新・定年オジサンのつぶやき

残された日々をこの世の矛盾に対して勝手につぶやきます。
孫たちの将来に禍根を残さないよう、よき日本を「取り戻したい」。

侵略戦争に踏み出したプーチンのロシアには明日はない

2022年04月25日 12時57分57秒 | 戦争と歴史

今年齢80歳になる作曲家の三枝成彰が、日刊ゲンダイディジタル版に5年ほど前から「三枝成彰の中高年革命」と題したコラムを書いている。

過去のアーカイブを調べたら、最初のコラムは「男性ホルモンは大事 孫を抱く暇があるならオンナを抱け」というタイトルで、まさに昭和生まれの中年オヤジ丸出しの内容だった。

 その後どんなの批判があったのかは知らないが、徐々に本来の自分の姿に戻りつつ、政治問題でも安倍晋三や菅義偉らに対する批判も行っていた。
 
そしてロシアのウクライナ侵攻以降は独自のスタンスでこの問題を毎週取り上げてきている。
 
そして、先週金曜日にはこんなコラムを書いていた。
 
日本は自国の“黒歴史"への反省なくしてロシア非難はできない
    

ロシアのウクライナ侵攻に対して世界中が非難囂々(ごうごう)だが、みじんも後ろ暗いところなくロシアを批判できる国は、どれほどあるのだろうか?
 まず日本。中国戦線では中国軍の死者は130万人、民間の死傷者は2000万人にのぼるという。そして敗戦までに、軍人・軍属・民間人を含め400万人もの犠牲者を出した。現在も110万柱の遺骨が収集されず、かつての激戦地に置き去りにされたままだ。
 アメリカは開拓当時、ネーティブアメリカンなどの先住民の居住地を幾多の戦争で平らげ、自国の領土として支配した。1846年からの米墨戦争でメキシコに勝つと、併合済みのテキサスのほか、カリフォルニア、ネバダ、ユタ、アリゾナ、ニューメキシコ、ワイオミング、コロラドを自国領とした。スペインとの米西戦争(1898年)ではスペイン領だったフィリピン、グアム、プエルトリコを得て、キューバを保護国にしている。これらは侵略戦争ではないのか?
 1941年からの太平洋戦争は日本の真珠湾攻撃が契機だが、アメリカは事前に知っており、第2次大戦に参戦する理由をつくるため、わざと攻撃を許したともいわれる。ルーズベルト大統領は「欧州の戦争には参戦しない」と公約に掲げて当選したにもかかわらずだ。挙げ句に日本に2度の原爆投下を行い、広島と長崎を壊滅させ、多くの人たちを被爆させた。
 その後は朝鮮戦争、ベトナム戦争を経て、2003年からのイラク戦争だ。911テロ(これ自体にアメリカ陰謀説がある)をきっかけとしてイラクに大量破壊兵器保有の疑いをかけ、爆撃を行ってフセインを殺したが、結局何の証拠も出なかった。
 この戦争はイラクが原油取引の決済をドルからユーロに変えようとしたことへの制裁だったともいうが、事実ならば犠牲者たちは浮かばれない。
 ドイツも旧ナチス時代、600万人ともいわれるユダヤ人を虐殺し、ヨーロッパ中に消えない傷痕を残した。ユダヤ人を含む被害者の総数は2600万人に及ぶ。
 3月2日の国連総会では193カ国中141カ国がロシアへの非難決議に賛成票を投じた。賛成した国の多くは「すねに傷持つ身」である。ロシアと大差ない行いをしてきた国もあるだろう。もちろんロシアが現にウクライナで行っている軍事侵攻は明白な非人道的行為であり、最大級の非難をされてしかるべきだが、同時に、自国の“黒歴史"とも呼ぶべき過去の非道への反省も欠かすことはできないと思う。
 “戦争の世紀"から“共生の世紀"へ──。20世紀から21世紀にかけて大きく世の中が変わったことにプーチンは気づいていない。男性はマッチョでいられず、体形やムダ毛を気にして化粧もするようになった。中性的なタレントが人気となり、女性が政治や経済の要職に就いている。それが現代だ。何もかも、プーチンが妄想する「大ロシア」の頃とは様変わりしている。それなのに、いまだマッチョイズムを信奉し、力での解決を是として愚行に踏み切ったのだ。彼は21世紀に蘇ったヒトラーである。完全に裸の王様だ。
 時代の変化に真っ先に対応しなければいけないのが為政者のはずだが、プーチンは流れに逆行し、多くの市民を自らの妄想の道連れにしようとしている。
 そんな過ぎた時代の“強きリーダー"を演じ続けるプーチンを非難するなら、まずは自国の過去に目を向け、「私たちもかつてのあやまちを反省し、心から謝罪する」と一言おいてから向き合うべきだ。自戒と反省を踏まえての非難であれば、その時こそ大きな説得力を持つだろう。
 プーチンの行いは、21世紀に決して許されるものではない。

 

この三枝成彰のコラムに対してはネット上では玉石混交のコメントがあったのだが、代表的な2つのコメントを紹介しておく。
 
過去の侵略戦争を 反省する事は決して無駄な努力とは言えないし 良い事ではある
が、しかし ウクライナ問題との関連は断ち切るのが当たり前 
「罪なき者だけがまず石を持て」 と、言いたいのだろうがそれは 残念ながら別問題である。
そんな事を言い出したら収拾がつかない なぜならば先進諸国で過去に侵略の歴史を持たない国などほとんど無いからである。
世界中の泥棒を全てみな ひっ捕らえて懲らしめてからでないと 目の前の泥棒ひとり裁けない事になるという、そんなバカな話があるか。
「自国の黒歴史への反省」は、もちろん必要な作業であるし これを否定するのは右翼ぐらいしかいないが、ウクライナ問題への追及とは 完全に切り離されるのが当たり前だ。
具体的な例を言おう。
広島長崎への原爆投下は、世界中の誰からも非難されるべき非人道的行為として位置づけられる。
もっとも罪深い戦争犯罪の一つだが、この原爆投下を糾弾されるとすぐこの言い訳に走る米国人がいる。
「日本だって 中国 重慶に 無差別爆撃を加えて 無辜の民を大勢殺しているではないか」
↑ この事実を 本当に反省したのかどうかは別として、日本も無差別爆撃を加えた事実は未来永劫消えてなくなる事はあり得ないのだから、日本は 広島長崎の原爆投下を批判してはいけない事になる。
冗談ではない
結局 「あいつ等が泥棒したのだから 俺たちが泥棒しても許されるだろ」 と言う論理に加担する事になり、ロシアを擁護していると言われても仕方ないのではないか。

 
ロシアの侵攻後、巷から聞こえてきた「ドッチもドッチ」論である。
 
上記のコメントにはこんな批判的なコメントがついていた。 
 
論理が通ってないね。

<「日本だって 中国 重慶に 無差別爆撃を加えて 無辜の民を大勢殺しているではないか」
↑ この事実を 本当に反省したのかどうかは別として、日本も無差別爆撃を加えた事実は未来永劫消えてなくなる事はあり得ないのだから、日本は 広島長崎の原爆投下を批判してはいけない事になる。
冗談ではない

日本は 広島長崎の原爆投下を批判している。
= 黒歴史は反省しない。むしろ、中国 重慶に 無差別爆撃を加えて 無辜の民を大勢殺していることには
日本なりの正義があるということ。これは中国の人々にとっては「冗談ではない」
「冗談ではない」と言えるのは戦勝国だけ。戦争に負ければ、どの道言う立場ではないのである。だから、「正義」を力づくで勝ち取るような戦争はすべきではない。
---
結局、戦争なんてものは、当事者同士自らの「正義」を戦わせることでしかない。
他方から見れば黒でも自らは白にしか見えない歴史観を戦わせることだ。
そして、所詮、勝った側の歴史観(正義)にしかならない。
ロシアがこの戦争に勝てば、つまり、ウクライナの過去の黒歴史が認定されるだけのこと。
逆もまた真なり。
「ウクライナ問題との関連は断ち切るのが当たり前」は、ウクライナがロシアとの戦争で勝てば、そうだろう。
負ければ「当たり前」にならない。
世界史とは、戦争に勝った側がその史観を作り上げる。残念ながら・・・。


 
いまさらながら、「正しい戦争」とか「正義のための戦争」などというのはあきらかな形容矛盾なのであろう。
 
こんな冷めたツッコミもあった。
 
不思議に思うのは、湾岸戦争で数百万が殺されたのに幾ばくかも同情を示さなかった日本人が、白人のナチス・ウクライナ人には無条件で同情を示したことである。シリア人、リビア人アフガン人、どれほどが西側の好戦国の犠牲になったのだろう。
彼らに対して日本人は無関心であったにもかかわずにだ。
最近の日本人は夢遊病者のようであり、状況も分からず、的外れのことばかりやって世界にその恥をさらしている。
これらのことは日本史に黒歴史となって残るだろう。
これらのことに対して、世界は冷徹に観察しており、日本人は堕落し、近い将来、日本という国は消滅すると考えているのではなかろうか。

 
「日本人は堕落し、近い将来、日本という国は消滅する」ことに対しては当然ながら阻止しなければならない。
 
しかし、こんな「的外れのことばかりやって世界にその恥をさらしている」典型的なことがこれであろう。
 
ロシアに配慮? インドの自衛隊機経由拒否 日本、対中連携に危機感
 
そもそも3月2日の国連総会のロシア非難決議に対して棄権した35カ国にインドが含まれていたという事実を全く理解していなかった日本政府。
  
たとえウクライナ避難民に支援物資を届けるために自衛隊輸送機を派遣するといっても、他国からは日本の自衛隊は「立派な軍隊」なので、明らかに自衛隊機のインド国内の使用を許せばロシアからすれば「ウクライナ支援という反ロシア行為」とみなされてしまうという想像力すら欠如していたということであろう。
  
ところで、産経新聞社から東京新聞(中日新聞社)に移るという離れ業(?)をして、モスクワ支局長、外報部次長などを務め、現在ロシア・ウクライナ担当デスクの常盤伸が、自分勝手な正義をいくら振りかざしてもプーチンは自国民から見放されつつあるという。 
 
ロシア国民30万人が出国か。ウクライナ侵略の祖国に見切りをつけた人々

■衰退への道をひた走るプーチン・ロシア
ロシアのウクライナ侵攻は開始から24日で2か月。軍事作戦は、プーチン大統領の思惑通りには進まず、ロシア軍の損害も甚大だが、国内ではロシア国家の基盤にかかわるような深刻な事態が進行中だ。人口減に拍車がかかる可能性が高いうえ、国民の国外脱出が加速しているからだ。侵略によってロシアの国力衰退は決定的となったといえるだろう。
■人口問題、急激に悪化
戦況や経済制裁の直接的な影響に注目が集まる中で、やや見過ごされがちなのが、ウクライナ侵攻が、ロシアのアキレス腱ともいえる人口問題に及ぼす深刻な打撃だ。
実は、ロシアでは昨年1年間で、既に人口が100万人も減少(約1憶4,580万人)していた。新型コロナ感染による死者の増加が原因で、減少幅はソ連崩壊以降、最悪を記録したのだ。
ロシア政府は、自国産ワクチンを外国に供給し影響力を拡大するワクチン外交に熱心だが、足元では国民の国産ワクチンへの不信感が拭えず、接種率の低迷が改善されなかったからだ。
「偉大なロシア」の復活を目指してきたプーチン氏が、何よりも重視すると公言してきたテーマこそ人口問題だ。プーチン氏は、16年前の第2次プーチン政権発足時から、出生率の向上を優先課題に掲げ、第2子とそれに続く子供の出産に現金を支給するなど、一連の優遇措置を打ち出してきたが、対症療法的な効果しかなかった。結局現在も1人の女性が一生涯で産む子どもの数(合計特殊出生率)は平均で約1.5人にとどまっている。
ロシア軍がウクライナ国境に部隊を結集しつつあった昨年11月30日、モスクワで行われたVTBキャピタルの投資フォーラムでプーチン氏は、いみじくも「今後10年で最大の問題は人口問題だ」と喝破。「人道的な理由、国家の強化、経済的な理由から、人口問題の解決は主要な課題の1つである」と強調していたのだ。
ところが、それから3ヶ月も経たないうちにプーチン氏がウクライナを全面侵攻したことで発動された、前例のない規模の国際的な対露経済制裁は、すでにロシア経済を直撃しており、国民の生活水準の低下は免れない。そうした厳しい状況にあっては、出生率の向上など夢物語に近いというべきだろう。
同フォーラムで、プーチン氏は、ロシアは「人口動態の推移において二つの衰退を経験した。一つは大祖国戦争、もう一つはソ連崩壊後である」と述べた。プーチン氏のウクライナ侵攻は、ロシア史の文脈においても人口激減をもたらした二つの歴史的大事件に匹敵するほどの大事件である。その意味では皮肉にもプーチン氏はロシアの人口減少を決定的にした指導者になる可能性が高いと思われる。
■人口増の「奇策」
ただこうした客観的な予測とは正反対に、ロシアの人口を急増させる方法が存在しないわけではない。それはまさに現在進行中のウクライナ東部での戦闘に関連する。ウクライナ側によればロシア軍はドンバス地域、つまりドネツク州とルガンスク州の全領域を支配しようと大攻勢をかけている。ロシアは開戦直前に「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」を名乗る親ロ派武装勢力の支配領域を一方的に「独立国家」として承認、ロシアの傀儡である親ロ派武装勢力は先月下旬、ロシア編入方針を示している。ロシアが両州を全面制圧した場合、クリミア半島同様、ロシア併合を強行する可能性は排除できない。国際法的にも違法でウクライナにとっては到底容認できるものではないが、侵攻前の親ロ派領域だけでも計300万人以上の人口を抱えており、莫大な経済的負担を度外視して一方的に併合すれば、一気に相当な「人口増」となることは確かだ。ただ、米欧など国際社会の支援を受けたウクライナ軍の抵抗を打ち破るのは容易ではなく、現時点ではあまり現実味はないが、非合理としか思えない行動様式を示す現在のプーチン政権ならこの「併合シナリオ」を検討している可能性は高いだろう。
■国外脱出
さて侵攻直後から、ロシアでは非常事態や戒厳令導入のうわさが流れ、モスクワやサンクトペテルブルクなどの空港や鉄道駅から若者を中心に多数のロシア人が大急ぎで出国した。ますます強権化し、孤立する祖国に見切りをつけたのだ。脱出する国民がどれくらいいるのか。正確な数は不明だが、国外に脱出したロシア人を支援する団体「OKロシアンズ」は、既に30万人がロシアを出国したと推計。厳しい対ロ制裁のため、入国できる国は限られており、隣国フィンランドや、旧ソ連のアルメニア、ジョージア、或いはトルコ、イスラエルなどが主な出国先だが、一部の富裕層は、中東のドバイなどにも移っている。
あくまで推計とはいえ、2ヶ月足らずで30万人という出国者数は尋常ではない。ロシアがウクライナ南部クリミア半島を併合した2014年の年間国外移住者数にほぼ匹敵する。OKロシアンズが出国した1,000人に対して行った聞き取り調査の結果によれば、ロシアを離れた人々の多くは、モスクワなど都市に住む高学歴者で、IT人材が多いほか、自営業、科学・文化・芸術関係に従事する知的労働者の割合が多い。ロシアのIT企業の業界団体は、国外に出たIT人材は3月までに5~7万人としている。これまで見られなかったものとしては、ウクライナの前線に派遣されるのを恐れ、徴兵年齢に達した若い男性が招集前にロシアから退避するケースもあるが、当然ながらその実態は明らかになっていない。
ロシアのジャーナリスト、マーシャ・ゲッセン氏は、「旧ソ連に不気味なほど似ている得体の知れない新たな国に閉じ込められることを恐れ、戦争を繰り広げている国に留まることは、ウクライナ人に向かって爆弾を落としている航空機の中にいるようで不道徳に感じるからだ」(米ニューヨーカー誌)と指摘した。ゲッセン氏は、プーチン氏を批判的に描き国際的に評価される著書『顔のない男』(邦題『そいつを黙らせろ』)の出版後、身の危険を感じ、事実上米国に亡命しており、脱出するロシア人の心情を知り尽くしている。
■プーチン体制で海外脱出ブーム
注目すべきは、侵攻以前に、プーチン政権下では歴史的な「海外脱出ブーム」が起きていたことだ。それには構造的な原因があった。旧KGB(ソ連国家保安委員会)出身のプーチン氏は、「強い国家」の再建を掲げて、2000年に大統領に就任し、混乱したロシアに安定と発展を取り戻す「救世主」として、国民から絶大な支持を受けた。実際には、民主化が後退する中で、汚職は悪化し、巨大な利権構造の壁に阻まれ、石油・天然ガスなどの資源に依存した産業構造の改革は、いまだに手付かずのままだ。若者らの海外移住が増え続けていた背景にはこうした閉塞的な状況があった。
海外脱出ブームがとりわけ顕著になったのは、「体制内リベラル」といわれ2008年から大統領を務めたメドベージェフ氏(現安全保障会議副議長)が再選を目指さず、プーチン氏が翌2012年に大統領に復帰してからだ。
都市部の中流層を中心に保守化、反動化するロシアの行く末に、強い不安を覚える人々が急増したのだ。その後、2018年のギャラップの調査ではロシア人の2割が外国に永住を希望すると回答した。
ロシアからの脱出者がもし30万人に及ぶとしても侵攻されたウクライナからの避難民数と比較すれば、微々たる数字かもしれない。ただしウクライナ人の場合、停戦が実現すれば、帰国を希望する者が大多数と推測されるのに対して、脱出したロシア人の大半は、帰国する意思をもたないと思われる。ロシア政府はIT人材を引き留めようとあの手この手の優遇策を示すが効果は薄いだろう。ロシアではさらに統制が強化される可能性が高いからだ。
■「浄化」と豪語
これに対して、プーチン氏は、侵略戦争を拒否し政権を批判する人々を「裏切り者」と断罪している。とりわけ3月16日、経済制裁への対策を話し合うオンライン会議でのプーチン氏の冒頭演説は衝撃だった。「ロシアの人々は、常に真の愛国者と悪党、裏切り者を見分けることができ、偶然口に飛び込んできたハエのように、簡単に吐き出すことができる」と言いながら、実際に何かを吐き出す仕草をして見せた。そのうえで批判者の排除は「自然かつ必要な社会の自然の浄化作用」だと言い切った。
プーチン氏はこれまでも政権批判派を、ロシア人でありながらロシアの「敵」、つまり欧米に影響された「第5列」「裏切り者」などと非難してきた。最も荒々しい表現といえば、2011年の冬に、首都モスクワなどで吹き荒れた大規模な反プーチンデモの参加者を、キップリングの小説に出てくる、「猿の群れ」と猿呼ばわりしたことだ。しかし今回のように、国際社会と価値観を共有する批判的なロシア国民を「ハエ」呼ばわりしたうえで、彼らがロシア社会から排除されるのは、「社会の自浄作用だ」とまで表現したのは初めてである。22年間、プーチン氏をウオッチし続けてきた者として、この表現は衝撃的だった。
独裁政権に反対する国民を人間以下の存在とする暴言を吐いた現代ロシアの指導者といえば、ソ連を生み出したレーニンや、スターリン以来だろう。レーニンはロシア全土を収容所群島に改造。忠実なレーニンの弟子を任じていた独裁者スターリンは、農民への戦争ともいうべき強制的な農業集団化や、数百万人以上の国民を銃殺する「大粛清」(大テロル)を行い、ロシア社会は今もその後遺症に苦しんでいる。その意味では、政権を支持しない国民を「ハエ」呼ばわりするプーチン発言は、危険な兆候とみるべきだ。さらなる決定的に暗い展開を予感させるからだ。プーチン政権が今後、さらなる破滅的な政策を打ち出す恐れも排除できない。ウクライナへの歴史的、地政学的な「妄想」に囚われたプーチン氏が侵略戦争に踏み出した結果、ロシア国家の衰退が加速度的に進行する事態はもはや避けられそうもないようだ。

 
政権に抵抗する国内メディアは一切排除して、国民を恐怖政治によって支配するという時代錯誤のロシアは、たとえ今のウクライナ戦争に「勝利宣言」してもいつかは国民から見捨てられるのではないだろうか、とオジサンは思う。 
   

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