ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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[韓国の珍味(というか、なんというか・・・・)]ケブルのすべて(その2)

2015-08-28 16:13:13 | 韓国料理・食べ物飲み物関係
 8月20日の記事の続きです。

④韓国のケブル産地
 ケブル(ユムシ)が棲息している所は干潟等の浅い海域の砂地。ということは、西海岸・南海岸に広大な干潟が点在する韓国は、干潟ならではの生物がいろいろいて、ケブルもその1つ。
 ケブル捕りの画像や記事等から具体的にその産地をみてみると、(釜山あたりから時計回りで)統営・三千浦・南海島・麗水・康津・保寧・安眠島・泰安等々。つまりは、南~西海岸の至る所といってよさそう。
 ※韓国の干潟の総面積は約2500㎢で、国土総面積(10万㎢²)の約2.5%。日本の干潟の総面積約500㎢(←うち有明海だけで4割を占める)の5倍! いかに多いかわかります。それでも20年前に比べて約20%もの干潟が開発のためになくなったそうです。→<コネスト>の記事参照。
⑤ケブルの獲り方
 ケブル捕りのニュース記事はほとんど1~3月の冬期に集中しています。ケブルは水温が高い夏場には干潟の表面から1m近く埋もれて過ごしますが、冬場になると繁殖のため表面に上がってくるので捕まえやすいということです。
 
 獲り方その1は、シャベル等で砂を掘って探し出す方法。
 右上の画像は忠清南道保寧市の武昌浦(ムチャンホ)海岸。) →コチラのブログ記事(韓国語)は、男性4人が忠清南道安眠島近くの浜にシャベルを持ってケブル獲りに行った時の記録。ケブルの巣穴(右画像)や捕った時の写真等もあります。 また、→コチラはその動画です。
 宝探しのようでおもしろそうでもあり、一般人や家族の行楽客などが潮干狩りのような感じで捕る分にはいいかもしれませんが、水を含んだ砂を掘る作業は相当疲れるのではないかと思います。

 獲り方その2。地元の漁民による本格的な獲り方はさすがにもっと大々的かつ効率的です。下の画像は全羅南道康津(カンジン)郡薪田面の沙草里(サチョリ)りものです。浜に立って砂を掘るのではなく、下半身が浸かるくらい海に入っています。
    
 2人が一組になって、1人がピッチフォークで干潟の泥を引っ掻き回し、もう1人が浮かび上がったケブルを玉網(?)ですくい取ります。

⑥冬場の収入源として近年注目! ネット通販もある。康津では養殖に成功、ケブル祝祭まで開催とは!
 韓国の記事をいろいろ見ると、このケブルを食べるという文化は近年むしろ注目度が高くなっているようです。
 ネット通販の商品リストにもナマコ(해삼)やホヤ(멍게)等とともに掲載されています。(※たとえば→<Gマーケット>。)
 ふつう7、8匹~30匹単位で売られているようですが、1匹あたりの値段は1000ウォン強~2000ウォン弱といったところ。
 <KoreaDaily>の記事(→コチラ)によると、上の2人一組でのケブル捕りの場合、うまく呼吸を合わせて捕れば1すくいで10匹を超えるケブルが網にかかるとか。つまりそれだけで1万ウォン以上になるわけです。もっとも地元の沙草里(サチョリ)の漁民は日常的にケブル漁をやっているのではなく、資源保護のため期日を限定し、それもわずか2時間半だけ。それでも総計1億1千万ウォン、150人の漁民1人あたり平均70万ウォンの収穫があり、そのほとんどは事前予約した人たちに宅配便で送ったそうです。
 とくにこの沙草里で注目されるのは、2012年当地の沿岸漁場でケブルの養殖に初めて成功」というニュースが報じられたこと。(→コチラ(韓国語)。)この記事は<2ちゃんねる>(→コチラ)でも日本語訳とともに紹介され、いろんなコメントが寄せられています。「養殖!」というだけでオドロキなのに、元記事に「年間ユムシの国内消費量は3000~4000トンだが生産量は200トン余りに過ぎず、大部分を中国から輸入している」とあるように国内消費の9割以上は中国産ということ。ホンマカイナ!?という数字です。
 沙草里に注目その2は、2014年3月8・9日そこで<第1回 ケブル祝祭>が開かれたこと。右画像はそのポスターです。 1万6千人もの観光客が訪れ、ケブルの売上1億6千万ウォンとその他の農水産物の売上を含めて2日間の総売上額は2億1千万ウォンに達して祝祭は成功裏に終わり、「所得創出祝祭」のモデルを提示した、と地元紙は報じました。(→コチラ。)

 続いて、韓国ではケブルの料理法とか、それがどんな食べ物として受け取られいるかとか、そんな韓国のケブルの日本での認知度等々について一気に書くつもりだったのですが、例によっていろんなことを書きすぎて予定字数オーバー。もう1回続けることにします。

 → ケブルのすべて(その3)
コメント (2)
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