「55年体制」として、政権交代は狙わない万年野党である代わりに憲法改正を発議させない3分の2の議席阻止のみを狙った社会党の存在を知っている国民からすれば、現在の国会の大政翼賛会になりつつある惨状を見て、表向きは「なんでも反対」という社会党の存在が懐かしくも、惜しまれているかもしれない。
「野党」だったはずの少数政党が「ゆ党」になったり、突然政府提案の予算案を全面的に賛成するという現状では、このような法案もすんなりと成立してしまうという危うさ満載である。
「経済安保推進法案で軍事研究加速か 『見えないところで進む』識者危惧」
【東京新聞より】
法案は重要物資の供給網強化や基幹インフラへのサイバー攻撃排除など4本柱で、政府が今国会に提出した。柱の一つである先端技術開発の官民協力で軍事研究の加速が指摘されている。研究対象として、軍事分野でも重視される量子やAI(人工知能)、宇宙などが想定されるからだ。 岸田文雄首相は国会審議で「民生利用や公的利用への幅広い活用を目指す」として、軍事研究の意図はないと強調してきた。ただ、小林鷹之経済安保担当相は国会審議で「(研究)成果は防衛省の判断によって、防衛装備品に活用されうる」と認めた。 ◆研究者に守秘義務、罰則も付け 法案では他国依存のリスクが高い技術を特定重要技術と定義。政府はその研究開発を図るため、個別のプロジェクトごとに政府関係者と研究者らで構成する「官民協議会」を設置する。特定重要技術の開発を進めるため、基金を設置し、政府が基金に資金を補助できるとした。政府は2021年度補正予算で既に、2500億円の基金を創設。将来的には5000億円まで増額させる計画だ。 協議会の参加者には「機微情報」の守秘義務があり、違反した場合は1年以下の懲役か50万円以下の罰金が科される。 東北大の井原聡名誉教授(科学史・技術史)は「防衛直結の先端技術や研究者を協議会で囲い込み、見えないところで軍事研究が進む恐れがある」と指摘する。 ◆資金てこに学術界から協力者、政府に思惑か 政府が官民連携の強化を目指す背景には、日本学術会議が戦後3回にわたり、軍事研究への反対声明を発出したことがある。政府は潤沢な資金をてこに、軍事研究と距離を置く学術界内部から協力者を取り込む思惑もあるとみられる。 政府は官民協議会への参加や離脱は任意だとする。しかし、研究者は研究開発に携わった後に協議会を抜けたとしても、守秘義務によってその後の研究活動に制約がかかりかねない。 衆院の法案採決では立憲民主党なども賛成に回ったが、弁護士らでつくる市民団体「経済安保法案に異議ありキャンペーン」は「企業活動や学術研究の自由を侵害するおそれが強い」として、参院審議で抜本的な見直しを要求している。 また、法案は重要物資やインフラ設備の対象など138項目を政省令に委ねている。その理由について、政府は「あらゆる事項をすべて法律に規定することは困難」とするが、政府の判断だけで決まり、国会は関与できない。 |
こんな体たらくな国会にした張本人は、国会答弁で118回もウソの答弁を繰り返した安倍晋三であることは国民の周知の事実であろう。
118回もウソの答弁"…安倍前首相、謝罪するも 「桜を見る会」問題(2020年12月25日放送「news every.」より)
当時の元秘書が違法性を認識していたことが明らかになったのだが、そんな秘書の「雇用責任」が安倍晋三に問われなかったことが問題であった。
「安倍元首相の元秘書、違法性を当初から認識 『桜を見る会』夕食会補填問題で供述 本紙請求に開示」
まあ、当時も今もそうなのだが、検察庁が内官邸の手先に成り下がってしまい、政治家の不正を追及する「地検特捜部」が弱体化してしまったことが最大の原因であった。
そんな安倍晋三もコロナ対策で失敗し自らトップの座を退いたまではよかったのだが、自民党内の最大派閥の領袖になってから、「夢よもう一度」という思いなのか、自分の存在を改めて示そうという言動が最近顕著になっている。
最近では、こんな記事がでる始末である。
「仏紙に掲載、安倍元首相の“ロシア批判"に『あんたが言うか』の続出の理由」
この方の辞書に「自己検証」という文字はあるのだろうか。 ロシアによるウクライナ侵攻が激化する中、4月21日、都内で開かれたシンポジウムで、プーチン大統領を「力の信奉者」とし、「戦国時代の武将のようなもの。織田信長に人権を守れと言っても全然通用しないのと同じ」と、痛烈に批判した安倍晋三元首相。だが、そんな安倍氏は首相時代、プーチン氏と27回も会談を重ね、「ウラジーミル、君と僕は同じ未来を見ている」と語るなど、蜜月関係にあったことは周知の事実だ。 「安倍氏は、2014年のクリミア併合に際し、人権問題を理由に欧米主要国首脳がソチ五輪開会式に欠席する中、躊躇せずに出席。プーチン氏を喜ばせたことは有名な話。さらに、16年には地元の山口県・長門に招いて“おもてなし"し、3000億円の経済協力を約束。北方領土の4島返還を2島返還に妥協するなどの譲歩を見せ、結果、プーチン氏を大いに増長させてしまった。ならば、まずは自分の失策を自己検証し、反省すべきことがあればきちんと表明すべきですが、同氏には全くそんな様子が見られません。それどころか、自分の言動をすべて棚に上げたプーチン批判に、さすがに党内からも批判の声が上がっています」(全国紙政治記者) しかも、安倍氏のこうした発言は、国内だけにとどまらず、なんと海外メディアでも発信されているというから厄介だ。 「実は、19日付の仏紙ルモンドが安倍元首相の寄稿を掲載しているのですが、これと同様の記事が、数日前には米紙ロサンゼルス・タイムズにも掲載され、チェコ共和国の国際評論サイトによってそれが世界に配信されているんです。記事の中で安倍氏は、『ロシアによるクリミア併合の際、ロシアがウクライナの主権を侵害したにもかかわらず、国際社会はこれを黙認した』として、結果、戦略的な曖昧さは通用しなくなった。したがって『中国による台湾有事の場合、米国は台湾を防衛することを明確にする必要がある』と、今回のウクライナ危機を台湾有事に重ね、米中の武力対立をあおるような発言をしています。まさに『あんたが言うか?』ということでしょう」(同) ウクライナ戦争を機に「核共有」論を含め、「防衛費をNATO並みにすべき」等、防衛力強化について、次々に持論を打ち出し続ける安倍元首相の次なる狙いとは…。 |
さらには、よせばいいのにこんな発言もしていた。
そもそも、円安は自国の通貨価値が下がるわけで、それにより自国の信頼性にも大きく影響するわけで、過度な円安誘導を長く続けては決していいことではないはずである。
「安倍元首相“円安は日本経済にプラス" 日銀の措置 支持を強調」
自民党の安倍元総理大臣は、25日開かれた党の議員連盟の会合であいさつし、円安が急速に進んでいることについて「今の水準で右往左往する必要は全くない。日本のように輸出の工業力があり、外国からの観光客が再び戻ってくれば、円安は、日本にとって間違いなくプラスの環境になる」と指摘しました。 そのうえで「金融政策を為替に活用しないことが基本的な考え方であり、円安に金融政策で対応することは間違いだ。金利を上げて経済を冷やせば、スタグフレーションに入り、経済が非常に惨めになることは明らかだ」と述べ、日銀が金利上昇を抑え込むために実施している措置を支持する考えを強調しました。 |
さて、日本でも世界でも芸人やタレントから政治家になった人物は数多いが、お笑い芸人とか漫才師から政治家とか首長になった者は、かつての「漫画トリオ」の横山ノックが大阪府知事になったことぐらいしか記憶がない。
もちろん政治家とか首長は特別な資格や学歴がなくても有権者が選ぶため、知名度とか人気投票の類になる場合も多い。
いまや「祖国を守るヒーロー」扱いされているウクライナのゼレンスキーに対してかつては「裸のコメディアアン」と指摘した評論家が一時は多くの批判を浴びていたが、世界各国にオンラインで訴えるゼレンスキーの演説内容が、訴え先の国の歴史を盛り込んだ非常に良く練られた原稿でもあるのでは、とささやかれていたが、最近になってそんな疑惑が明らかになった。
「米国のPR会社や弁護士らが演出に関与 ゼレンスキー演説やウクライナ報道の裏側」
ウクライナのゼレンスキー大統領が欧米や日本の議会にオンライン演説を要請し、各国の実情に即した語りで議員たちのスタンディングオベーションを誘い、ウクライナへの軍事支援やロシアへの制裁を引き出している。この手法をめぐって、アメリカのPR会社の演出がとりざたされている。 ゼレンスキーとアメリカのPR戦略の関係については、ゼレンスキーが3年前に大統領に就任した直後からワシントンのロビー会社が契約を結び、海外向けPR戦略を一手にひき受けていることが報じられてきた。この会社にはオバマ元大統領やバイデン大統領のスピーチライターが所属している。 最近、アメリカの政界専門メディア『ポリティコ』(3月17日)がゼレンスキーのアメリカ議会での演説を受けて「ウクライナのPRマシンの背後にあるインフルエンサー」の見出しの記事を掲載した。記事は、ウクライナ政府がアメリカ国内で雇ったロビイストやPR会社、元政府高官と結びつき「メディア報道や政策立案の糸口となる強力なメッセージマシンを構築している」ことを明らかにしている。 それによれば、ゼレンスキーの顧問を務めているのはウクライナの法律事務所でワシントンオフィスを構える弁護士のアンドリュー・マックである。同事務所はウクライナで「年間最優秀法律事務所」に選ばれ、昨年春にアメリカ国内でロシアがウクライナにとっていかに脅威であるかとの認識を広めるよう依頼を受けていた。 マックはワシントン周辺のジャーナリストと定期的に連絡をとりあい、ABCやNHBCニュースにゼレンスキーへのインタビューもプロモーションしている。彼は議会前のゼレンスキーに演説について意見をのべる関係にあるという。 他にも、オバマ政府の対ロ政策顧問やロシア大使を歴任した政治学者のマイケル・マクフォール(現スタンフォード大学教授)があがっている。彼は米3大ネットワークの一つ、NBCの解説者も務めており、ウクライナ政府側と番組プロデューサーとの関係構築を支援していることを認めている。 『ポリティコ』はまた、アメリカのロビイング会社ヨークタウン・ソリュージョンズとPR会社KARVコミュニケーションズが事実上、ウクライナの石油・ガス業界団体を代表するエージェントとなっていることを明らかにしている。これらの企業の仕事は、ドイツとロシアを結ぶ天然ガス・パイプライン「ノルドストリーム2」の運営会社への制裁や、ロシアから米国への石油、ガス、エネルギーの全面的な禁止を実現することであった。 先のマイケル・マクフォールは、「ウクライナ政府とゼレンスキー自身、彼の周囲の人々はかなり洗練されている。彼らは長い間、アメリカのエリートやアメリカのメディアと交流してきたのだ」と発言している。 これがメディアが持ち上げる「ウクライナ側の情報戦の優位性」「ゼレンスキーの巧みな演説」を支える構図だといえる。 ウクライナの戦局をめぐってテレビがくり返し流す「非人道的な攻撃」による被害現場の映像もこうした情報戦の重要な一環であり、その真相については次第に明らかとなっていくだろう。そのうえで近年、アメリカ政府と一体化したPR会社がアメリカ国内にとどまらず、世界を戦争に巻き込むうえで重要な役割を果たしてきたことを思い起こす必要があるだろう。 アメリカ政府・メディア・PR会社が合作してセンセーショナルに煽った典型的なフェイク映像として人々の記憶に焼き付いているのが、1991年の湾岸戦争の引き金となった一人の少女の涙ながらの訴え、いわゆる「ナイラ証言」であった。「イラク軍兵士がクウェートで保育器に入った新生児をとり出して放置し死に至らしめた」という見てきたようなウソは後に、クウェート大使の娘がアメリカのPR会社が創作したシナリオにそって演じたものであったことが判明した。 このPR会社はニューヨークを本拠とするヒル・アンド・ノウルトン社であった。同社はクウェート大使館から1200万㌦(約13億円)の資金を受けて架空の市民団体「自由クウェートのための市民運動」を偽装し、イラクへの反感をあおるよう委託を受けて、この大がかりなキャンペーンを周到なリハーサルを経て実行に移したこともこれまでに暴露されている。 湾岸戦争ではもう一つ、ペルシャ湾に流失した原油にまみれて苦しむような水鳥の映像が「フセインの残忍さ」を印象づけ、アメリカのイラク民衆殺りくへの批判をかわすうえで、大きな効果をもたらした。この原油流失はアメリカがイラクの石油精製施設にミサイルを撃ち込んだことがもたらしたものであった。しかし、アメリカは「イラクの原油放出による環境テロだ」といいくるめ、イラク攻撃への支援を得るために利用したのである。 PR会社・マスコミはこれを認めても、反省するどころか正当化してきた。そしてその後のアフガニスタン、シリア、ボスニア・ヘルツェゴビナなど、アメリカ・NATO軍が関わった戦争でも「女性や子どもが被害を受けた」「病院が攻撃された」という証言への同情、また戦災現場の被害者の証言にウソはないという素朴な感情をターゲットに、それ以上の残忍な行動を覆い隠すやり方を常套手段にしてきたのである。 |
このような事実を知ると、連日垂れ流されているウクライナ各地での悲惨な映像も「眉に唾」付けてみる必要があるかもしれない。
最後に米紙ロサンゼルス・タイムズにも掲載された寄稿に対して「あんたが言うか」と言われていた安倍晋三による日本衰退の原因についての国際戦略問題研究所長の津田慶治のメルマガを紹介しておく。
「安倍氏の責任重大。日本衰退の原因が『アベノミクス』であるこれだけの証拠」
■日本衰退の原因はアベノミクスだ 世界はインフレで日銀以外の中央銀行は利上げを行うが、日銀は利上げができない。なぜかと対処策を検討する。 NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、2022年1月4日に36,799ドルと最高値更新となり、3月8日は32,632ドルまで下落したが、4月14日は34,451ドルで、18日は39ドル安の34,411ドル、19日は499ドル高の34,911ドル、20日は249ドル高の35,160ドル、21日は368ドル安の34,792ドル、22日は981ドル安の33,811ドル。 4月22日に、パウエルが初めて議長として0.5%利上げを示唆し、それを受けて、年末政策金利予測は2.74%まで上昇した。ということは、利上げペースは5月6月の連続0.5%利上げや0.75%幅の利上げもあり得ることになる。景気後退を意識して、景況感を映す10年債利回りはやや下げて2.90%になった。 このため、株価は大幅な下落になり、4月は株価の安定性がなくなり、4月20日までの1週間に米大型株から引き揚げられた資金は196億ドル(約2兆5,200億円)にも上るようである。 市場の混乱を見て、イエレン米財務長官は、米経済は一連のショックに対して「非常に耐性がある」ことが証明されており、リセッション(景気後退)に陥るとは想定していないと、市場に向けて述べた。 FRBが金利上昇を急ぐが、銀行は平静を保っている。これは銀行にある米国債を担保に無利子で貸し出すので、銀行は問題がない。銀行は貸出金利を上げられるので、銀行はOKである。 中国は、コロナで3億人以上もロックダウンしているので、経済停滞で、IMFではGDPを年間4.4%と前回に比べてマイナス0.4%にしたが、この大きな落ち込みは、ロックダウンである。 今後、米利上げと中国の景気後退で世界的な景気後退が来ると、今まで上げていた資源株も大幅な下落になっている。 ネットフリックスも会員数純減を受けて、株価が35%も下げて、コロナ特需で株価を上げてきたグロース株も下落した。世界経済は、ウクライナ戦争と中国のゼロコロナ政策と米利上げの3つの要因で、世界経済は縮小するとみていることがわかる。 しかし、ロシアとウクライナの生産減は、他国が生産増にするため相殺できるはずであり、短期な景気後退はあるかもしれないが、米国もシェール増産、小麦・トウモロコシの増産、軍備品増産などで潤うことになるはずであり、物価上昇も短期的なものであるとみる。 それでも、世界の投資家は、短期しか見ないので、一度大きく下げる可能性は否定できないが、そこが買い場になるとみる。 ■日本の状況 日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、2021年9月14日に30,670円で31年ぶりの高値になり、2022年3月9日は24,717円の底値になり、4月15日は27,093円で、18日は293円安の26,799円、19日は185円高の26,985円、20日は232円高の27,217円、21日は335円高の27,553円、22日は447円安の27,105円。 18日の週は、27,000円台をキープしたが、25日の朝は大幅安で始まる。ドル円は一時129円まで上昇して円安が進んでいる。黒田日銀総裁は、それでも金融緩和を続けるというので135円までには確実になるようだ。口先介入は効果がないことも証明した。 G20後の日米財務相会談で、日米の協調介入を提案したが、イエレン米財務長官に拒否されたという。当分、円安方向は変わらないことになる。 しかし、黒田総裁は、円安がどこまで進んだら金融緩和をやめるのかだが、止められない。悪い円安との認識を持つが、金利が上昇すると国債費が財政を圧迫するので、それもできない。日本単独の為替介入という手があるが、長くは続かない。 米国の利上げで金利差は拡大するので、円キャリートレードが起こり、円で借りて世界で運用すると、当分円安は進むことになる。 そして、円ドル相場には8年サイクルがあり、次の2023年が円安のピークになるとも言われている。 円安ということは、通貨で持つと価値が下がるので、資産で持つしかないが、海外投資家の日本売りにはならいようだ。この状況でも海外投資家は、日本株を買っている。 米国株に比べて、日本株のPERは著しく低い。配当利回りも6%の物も多数ある。このため、下げた地点は買い場になる。米株からの退避先として、日本株は妙味がある。 ■日本の現状と対処策 日本の債務残高は、1,220兆円でGDPの256%であり、世界最大の借金国である。この金利が1%で国債費は年間12兆円になり、2%となると24兆円になってしまう。3%では36兆円と予算全体と同じ額になる。 日本銀行は2021年末時点の国債保有残高が約521兆円で半分を日銀が持っている。 令和4年度予算概算の総額は、31兆1,688億円で、このうち国債費は、24兆3,393億円もある。77%が国債費ということになる。利子支払いは8兆円であり、日銀持ち分を除く金利分として見合う。 ということで、金利上昇は政府としても国債費の膨張からできないことになる。このため、日銀の10年国債の指値オペが必要で、金利を0.25%に固定して、国債の金利1%を魅力あるものとしたいのであろう。 円安の対応策としては、指値オペで国債を日銀が吸収して、金利上昇でも国債費が増えない方向をめざすしかない。それが終わるまでは、異次元の金融緩和を続けるしかない。利上げができるようにするために、今までより強力な緩和が必要となる。 それにより、国債の日銀以外の保有分を減らして、金利を上げても国債費が増えないようにすることだ。ここまでを黒田総裁が行うことで、次期総裁は利上げを行える環境を作ることである。それが、黒田さんの責任範囲だ。 そのため、黒田総裁が辞任するまで、円安は止まらない。150円もあり得る。国債吸収という円安防止策が円安を進ませるという結果になる。 それと同時に、急速に財政健全化を行い、赤字財政ではなくプライマリーバランスを取り、利上げができるようにするしかない。 しかし、高齢者の増加が続くことで社会保障費の支出が増えているので、この増加を抑える必要もあり、年金支給額は年々減らされることになる。消費税増税も必要になるし、社会保険料の値上げも必要になる。その結果、日本人を貧困化させることになる。 国債を増やした元凶は、アベノミクスである。年間30~40兆円もの国債発行を増やしたのに、それを最先端の産業育成に使わずに、国民にバラまいたことで、国債発行額が急増して、円安を止める利上げもできなくなってしまったのだ。このような政策では、ハイインフレになるので、ダメと何度も指摘したが、聞き入れなかった。 ハイインフレで、日本人が貧乏になると、再三、このコラムでは注意してきたが、とうとう、そのような事態になってしまった。1年前まで、MMTをそれでも主張する高市さんのような政治家が跋扈して、日本の未来は暗いと注意した。 前回のコラムに対して意見があり、明るい面だけではないというが、ここまで来ると、貧乏になることを覚悟の上、一度、超円安にして、日本復活を図るしかない。 前回で、日本企業の工場回帰、農業活性化、林業復活、再生エネルギー構築などと産業育成策を提案しているが、貧困層への給付金の議論しか、国会報道に出てこない。勿論、それも必要であるが、それだけでは、日本は復活しない。 円安で、日本復活の大チャンスであることを知ってほしいのである。円安で貧困化することは、前から分かっていることで、安倍元首相の責任重大であるが、そこで議論を止めても仕方がない。 物価統制を当分行う、統制経済にするしかない。輸入を止めて国内生産を拡充して、労働力を難民やロボットに頼ることである。円安になるため、ベトナム人のベトナム国内での給与が日本より高くなり、ベトナムからの移民もなくなる。 このため、ミャンマーからの難民やウクライナからの避難民の労働力を得るしかない状態になってきた。移民ではなく、難民を入れるしかない。それなら、ロシアやベラルーシからの避難民も入れればよいのである。 ここまで来たのであるから、今までの反省もするが、それだけでは終わらずに、日本復活という政策で前を向いていくしかない。 もう1つが、国債増発ができない仕組みを構築するしかない。金本位制などの物と連動した通貨の仕組みが必要である。政治家の恣意では通貨を増やせない仕組みが必要だ。 戦後、日銀の財政ファイナンスを禁止したのに、法律趣旨を無視して政治家は、それをしてしまったことは、大きい反省である。財政赤字ができない仕組みを作ることしかない。 |
確かに「円安で貧困化することは、前から分かっていることで、安倍元首相の責任重大であるが、そこで議論を止めても仕方がない。」わけであるが、その安倍晋三の息がかかった岸田文雄が残念ながら「アベノミクス」を批判し見直すということをしていないことが、現在の日本の最大の悲劇であるかもしれない、とオジオサンは思う。