S氏は私ヌルボの韓国語学習仲間でもあり飲み仲間でもあります。その彼が今年に入って間もなく、定年1年前にして敢然と早期退職し、3月末~6月半ばの10週間ソウルの慶煕(キョンヒ)大学校に語学留学してきて、先日帰国しました。
還暦も近い彼ですが、お世辞ではなく10歳あるいはそれ以上若く見える外貌だけでなく気力も旺盛で、留学の意志を最初に聞いた時も「彼ならではの決断だなー」とわれわれは思ったものでした。
その彼が留学中、宿題や予習に追われて忙しいにもかかわらず、日々の記録を1週間ごとにまとめて仲間に送ってくれました。読んでみると、授業のことだけでなく日々の生活やいろんな人たちとのコミュニケーション等々、実に細かく書かれていて、とても興味深く読みました。
おそらく、同じように語学留学を考えている人はたくさんいると思います。インターネットで情報を探してみると、たとえば<ソウル市内の語学堂のある大学まとめ>という→コチラの記事は一応の目安にはなるでしょうし、「韓国 留学」で検索すればヒットするいくつかの斡旋業者のサイトには各大学について期間や費用その他具体的な情報が記されています。
ところが、実際の授業の内容や生活のようすとなると経験者自身による記録が一番! ・・・ということで、このS氏の日記はきっと参考になると思います。いや、留学希望者といわず韓国に関心がある人ならたぶん誰が読んでもオモシロイんですけどね。
そこで私ヌルボ、4日の夜帰国報告会と銘打った仲間内の飲み会の席でS氏から本ブログへの掲載の承諾を得ました。固有名詞等の個人情報や、内容的に差しさわりのありそうな箇所はもちろん削除したり手を加えたりします。また、私ヌルボが註を付けたりもするかも・・・。
全部で77日分。字数は総計5万字近くになるので、10回以上に分けて掲載することになります。
ではさっそく初日から・・・。
◎3月28日(土)
12時20分発のアシアナ機で金浦空港に到着。なぜかいつもより飛行時間が長く感じられる。税関で思わず引っかかってしまう。羽田の免税店で韓国の友人へのお土産として山崎を2本購入したが、韓国への免税は1本だけとは知らなかった。税関のおばちゃんに指摘されたが、「ほかに持っているか」と訊かれ、「これだけです。1本までとは知らなかった」と言ったら、「いいよ」と言って見逃してくれた。いい人でよかったと気持ちが浮き立つ。
ソウルで(友人の)眼鏡屋さんと飲みすぎる。
◎3月29日(日)
昨日韓国入りして安宿に泊まり、本日回基(フェギ)駅そばにある寄宿舎に入れた。部屋はワンルームマンション風で、3ヵ月程度暮らすのであれば十分。駅近といっても建物には寮の名前の表示がなく、同じところを何度も行ったり来たりし、また何人かに聞いたりしてやっと見つけることができた。建物の中に入ったが管理人がどこにいるかわからず、右往左往していたところ外国人寮生がたまたま部屋から出てきて管理人室を教えてくれた。しばらくしてからやってきたスウェーデンの若い3人組も「どこが自分の部屋なのかわからない」といって困惑していた。管理人室へ連れて行き、解決ができたようだった。
無線LANも使え、通信手段がとりあえず確保できたので一安心。部屋に枕が置いていないので困った。
それにしても韓国人は親切だ。地下道からの階段を重いスーツケースをしんどそうに持って昇っていたところ、小柄な若い女の子が持ってあげるといって手伝ってくれた。こういうところに感動を覚える。
明日は朝からクラス分けの試験がある。部屋に入ると足りないものが出てくる。お湯を沸かすための鍋のようなもの、布巾に食器用洗剤とスポンジ。またなんと枕がない。こういったものは近くのスーパーやダイソーで購入することになった。
◎3月30日(月)
今日はクラス分けの試験日。少し早めに会場に着こうと寄宿舎を出る。テレビの天気予報では今日は暖かくなると言っていたのでコートを羽織らずにいたところ、3月の終わりといえど空気はひんやりと冷たく、通勤の人たちはみなコートを引っ掛けているのであわて気味に部屋に戻ることになった。
張り切って早めの8時半に会場に到着。まだ多くは集まっていなかったが、昨日会ったスウェーデン人グループが私に気づき、手を振って挨拶してくれた。これだけでも少し心が和む。
9時からクラス分け。講堂に各国から多くの聴講生が集まりさすがに国際色が豊かに彩られた。なんか自分が国際人になった感じ。今までは国内の仕事しかしていないので新鮮味まで感じられた。
その中で少し驚いたのは私より年長者がいたことだった。年齢は聞いてないが、頭髪の状況や顔の皺等、どう見ても私より年上の初老の男性を見つけた。来る前は自分が最年長者であろうと確信していたので予想外であった。
中国人は参加人数が多いせいか別の時間帯に行われた。
まず、全く韓国語がわからない人とそうでない人が分けられ、半数近くが別室に移された。残った聴講生にまず筆記試験が行われた。
初級・中級・上級の作文課題がそれぞれ2問ずつ出され、「自分が回答できそうな課題を1つ選び400字にまとめなさい。制限時間は40分です」とのこと。上級の設問に目をやってみたが、問題の意図も読み取れそうもないので即座に断念。中級の問題に目を移したところ、一つは「職業を選択する際に重要なことは何かについて記しなさい」、もう一つは「クレジットカードを使うことに賛成か反対か、またその理由を述べよ」というもの。自分は最初の設問を選択したが、筆はなかなか進まず焦り出す。しかも中東方面から来たと思しき隣の若い男は早くも400字を悠々と超えているのが目に入り、さらに更に焦りが募る。自分の経験を中心になんとか書き込んだものの、スペルに自信はない上、分かち書きもまともでないことは一目瞭然。「もういいや」と半ばあきらめ気味に300字をちょっと出たところでギブアップ。試験管に回答書を手渡すとその場ですかさず採点が始められた。
しばらくして答案を返却され、点数を見ると61点と記載されていた。いいのか悪いのかは不明であるが、「すぐに面接を行います」とのこと。隣室に案内されたが、やや広めの教室で6ヵ所ぐらいに分けて面接が行われていた。私の試験管は若目の利発そうな女性だった。最初に言われたのが「単語は知っているようですが文法が弱いのではないですか?」だった。文法用語やいろいろな接尾語を示され「知っていますか?」と聞かれ、「一応勉強はしていたので知っています」と回答したところ、面接官もクラス分けをどうしようかと迷っているようすであった。そのほか「韓国語はどのように勉強しているのか?」、「どこで何年くらい勉強しているのか?」、「韓国へは何回くらい来たことがあるか?」、「どんなところが好きなのか?」、「どんなタイプの人が好きか?」等について聞かれて面談は終了。「クラス分けの結果は明日8時半に発表され、パソコンでも確認できる」とのこと。
この日は1時からオリエンテーションがある。少し時間があったので校内を少し歩いてみると、博物館や図書館が威容を誇って立ち並び、堂々として貫禄も備わった美しさに見とれてしまうような建物で、つい写真を撮りたく誘惑にかられてしまった。
天気はよく気温は天気予報通りぐんぐん上がり、少し歩くと汗ばむようになっていた。
まだ友人ができず夕飯は一人でとる。おいしそうなキンパプ(のり巻き)を老夫婦で売っている店を近所で見つける。1200ウォンで購入。道すがら特大の焼き鳥を店頭で焼いている店を発見し、2400ウォンで購入。つい酒も飲みたくなったが、寄宿舎内飲酒は2回発覚すると退寮処分となる。水と同じ色ならばれないだろうと考え、水のペットボトルを空にしてコンビ二で350ミリリットルのソジュ(焼酎)を購入。その場で中身を移し変える。店員のアジュンマが怪訝そうなので理由を話すと、理解を示し納得してくれた。
還暦も近い彼ですが、お世辞ではなく10歳あるいはそれ以上若く見える外貌だけでなく気力も旺盛で、留学の意志を最初に聞いた時も「彼ならではの決断だなー」とわれわれは思ったものでした。
その彼が留学中、宿題や予習に追われて忙しいにもかかわらず、日々の記録を1週間ごとにまとめて仲間に送ってくれました。読んでみると、授業のことだけでなく日々の生活やいろんな人たちとのコミュニケーション等々、実に細かく書かれていて、とても興味深く読みました。
おそらく、同じように語学留学を考えている人はたくさんいると思います。インターネットで情報を探してみると、たとえば<ソウル市内の語学堂のある大学まとめ>という→コチラの記事は一応の目安にはなるでしょうし、「韓国 留学」で検索すればヒットするいくつかの斡旋業者のサイトには各大学について期間や費用その他具体的な情報が記されています。
ところが、実際の授業の内容や生活のようすとなると経験者自身による記録が一番! ・・・ということで、このS氏の日記はきっと参考になると思います。いや、留学希望者といわず韓国に関心がある人ならたぶん誰が読んでもオモシロイんですけどね。
そこで私ヌルボ、4日の夜帰国報告会と銘打った仲間内の飲み会の席でS氏から本ブログへの掲載の承諾を得ました。固有名詞等の個人情報や、内容的に差しさわりのありそうな箇所はもちろん削除したり手を加えたりします。また、私ヌルボが註を付けたりもするかも・・・。
全部で77日分。字数は総計5万字近くになるので、10回以上に分けて掲載することになります。
ではさっそく初日から・・・。
◎3月28日(土)
12時20分発のアシアナ機で金浦空港に到着。なぜかいつもより飛行時間が長く感じられる。税関で思わず引っかかってしまう。羽田の免税店で韓国の友人へのお土産として山崎を2本購入したが、韓国への免税は1本だけとは知らなかった。税関のおばちゃんに指摘されたが、「ほかに持っているか」と訊かれ、「これだけです。1本までとは知らなかった」と言ったら、「いいよ」と言って見逃してくれた。いい人でよかったと気持ちが浮き立つ。
ソウルで(友人の)眼鏡屋さんと飲みすぎる。
◎3月29日(日)
昨日韓国入りして安宿に泊まり、本日回基(フェギ)駅そばにある寄宿舎に入れた。部屋はワンルームマンション風で、3ヵ月程度暮らすのであれば十分。駅近といっても建物には寮の名前の表示がなく、同じところを何度も行ったり来たりし、また何人かに聞いたりしてやっと見つけることができた。建物の中に入ったが管理人がどこにいるかわからず、右往左往していたところ外国人寮生がたまたま部屋から出てきて管理人室を教えてくれた。しばらくしてからやってきたスウェーデンの若い3人組も「どこが自分の部屋なのかわからない」といって困惑していた。管理人室へ連れて行き、解決ができたようだった。
無線LANも使え、通信手段がとりあえず確保できたので一安心。部屋に枕が置いていないので困った。
それにしても韓国人は親切だ。地下道からの階段を重いスーツケースをしんどそうに持って昇っていたところ、小柄な若い女の子が持ってあげるといって手伝ってくれた。こういうところに感動を覚える。
明日は朝からクラス分けの試験がある。部屋に入ると足りないものが出てくる。お湯を沸かすための鍋のようなもの、布巾に食器用洗剤とスポンジ。またなんと枕がない。こういったものは近くのスーパーやダイソーで購入することになった。
◎3月30日(月)
今日はクラス分けの試験日。少し早めに会場に着こうと寄宿舎を出る。テレビの天気予報では今日は暖かくなると言っていたのでコートを羽織らずにいたところ、3月の終わりといえど空気はひんやりと冷たく、通勤の人たちはみなコートを引っ掛けているのであわて気味に部屋に戻ることになった。
張り切って早めの8時半に会場に到着。まだ多くは集まっていなかったが、昨日会ったスウェーデン人グループが私に気づき、手を振って挨拶してくれた。これだけでも少し心が和む。
9時からクラス分け。講堂に各国から多くの聴講生が集まりさすがに国際色が豊かに彩られた。なんか自分が国際人になった感じ。今までは国内の仕事しかしていないので新鮮味まで感じられた。
その中で少し驚いたのは私より年長者がいたことだった。年齢は聞いてないが、頭髪の状況や顔の皺等、どう見ても私より年上の初老の男性を見つけた。来る前は自分が最年長者であろうと確信していたので予想外であった。
中国人は参加人数が多いせいか別の時間帯に行われた。
まず、全く韓国語がわからない人とそうでない人が分けられ、半数近くが別室に移された。残った聴講生にまず筆記試験が行われた。
初級・中級・上級の作文課題がそれぞれ2問ずつ出され、「自分が回答できそうな課題を1つ選び400字にまとめなさい。制限時間は40分です」とのこと。上級の設問に目をやってみたが、問題の意図も読み取れそうもないので即座に断念。中級の問題に目を移したところ、一つは「職業を選択する際に重要なことは何かについて記しなさい」、もう一つは「クレジットカードを使うことに賛成か反対か、またその理由を述べよ」というもの。自分は最初の設問を選択したが、筆はなかなか進まず焦り出す。しかも中東方面から来たと思しき隣の若い男は早くも400字を悠々と超えているのが目に入り、さらに更に焦りが募る。自分の経験を中心になんとか書き込んだものの、スペルに自信はない上、分かち書きもまともでないことは一目瞭然。「もういいや」と半ばあきらめ気味に300字をちょっと出たところでギブアップ。試験管に回答書を手渡すとその場ですかさず採点が始められた。
しばらくして答案を返却され、点数を見ると61点と記載されていた。いいのか悪いのかは不明であるが、「すぐに面接を行います」とのこと。隣室に案内されたが、やや広めの教室で6ヵ所ぐらいに分けて面接が行われていた。私の試験管は若目の利発そうな女性だった。最初に言われたのが「単語は知っているようですが文法が弱いのではないですか?」だった。文法用語やいろいろな接尾語を示され「知っていますか?」と聞かれ、「一応勉強はしていたので知っています」と回答したところ、面接官もクラス分けをどうしようかと迷っているようすであった。そのほか「韓国語はどのように勉強しているのか?」、「どこで何年くらい勉強しているのか?」、「韓国へは何回くらい来たことがあるか?」、「どんなところが好きなのか?」、「どんなタイプの人が好きか?」等について聞かれて面談は終了。「クラス分けの結果は明日8時半に発表され、パソコンでも確認できる」とのこと。
この日は1時からオリエンテーションがある。少し時間があったので校内を少し歩いてみると、博物館や図書館が威容を誇って立ち並び、堂々として貫禄も備わった美しさに見とれてしまうような建物で、つい写真を撮りたく誘惑にかられてしまった。
天気はよく気温は天気予報通りぐんぐん上がり、少し歩くと汗ばむようになっていた。
まだ友人ができず夕飯は一人でとる。おいしそうなキンパプ(のり巻き)を老夫婦で売っている店を近所で見つける。1200ウォンで購入。道すがら特大の焼き鳥を店頭で焼いている店を発見し、2400ウォンで購入。つい酒も飲みたくなったが、寄宿舎内飲酒は2回発覚すると退寮処分となる。水と同じ色ならばれないだろうと考え、水のペットボトルを空にしてコンビ二で350ミリリットルのソジュ(焼酎)を購入。その場で中身を移し変える。店員のアジュンマが怪訝そうなので理由を話すと、理解を示し納得してくれた。
色々な博物館情報、今度韓国に行くときに参考にさせてもらいます。ありがとうございます。
早くmersがおさまってくれると良いです。
私としても、他の人が苦労して切り拓いた道をラクして利用させていただこうというコンタンを抱きつつ(~~;)、大いに期待しています。
わりとポピュラーな博物館情報に続いて、ほとんど知られていない文学館情報シリーズを始めました。関心がおありでしたらご活用ください。(って、完結がいつ頃になることやら・・・。)