ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

定年前退職S氏のソウル・慶熙大学校10週間留学記 (13)

2015-08-30 23:53:11 | S氏の慶熙大学校10週間留学記
<ヌルボより> 前回お知らせしましたが、8月25日(火)夜に韓国文化院で催されたイ・ドンシン(李東信)さんによる民族楽器タンソの公演に行ってきました。いやあ、これはホントに期待以上! なんとなく、ラクにいい席に座れるだろうと思って、文化院は初めてというS氏と図書室等館内を回ってから開場時刻の6:30に2Fのホールに行ったら、定例の映画上映会と同じくらい長い列ができていました。結局座れたのは前方でも横の方。S氏も「皆さん、一体どんな人たちなんでしようね?」と意外な面持ち。
 肝心の演奏は、韓国の正楽(宮廷音楽)に始まって民謡やカヤグム(伽耶琴)との二重奏、そして驚いたのは「ラプソディ・イン・ブルー」や「チャールダーシュ」といった洋楽の難曲や、「テイク・ファイブinアリラン」といったクロスオーバー曲も自在に吹きこなしていて、さすが12歳の時から46年間(かな?)のキャリアを感じさせる、とても聴きごたえのある演奏でした。
 Sさんからタンソの話を聞かなければイ・ドンジンさんと、この楽器自体の表現力の豊かさを知ることもなかったわけで、その点ヌルボとしてもラッキーでした。

◎6月5日(金)
 小雨混じりの朝で少し肌寒い。今日は会話と、筆記の試験。
 会話は先生と1対1で先生の言ったことを聞き取り質問に答える形式。最初は簡単だが徐々にむずかしくなってゆく。聞き取りは何とかなったが、解答は習った文法を駆使しなければいい点はもらえない。考えがうまくまとまらず口ごもってしまうことがしばしば。会話は生徒2人が一組になって与えられた課題を会話しながら解答するというもの。与えられた課題は「友だちと会う約束をしてしまったが別の用事ができてしまい、時間を変更してもらう」という内容。2人でストーリーを考えたが、少し簡単にまとめ過ぎた。
 筆記は自分の友人を紹介する文章の作成。どんな容貌か、性格はどうか、特徴はあるか、どういう関係か、どこが好きか等々を与えられた文法を使って作成するとういもの。作成スペースはA4用紙4分の3ほどあるが、その半分も埋まらない。書こうとしても綴りがよくわからない。文法は何とか使えたが、成長が見られない自分がいた。もう1つは「ホームページを使って一緒に勉強する友だちを募集せよ」というもの、時間が足りず、これも筆が進まない。あと1つは単語を並び替えて短文を作る。これは何とかなったか。授業開始前に「長文作成はむずかしいので先にやって、短文作成は後回しにしろ」という。一般的には簡単なのから先にやったほうがいいと思うのだが。とりあえず今日の試験は終了。月曜日は文法と読みと聞き取りの試験。
 夜、退職した会社の女の子、そしてその彼氏と会う。鐘閣の永豊(ヨンプン)文庫で待ち合わせ。彼氏もプログラマーとして一緒に仕事をしたことがある。その前に仁寺洞でカンさんへのプレゼントを買う。食事した店はカンさんの行きつけの例のサムギョプサルの店。2人とも肉の厚さにびっくりする。いつもの青唐辛子入りのソジュ(焼酎)を片手に盛り上がる。カンさんも乗りがよく初対面とは思えない雰囲気。二次会まで行って気がつけば12時を回っている。2人をカンさんと一緒にホテルまで送り、カンさんとタクシーで帰宅。西江(ソガン)大のおじさんから「明日1時新村(シンチョン)で会いましょう、1人友だちを連れて行きます」とのメールあり。

◎6月6日(土)
 二酔いで目が覚める。少し勉強し新村へ向かう。西江大のおじさんと1時に会う。待っている時にそばにいた女性がおじさんの友たちだった。おじさんは6級をこの学期で勉強するという。6級はもう最高クラスだ。その女性も気さくな方で、もう20年前に韓国へきて勉強を始めたらしい。いわば韓国語の勉強の元祖に近い。おじさんとは御茶ノ水のYMCAで一緒に韓国語の勉強をした仲らしい。おじさんは飲む気満々。これからはソウルの市場を制覇する予定との意気込み。新村からタクシーで10分位行ったところにある加佐(カジャ)という町のトンネ何とかというシジャン(市場)へ行き、その中にある精肉店が経営する焼肉店へ入る。試験中の身としては何とも心苦しいが、昼間から焼肉を食しながらソジュをいただく。特別美味しいというわけではないが、肉は柔らかくて新鮮だ。おじさんはソジュをコップにいれてビールを継ぎ足して飲むのがスタイルになっている。女性も行ける口だ。飲んではいけないと思いつつ酒が進む。ニンニクもどんどん喉に飛び込んでゆく。昨日から一体どれほどのニンニクを食べたことやら。日本では到底考えられない。3時過ぎに店を後にしてバスで新村へ戻る。ここでもう一杯飲むことになる。同伴の女性は今日の夜のフライトで日本へ帰国するとのこと。昼間の日差しが暑くまぶしい。6時近くに帰宅。
 さあ勉強しなくては。明日もカンさんと朝から釣りへ行くことになっている。

◎6月7日(日)
 道峰山(トボンサン)駅で8時30分に待ち合わせ。おたがい時間通りに来ていたがすれ違いがあり、5分遅れで会うことができた。カンさんの車で釣り場へ向かう。20分ほどかかったが途中の山並みが美しく、高層団地も目に飛び込んでくる。ソウルの開発が相当進んでいることを目のあたりにする。この辺は釣り掘りが多いことで有名らしい。いくつもの釣り掘りの看板を目にした。
 1軒の釣り掘りに駐車。けっこう大きな釣り掘りで、すでに50人ほどが釣り糸をたれている。カンさんは釣り場に腰を据え、私の分を含め黙々と釣りの準備に取りかかる。顔は生き生きとしている。用意してもらった釣り道具で釣り始める。獲物はフナ。初めての私にエサの付け方、針の投げ方を教えてくれる。私の左右両脇で釣りをしている人も皆親切で、何かとアドバイスをしてくれた。釣り仲間はみな気が合うらしい。目の前に小高い緑の山があって、晴れ間から流れてくる風がさわやかに感じられる。何とものどかな感じがする。しばらくして手応えがあり1匹釣り上げる。記念の1匹だ。カンさんの奥さんが用意してくれたつまみで焼酎をいただく。つまみはワカメ、タラの芽、イカのボイル。他にもキュウリとかを奥さんが用意していたらしいが、カンさんが忘れてしまったらしい。タラの芽が実に美味しい。
 この後延々と5時まで釣りを続けた。昼ご飯を食べたら帰り支度をして4時には寄宿舎に帰れると思っていたが、カンさんの釣り道楽は時間の経過を忘れさせるらしい。途中何度も釣りの魅力を説明してくれた。それにしても今日は釣れないらしい。なんだか日が悪いらしい。確かに周りの人も今日は釣れないとぼやいていた。
 6時過ぎに寄宿舎に戻り明日の試験勉強を始める。結局1時半までだらだらと勉強した。

◎6月8日(月)
 文法、読み、聞き取りの3科目の試験。思ったより量が多い。筆が進まない。まずい。文法は少し余裕を持って完了したと思っていたが、試験終了1分前に回ってきた先生が答案の空欄部分を見つけ、「どうして書かないのか」と聞かれる。あっ、と思ったが手遅れ。4問が問題用紙の裏にあることに気づく。時すでに遅し。読みの試験も相変われず時間に追われ全問回答できず。聞き取りも途中に聞き漏らしがあり混乱する。後悔の連続。
 試験終了後、俳句会のメンバーが推薦してくれた観光名所で東九陵という王陵のあるところに行く。回基(フェギ)駅から中央線に乗って東方面に進み、約20分足らずの九里駅下車。そこからマウルバスで20分ぐらいのところで下車。着いたらなんと今日は月曜日で休園
 明洞のカンさんの店に行き、土産用の海苔を日本に送る手続きをしてもらった。
 夜9時、こちらへ来てしばらくしてから会った韓国人のチョさんとあった。前の会社の関係の人に紹介してもらった人だ。「3ヵ月で帰るのはもったいないです。もう少しやれば聞き取りも十分にできます。それにはテレビドラマを見て繰り返し聞いてしゃべるのがいいでしょう」とアドバイスを受けた。

◎6月9日(火)
 試験結果の発表。思っていた以上に取りこぼしがあり最悪の結果。こんなに間違えていたのかと愕然。聞き取り78点、読み59点、文法68点、書き取り55点、会話70点。平均は66点。進級するとなるとぎりぎりの水準か。とくに書き取りは答案を見せてももらったが綴り間違いの山また山。よく点数をくれたなと忸怩たる思い。
 教科書は重たく授業ではもう使わないと思い、4時過ぎに寄宿舎隣にある郵便局にEMSを頼みに行く。係りの人に手助けしてもらってなんとか梱包してもらった。この辺は韓国のサービスのいいところだが、意外と送料が高くびっくり。重たいせいか45,400ウォンもとられてしまった。
 部屋はすっきりした。部屋点検もあるので掃除をする。短い間だがこれが最後の掃除かと思うとなんとなく寂寞感が襲ってきた。この部屋で眠れるのもあと2回だ。マーズの影響で観光客が来ないが、夜はカンさんの友たちが1ヵ月ぶりに韓国に現れる。カンさんは「仕事はあきらめて早く飲もう」という。私は7時半に寄宿舎の点検があって7時半には部屋にいなければならないので5時半に回基駅で待ち合わせ、3人で飲む。中座して寄宿舎に戻り点検を受ける。トイレの床をもう少しきれいにするようにと指導を受ける。

<ヌルボより> 試験も終わってこの記録もあと2回分くらい(たぶん)になりました。
 S氏、今回もやっぱりいろんな人と会っていろんな店でいろんなものを飲んだり食べたりしています。5日の「いつもの青唐辛子入りのソジュ(焼酎)」というのは韓国ではフツーになってきているのでしょうか? 私ヌルボも4月に行った時に飲みましたが、舌がピリピリする感じです。翌6日の「ソジュをコップにいれてビールを継ぎ足して飲む」というのはもうだいぶ前からフツーになってますね。韓国語ではソメク(소맥)焼酎(ソジュ.소주)と麦酒(メクチュ.맥주)の合成語です。
 せっかく東九陵まで行ったのに休園とは残念でしたね。施設等の見学、月曜はとくに要注意!です
コメント
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