朝の情報番組を見ていたら、またもや数年前と同じような大水害に見舞われた地域の生々しい画像が映し出されていた。
昔の知識では梅雨は北海道を除いて日本全国的に一定の期間雨を降らせると思っていた。
最近の気象情報では「線状降水帯」なるものが主役となって大暴れしており、まさに「台風並み」の被害をもたらしている。
昨日までは九州・中国地方が中心だったが、今後は関東地方にもやってくるらしい。
自然災害はいくら事前に入念な準備をしたところで、「想定外」の事態が起きるものである。
したがって毎年多くの命が奪われている。
人間の対策にもおのずと限界があるものである。
しかし、人間が作った「システム」によるトラブルはけっして自然災害でもなければ、「想定外」のトラブルでもなく、「人災」なのである。
今朝は雨模様のため我が家の周辺では「カラスが泣かない日」となったが、人間が作った出来損ないのポンコツシステムの代名詞となった「マイナンバーシステム」のトラブルは、日本のどこかで誰かが使えば必ずトラブルが発生する。
「富士通、マイナでまた誤交付 システムを再停止」
富士通は30日までに、マイナンバーカードを使った証明書交付サービスで、別人の住民票の写しが誤って発行されたと発表した。一斉点検のため、子会社のシステムを利用する全自治体で、サービスを順次停止する。コンビニ交付でも同様のトラブルがあり、5月からシステムを停止して6月18日に再開したばかりだった。再開時期は未定という。 新たな誤交付は福岡県宗像市の庁舎内に設置した端末で28日に発生。住民票の写しを申請した利用者に、直前に発行した別人の住民票が交付された。前回のコンビニでの誤交付とは違う原因という。2019年に発生した別の不具合を機に全国のシステムを修正していたが、宗像市には反映されなかった。 システムは子会社の富士通Japanが、広域団体を含め、123の自治体に提供している。一斉点検中は自治体の庁舎内、コンビニに設置した端末を通じたサービスを利用できなくなる。この間に証明書の交付を受けたい場合は、自治体の窓口で直接申請する必要がある。 富士通の時田隆仁社長は6月26日の定時株主総会で「国民のマイナンバーへの不信につながった」と述べ、謝罪した。 |
マイナンバーカード 証明書交付システム 再停止へ | NHK https://t.co/3Mtw8VQgIS マイナンバーカードを使い、コンビニで住民票の写しなどの証明書を交付するシステムでトラブルが相次いだ問題で、28日、別人の証明書が誤って発行されるトラブルが発生したことがわかりました。
— 保坂展人 (@hosakanobuto) June 30, 2023
「マイナンバーカード」で再び「別人」の住民票が発行される不祥事が発生。同じ過ちを繰り返す杜撰さに開いた口が塞がらない。松本総務相は「遺憾」などと口にして他人事を決め込んでいるが、一度漏れ出した個人情報は取り返しがつかない。御託を並べる前に「健康保険証」廃止を撤回するのが先決だ。
— 異邦人 (@Narodovlastiye) June 30, 2023
もう少し詳しい説明をしてくれているのが、「在野のアナリスト・6月5週の動き」。
マイナ問題 修正して再開されたにも関わらず、また他人の住民票が交付され、システムが停止しました。地方ごとに異なる状況のシステムをつなげば、すべてのシステムに対応しなければならず、それだけシステムが膨張し、コストが嵩みますし、こうしたエラーが生じやすくなる。先週、指摘したことがそのまま起きました。 問題は、保険証で本来の負担分以上のものを支払わないよう、古い保険証を持参するように…などと岸田政権はいいだしましたが、利便性向上とは真逆…というレベルです。しかも、今は古い保険証をもっていますが、時間が経てば捨てる人も増えるし、それこそ勤め先を変わって、実際とは異なる状況も生まれてくる。システムエラーで医療機関が接続できない、という事態になったとき、ではどうするのか? 医療機関はそのマイナカードを信じ、後で請求できるようにするのか? それとも一旦は高額の医療費を払い、後でバックするのか? そうしたことを法律で決めていない、というのが最大の問題です。 不具合はでない、とでも思っていたのか? 杜撰で、いい加減なシステム設計と断じられるほどです。本当に岸田政権のデジタルオンチぶりが目立つ。それは河野担当相の問題…というより、こうした不具合がでることを想定し、河野氏を担当相にすえておいた。岸田氏としてはしめしめ、なのかもしれません。いずれにしろ、まだまだ大混乱がつづく、使えば使うほど不具合がでる、それがマイナカードです。 マイナカード返納の動きもありますが、恐らくふたたび必要となったとき、再発行のログも残るでしょう。つまりこいつは返納したぞ、という記録を行政が管理できる。マイナで管理される、というのはそういうことです。怖いのは、そういうことをくり返していると国から要注意人物として、不都合なことが起こるのではないか? 下手なことをすると、不利益を被る、という時代になったことをよく自覚すべきです。そして、そういう国に自公政権がした、ということも忘れてはいけません。利便性というのは国にとってそうであり、国民を監視するツールができた。かつて、国民総背番号制には反対する動きもありましたが、それを赦してしまった時点でこうなることは既定路線であり、生きにくい時代になったのです。 |
一体、どこの誰がこんな生きにくい時代にしてしまったのか?
8年前の「赤旗」にはこんな記事がでていた。
「マイナンバー事業受注の4社 自民に2.4億円献金 09~13年 政官財の癒着浮き彫り」
これだけ見ても、この事業は「国民のため」ではなく、昔から続いている公共事業に伴う発注側の自民党と受注側の特定企業との癒着であり、時代劇にもたびたび登場する場面を彷彿させられる。
2016年には、こんな生々しい実態が明らかにされていた。
「マイナンバー『1兆円利権』山分け 制度設計7社と天下り官僚」
収賄で逮捕された厚労省の“チンピラ役人”が本当にチンケに思えてくる。個人情報の漏洩や、なりすまし犯罪のリスクなど、国民にはデメリットだらけの「マイナンバー制度」。メリットを受けるのは旗振り役の霞が関と、そこに食い込んだ一握りの大企業のみ。市場規模は1兆円ともいわれる巨額利権を癒着サークルで分け合う、腐った構図がみえてきた。 マイナンバーなんて、穏やかな名前にゴマかされてはいけない。実態は赤ちゃんからお年寄りまで国民一人一人に12桁の“焼き印”を押し当てるのと同じで、それこそ「1億総バーコード化計画」と言った方がいい。 現在、基礎年金番号や運転免許証など各省庁が個別に割り振った個人情報を共通番号で一元化すれば、“お上″はより国民を管理しやすくなる。あくまで国家の都合だけで始める制度に初期投資だけで約3000億円、ランニングコストはその20%といわれ、毎年数百億円もの税金を投じるのである。 つくづく、バカげた巨大国家プロジェクトの甘い蜜に群がっているのが、電機・通信などの大手企業だ。実はマイナンバーの制度設計には民間企業が深く関与。関わった企業の多くが、すでに多額のマイナンバー関連事業を受注していたことを、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」(15日付)がスッパ抜いた。 制度設計を行ったのは、2011年に内閣官房に創設された「情報連携基盤技術ワーキンググループ」という検討会議だ。構成メンバー21人のうち13人が民間企業の関係者で、日立製作所、富士通、NEC、NTTデータ、野村総研、大和総研などの管理職が名を連ねた。 赤旗によれば、13年以降、行政機関が発注したマイナンバー関連事業は少なくとも27件、226億円を超える。うち22件は会議に参加した企業7社が受注。その金額は判明分だけでも178億円と、発注額の8割を占める(別表①)。 制度設計の段階から関わったホンの一握りの大企業が、マイナンバー事業を独占するとはムチャクチャだが、それが見逃される要因は霞が関官僚の天下りだ。 日刊ゲンダイ本紙の調べによると、検討会議が開かれた11年以降、受注した会社に再就職した国家公務員は33人に上る(別表②)。事務次官経験者2人を筆頭に、総務省幹部の数の多さが目立つのは、マイナンバー制度の所管官庁であることと無縁ではないだろう。納税者番号(財務省)、パスポート(外務省)、運転免許証(警察庁)など制度に関係する幅広い省庁の幹部も、しっかり天下り。まさに癒着の正体みたりだ。 |
【別表①)】
【(別表②】
さて、話はがらりとかわるのだが、もうすでに5人全員の死亡が明らかになった、深海に沈んだタイタニック号を見に行くツアー潜航艇タイタンの事故。
この事故に対しては、「設計時点で破断が約束されていた潜航艇タイタン」という検証記事があるのだが、読むほどオジサンは「設計時点でトラブルが約束されていたマイナンバー事業」とダブッテしまう。
筆者の事前予想を大きく裏切って、前回稿「タイタンの乗客乗員をバラバラにした深海水圧はどれほど脅威か?」は多くの方にお読みいただけたようです。 そこで続編として、前回稿に記さなかったより踏み込んだ内容を補ってみたいと思います。 まず最初に、前回反響の大きかった「ボーイング社が安価に放出した、ジャンボジェットの機体に使われる使用期限を過ぎたカーボン繊維」関連の確認から始めましょう。 タイタン号の製造に使われたカーボンファイバー素材は、ボーイング社がジャンボジェット用に準備し、使用期限を過ぎてしまったものをかなりの安値で購入したらしい。 今回の事故(事件)を引き起こしたオーシャンゲート社のストックトン・ラッシュCEO(最高経営責任者)が生前語っていたと報道されています。 さらには、2019年4月、タイタンがバハマ諸島沖で潜水した際、潜水艇の専門家が船体に亀裂が入るような「やばい音」を耳にし、ラッシュCEOに忠告したのに、全く耳を貸さなかった経緯も報じられています。 これらは炭素繊維の物性を少しでも理解していれば、高校生にも理解できる分かりやすい脆性破壊の状態を如実に示しているわけですが・・・。 結論は末尾に記すとして、まず1の1から常識の源流を探訪しましょう。 ■ダイヤモンドも叩けば割れる 多くの人がダイヤモンドは硬いと、どこかで聞きかじって知っているかと思います。 では、大きなダイヤモンドの塊を鉄のハンマーでぶっ叩いたら、ハンマーの打面にダイヤがめり込んで刺さるか? というと、残念ながらそんなことはありません。 ダイヤの表面を千枚通しや錐で引っ搔いても、傷をつけるのは容易ではありません。 しかしダイヤをハンマーでぶっ叩けば、実に簡単に粉々に割れてしまう。テレビ番組の動画を張り付けておきましょう。文字通り「粉々」に砕け散っているのが見えるでしょう。 こうした基本的な物性をオーシャンゲートのラッシュCEOは全く理解していなかった、あるいは極端に軽視していたことが察せられます。 なぜといって趣味のスキューバダイビングと、学卒程度・プロフェッショナル未満の航空工学を振り回し、深海観光は巨大なマーケット足り得る!というドン・キホーテの夢を追いかけ2007年頃オーシャンゲートを設立、一人で事故に遭うならまだしも、罪もない関係者を巻き添えにしてしまったのですから。 今回亡くなったフランスの潜航艇操縦士ポール・アンリ・ナルジョレ氏(1946-2023、享年77)は、国際的に知られたタイタニック沈没船に詳しい人物と伝えられます。 ITで成功し飛行機操縦が趣味の英国人ハ―ミッシュ・ハーディング氏(1964-2023、享年58)にしても、パキスタンの投資家シャーザダ・ダウード氏(1975-2023、享年48)、さらには、元来は母親が乗り込むはずだったという息子のスールマン・ダウード君(2003-2023、享年19)にしても、ここで死なねばならない道理はなかった。 ダウード親子は父の日近くに高価なチケットを購入して冒険アミューズメントに参加しただけの、単なるお客さんが命を奪われてしまった。なぜそんな事態を招いたか? それは、設計にもタッチしたと思われるラッシュCEOが、アマチュア・ダイバーとしての経験と、40年前学部まででストップした航空工学のごちゃまぜで「ボーイング社が放出した使用期限切れのジェット機体用カーボンファイバー素材を買い込んできて、本質的に沈むように運命づけられた愚かなミス設計の潜水艇タイタンを捏造したから」と察せられます。 実際、かたちに即してご説明しましょう。こんな設計はあり得なかった。 でも、そもそも潜水艇という中途半端な存在を、明確に縛る法規が完備されていなかったようなのです。 モーターのついた潜水艦には規制もあれば免許もあるけれど、船から吊り降ろす、単なる「カゴ」のような潜航艇は、陸上でいえば乳母車みたいなもので、厳しい基準が存在しなかった。 その虚を突いて、こういう事故を、まず100%人為によって引き起こしてしまった。 ・・・中略・・・ なぜそんな事態を招いたか? それは、設計にもタッチしたと思われるラッシュCEOが、アマチュア・ダイバーとしての経験と、40年前学部まででストップした航空工学のごちゃまぜで「ボーイング社が放出した使用期限切れのジェット機体用カーボンファイバー素材を買い込んできて、本質的に沈むように運命づけられた愚かなミス設計の潜水艇タイタンを捏造したから」と察せられます。 実際、かたちに即してご説明しましょう。こんな設計はあり得なかった。 でも、そもそも潜水艇という中途半端な存在を、明確に縛る法規が完備されていなかったようなのです。 モーターのついた潜水艦には規制もあれば免許もあるけれど、船から吊り降ろす、単なる「カゴ」のような潜航艇は、陸上でいえば乳母車みたいなもので、厳しい基準が存在しなかった。 その虚を突いて、こういう事故を、まず100%人為によって引き起こしてしまった。 以下は推察ですが、自らも命を失ったラッシュCEOは、学卒程度の中途半端な航空機の耳学問から、強化炭素繊維の強度について、完全に誤った先入観と素人判断で突っ走ったのではないでしょうか? 実際の物性データを見てみれば、炭素強化繊維の強度は、引張強度に関して7000メガパスカルなどと書いてあったりします。 1メガパスカルは約9.8気圧ですから、耐圧7000メガパスカルなら6万8000気圧でも大丈夫、広島型原爆の爆心が10万気圧というけれど、その7割の爆風が来たって大丈夫なんだから、1桁小さい4000気圧程度のタイタニックを見るのに、タイタンの設計は万全・・・。 なんて、素人の浅知恵で考えそうなのは、過去25年来、ペーパーテストで育ってきた東大生のダメ設計を見てきて、ごく当たり前にやらかす事態ですので、そのように察するわけです。 端的には、炭素繊維素材には異方性、つまり方向によって強度の違いがあります。 その種の素材を用いて成型すれば、球だって強い方向と弱い方向とに違いが出、簡単にゆがみを招来するでしょう。 まして円筒形の舟殻を、どちら方向にどういう強度を持たせて設計したつもりか知りませんが、深海に幾度も沈めたり浮かべたりして、ミクロな疲労を蓄積していけば何が起きるか・・・。 今回みたいなことが起きるわけです。つまり、突然「破断」「挫滅」終了です。 一応、誤解のないように、40年前の私もそんな素人学生に過ぎなかった。 少しは物理や装置のこと、その怖さなどを理解し始めたのは、私の場合は大学院生時代に教壇に立ち始め、学生実験など指導する責任を負って以降のことでした。 学卒で受け身の実験実習しか知らず、あとはビジネススクールでMBAをとって机上の空論でベンチャーキャピタルとしてお金を動かしてきたラッシュCEOには、大きな勘違いがあったと思われる。 先ほど嫌な音の正体は、鉛直の断面から船殻が縦方向に押し潰されてできた亀裂の可能性が考えられると記しました。 もちろん断片的な報道から推察するだけの話ですが、カーボン素材はダイヤモンドの親戚ですから本当に硬く、いわゆる素材の粘り、弾性変形がほとんどありません。 しかし、本稿冒頭でダイヤの破壊実験をお見せしたように、引っ張り強度試験の逆で、法外な圧で圧縮されるなどすれば、分子レベルでミクロな破断は普通に起きて当然です。 紫外線や物理的・化学的なインパクト、アタックに繰り返しさらされるとへたりが生じてしまいます。 そうした疲労が重なると、ある瞬間いきなり、大規模構造が挫滅しても何の不思議もないことが、平易な邦文記事 と英文動画も出ているのでリンクしておきましょう。 ・・・後略・・・ |
「潜航艇タイタン」はずさんな設計で人命が失われてしまったのだが、「ポンコツマイナンバーシステム」ではまだ死者は出てはいない。
しかし岸田文雄が、松野官房長官、河野デジタル大臣、加藤厚生労働大臣、松本総務大臣を集め岸田内閣の支持率がこれ以上低下しないよう厳命すれば、当然ながら初期の設計からを見直す暇はないので、現場レベルでの小手先の修正が続き、それは当然ながら下請け企業の技術者たちに過酷な残業を強いることになることが予想され、まさに「モグラの頭たたきとなり、その先はどうなるのか容易に想像がつく、とオジサンは思う。