACSのアピールするぜ、みたいな。端的にいうと「負けるもんか」的なことが根底にあって、まるで愛車自慢大会を見せられているようです。やっぱ、オレの愛車が一番だぜ、と(笑)。男子の悪いクセかもしれません。警察庁、国土交通省、防衛省、それぞれに事情というものもあるでしょうからね。

こうした自慢大会によって、それぞれに「ウチの組織の存在意義」みたいなものを国民にアピールしたい、ということなのです。気持ちは判らないでもありませんが、やりすぎるのはよくないと思いますよ。なんといいますか、演出過剰。全然面白くない芸人が、無駄に騒いでいるかのようです。まるで出川(笑)状態です。

まあ本格的にテロリストがバカであると、厳重警備の中にわざわざ飛び込んできてくれるかもしれませんが、普通はもっと別な考え方をするでしょう。やる気で狙うなら、警戒が厳しくなる前から準備しておくし、直前になって乗り込んでくるのは単なる間抜けか、殆ど無害と言ってもいい人たちばかりでしょう。隣国に攻め込む直前になってから、「間者を放て」みたいに命令する大名は準備が悪すぎる、ということです。もっと以前から忍者部隊を潜入させておくに決まっているでしょう。
あと、警備の手薄な場所で「効果的な場所」というのは、東京やサミット会場周辺以外にもたくさんありますからね。全国から応援の機動隊などが出動しているなら、出した側の地域は手薄になっている可能性大ですからね。そういう場所であれば、「やりやすい」ということになります。

「見せる警備」で犯罪抑止に、というのがあるにせよ、あまりに過剰です。無駄に経費がかかるだけですね。全員公務員だから、給料が増えるわけではありません、とか言うのかもしれませんが。原油高の折、ヘリの燃料費だってバカにはならんでしょう?



前置きが非常に長くなりましたが、本題に入りましょう。
デモ隊の逮捕事件のことです。

<洞爺湖サミット>NGOなど大規模デモ、4人逮捕 札幌(毎日新聞) - Yahooニュース

(一部引用)

同本部によると、北島容疑者はスピーカーを積んだトラックを運転してデモ行進に参加。警察官の制止を無視してトラックを前後に動かし、警察官にぶつけて公務を妨害した疑い。小池容疑者は北島容疑者が逮捕される騒ぎの中、私服警察官の腰をけって公務を妨害した疑い。

 同市中央区の大通公園でデモ前に集会が開かれ、国際農民団体や南アジアのNGO、国内の労働組合などさまざまなグループが集結。デモは午後3時ごろ始まり、参加者は「KNOCK DOWN G8」と書いた旗を掲げたり、「ノーモアG8」などと叫びながらススキノ地区などの中心街を約2キロ歩いた。

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ロイターカメラマンが逮捕された、って、ちょっとオカシイですよね。ロイターは記事にはっきり書いて、警察に抗議するべきでは。
ポイントは「私服警察官の腰を蹴った」という部分です。これについては後述しますが、とりあえず次の記事を見てみます。

サミットでデモ行進 ロイター記者ら4人逮捕(産経新聞) - Yahooニュース

こちらの記事中では、
『途中、警察官の指示に従わなかったとして、車を運転していた男が、窓を警棒でたたき割られて拘束。現場は一時騒然となった。』
と書かれています。
参考になるのは、産経記事の横に載せられていた写真です。

・脇にデモ隊側のものと見られる車両が映っている
・機動隊が盾などのフル装備をして迎え撃つ体制


現場を見たわけではありませんので、何が起こったのかは判りませんが、推測で書いてみます。

①デモ隊は事前に許可を受けているはず

デモの手続等は全く知りませんが、交通規制等が必要であるから警察の許可を受けたものしかないのでは。許可申請者から事前に実施計画等を明らかにされているはずだろうし、仮装行列であろうと許可したのは警察ですよね。車両が入ることも当然判っていたでしょう。また喩えで申し訳ないが、よさこいソーラン祭りの行列みたいなもの?と変わらない、ということでは。ニュースでしか見たことないけど。踊り子+山車?車両みたいな隊列とほぼ同等だろう、ということ。

②デモ隊には機動隊をぶつけるのが基本?

国会周辺とかで、よくデモが行われているんだろうなと思うわけですが、そういう時にも毎回フル装備の機動隊が投入されているんでしょうか?よく知らないんですけど。これほどの数の警察を用意するのだろうか?参加者が2~3000人で、それと同じ数かそれ以上の警察官や機動隊員を投入するという理由がちょっとよく判りませんね。じゃあ、国会周辺のデモ隊が500人だと、それとほぼ同数の警官が出動しているとか?(笑)
今回のデモ隊だと、外国人参加者の割合が高いので、日本のデモとは違う、という理屈なんでしょうか?
ちょっとよく判らないんですけれど、どうなんでしょうか。国内デモに比べて、かなり過剰感がありますわな。

③黒装束に問題があるの?

暴走族でも、ねぶた祭りのカラス族でも、成人式の黒装束でもいいんですけれども、通常は対応しているのが一般の警察官で、機動隊をぶつけているケースというのは、あんまり見たことないんですけど。暴徒化の危険性とか、そういうことなのかもしれませんが、今回のデモ隊がそういった国内で「暴れている」連中の場合と比較して、かなり危険度が高いということでもあるなら判りますが、何もしていないうちからフル装備の機動隊がアリの這い出る隙間もなく立っている、というのはかなり過剰な感じです。カラス族みたいに暴れてもいなければ、破壊行為や暴力行為もなく、ただ仮装行列やシュプレヒコールや「囃し立て」くらいの行為なのに、何故あれほど過剰に機動隊を並べるのか、ということです。単なる示威でしかないように思います。それは暴力で威嚇しているのと全く同じだ、ということです。牛にわざわざ赤い布を見せるから暴れだすわけで、装備が何もない一般人にはデモ隊は暴力を振るわないよ。機動隊みたいに防具を色々と装備していると、少しくらいでは「痛くも痒くもないだろう」と思うからこそ、打撃力アップ(投石とか)を図ろうとしてしまうんじゃないかな、と。多分、アロハシャツと短パン+素足にサンダルの無防備警官隊には、誰も投石攻撃をしないと思う(笑)。

④車両運行に問題があると直ぐに窓を割るの?

よさこいソーラン祭りの時の山車車両(大型ダンプ?やバス?)が、予定している走行ラインから僅かでもズレたり、運転者が勘違いをして入れないゾーンに車両を寄せるor向けるなどした場合、警備担当者はいきなり窓をブチ破って運転者を引きずり出すんでしょうか?それは想定しにくいんですけど。ビルなどの駐車場で一方通行の通路を過って車が進入しようとしていたりする時、駐車場係の人は車の停止を求め運転者に正しい通路を指示すると思います。それとも、いきなり窓を破ってしまうんでしょうか?(笑)


逮捕騒動の顛末を考えると、こんな感じでは。

運転者はデモ隊の参加者たちの脇を進んでいたのだと思う。ゾロゾロ歩いている人たちに気をつけながら低速で進んでいただろう。危ないからね。で、警察から、「こっちにはみ出ないで、もっとこうしろ」みたいに何か言われたのだろう。すると、運転者は「列に沿って進んでいるだけだ、問題ない」とか何とかちょっと反論したんじゃないかな。
  
すると、警官が檄昂、警察の指示に従えないっていうのか!
  ↓
車両を止めろ、すぐ止めろ
なんだ?なんだ?どうした?何があった?
警官隊が藁藁と車両周辺にじり寄る
  ↓
コイツら、警察に楯突く気ですぜ
警察のいうことをきけ、できないならここで停止だ!
  ↓
運転者:こっちは許可取ってるから問題ないだろ、停止の証拠出せ、証拠
  ↓
オレのいうことがきけないってのか!指示に従え!
運転者は感情的に何か言ってます、興奮しています、興奮(←お前がだろ、お前が)
隊長どうしますか?確保しますか?
OK、予防措置だ、興奮が伝播する前に鎮めろ、ソッコウで確保、やれ!
  ↓
らじゃー!
確保に移れ!窓、割れ、割って引きずり出せ。
  ↓
実行。警棒でおもいっきり割って、ロック解除、運転者を無理矢理引きずり出す。
  ↓
周辺にいた参加者及びロイターカメラマンが警察の横暴に気付く
  ↓
何てことすんだよ!暴力は止めろ、何もしてないじゃないか!
  ↓
隊長、運転者確保、周辺のヤツラが仲間を呼ぼうとしていますぜ。ヤリますか?
OK、予防措置セカンドステージ、「仲間を呼ぶ声」を封じろ。確保、即排除せよ!
  ↓
実行。異議申し立てをしただけの参加者が続々排除される。
  ↓
ロイターカメラマンは一部始終を動画撮影していたか、写真を撮影。
警察の横暴はやめろ、こっちは撮影して証拠をとったからな!
誰も何もしていなかったぞ。
  ↓
まずいです、隊長、ジャーナリズムの虫が発生。排除シーンを押さえられた模様。
どうしますか?
OK、もみ合いげんじょう周辺から引き剥がせ。
ペン厨(ジャーナリスト等のこと)は暴力に過敏なので、力加減を忘れるな。
冷静に対処せよ。私服、行け!
  ↓
らじゃー、背後から引き剥がします。一般人のふりをして実行しますぜ。
私服警官、カメラマンをむんずと掴み羽交い絞め。げんじょうから締め出そうと企図。
  ↓
カメラマン、いきなり見知らぬ男に暴力を振るわれたと勘違いし防衛の為振りほどこうとする。
  ↓
やりましたね?今、あなた、私にやりましたね?体に触っちゃったね?
私服警官、ハイ、公務執行妨害ー!確保せよ、と制服を大量に呼ぶ
  ↓
カメラマン、確保される。
証拠映像や画像は没収か消去を強制?

以上、逮捕者4名確保、お手柄、お手柄、パチパチパチ。。。


じゃないだろ。
運転者は暴走して警官をひき殺そうとしたりしてたんですか?そんなに危険性が高まるほどに興奮したりしていたのですか?

むしろ、過敏になっていたのは警官隊の方ではないですか。興奮していたのは、警備にあたっていた警官の方でしょ。これが、上の例に書いたような「カラス族」だったり、よさこいソーラン祭りの山車の運転手だったら、このような対応になっていましたか?(笑)

きっかけが一体何だったのか、というのは正確には判りませんが、恐らく些細なことであったでしょう。警察の指示に対して、運転者が警官に何か言い返したとかはあったかもしれませんが、それは普通ですよ。「どうしてですか、どうしてその命令に従わねばならないんですか」って、根拠を聞いてくることは当然ありますよね。その時に、警官が正しく命令の根拠を提示できなかったのであれば、その命令そのものが無効(法的根拠のないもの)であるとか、そんな権限を有していないということだってあるかもしれません。それは警察の落ち度であって、デモ隊側には何らの悪意や犯罪意思なんかはないわけですよ。それを暴力的に実行するのが「警察権力」が非難される結果を生み出すのですよ。

で、以前に書いた通りだった。
ビラ投函事件に関する考察

「ポケットの中のものを出せ」→「どうしてですか」→警官4人で署に連行
これと全く同じ構図だ、と言っているのですよ。白川元国家公安委員長を連行したのとおんなじ。

「○○しろ!これは警察の命令だ!」→「どうしてですか」→ガラスを割り引き摺り下ろす
特に法令違反もないのであれば、「どうしてですか」と尋ねるのは当たり前だ、ということ。そこで正しい説明ができないのは、警官のせいだ。「~はナニナニに違反している。だから~をやめなさい。さもなくば逮捕しますよ」ということでなければ、おかしいでしょ。命令の正当性もないのに、「~をやめなさい」とか「○○しろ」とか命令できるわけがないんだから。


しかも、カメラマンに対しては、私服警官が背後から何らかの行為を行ったことは間違いないでしょう。行為は力学的な力が加わるようなことに決まっていますよ。そうじゃなければ、後ろにいた私服警官を「何の理由もなしに」蹴るはずもないでしょう。本当にカメラマンの動作が「蹴る」というものだったのかどうかも怪しいもんです。ゴルゴ13だと、後ろに立ってるだけの人間であっても、必ず全員殴られますけど(笑)。押し競饅頭みたいな場面にいて、自分の体を背後から襲われたと勘違いしないと言えますかね?

上記参考記事中で、『なんだよと胸を軽く触っただけで「ハイ、公務執行妨害で連行ー!」とか、やめろよと軽く腕を振り払っただけでも「イテテテテ、はい暴行罪で連行ー!!」とか、逮捕理由をいくらでも作り出せるようになるだろう。』と書いたんだけれども(*)。これも全く昔から変わっていないよね。

(*):今みたら文章が変だった。いつもヘンかもしれんが。本当は、『…連行ー!!」とかよくあるけど、これと同じく、』というつもりで書いていたんだけど完璧に抜けてた。


カメラマンが身柄拘束されたので、釈放との取引材料として映像や写真などの没収か消去させられるかもしれず、それは警察の不法行為を咎めることができない、ということになってしまうだろう。ロイターはこの件について、真剣に抗議の記事を書くべきだと思う。基本的に、カメラマンが警官に暴力を振るわねばならない理由なんてものはないんですから。逆に、撮影なんかを阻止しようとするという動機は警察にあるし、デモ隊が悪くないのに警官が無理矢理排除に動いたのであれば、警察側にとって最も都合の悪い存在というのはジャーナリストですから。
警官の不当な暴力をきっかけにして、大規模な暴動やデモが起こることは過去に世界中で観察されてきましたからね。

それとも、逮捕者を出そうというような意図の下に、わざと逮捕劇を演出していたという可能性だってないわけではないでしょう。警察はよくやった、と褒めてもらえるから、というようなことですね。それにプラスして、デモ隊はやっぱり危険なんだ、という印象を与えられるかも、ということもあるかもしれません。実際どうなの、というのは判らないんですけれど。



首脳到着前なのに、既にナンですけれども、警察はまず自分の興奮を冷ますべきでしょう。
それとも、宴会が始まる前に一杯引っ掛けて行こうと思っていたらそこそこ飲んじゃって、みんな宴会場に到着する前に自分1人だけ既に出来上がっちゃってる酒飲みオヤジみたいなもんですかね(笑)。