▶昨日観た「ハクソー・リッジ」は、最初から期待感はほとんどナシ。それでも観に行ったのは舞台が沖縄ということと、この「特異な」主人公及びこの作品を作った側の「戦争観」を確認したかったから。以前から私ヌルボがとくにアメリカの戦争映画に対して否定的なのは、次のような理由です。①自国を超えた多角的な視点が欠けている。②(①に関連して)「敵」が人間として描かれていない。③「英雄」を称賛する物語になっていることが多い。④戦争そのものに対する省察にかけ、戦争一般を批判するメッセージはほとんどない。 まあ、どれも根っこは同じなんですけどね。
で、この作品の場合。主人公は「私は良心的兵役拒否者ではない。良心的協力者だ」と言ってますが、たしかにその通り。私ヌルボ、昔の修身の教科書でナイチンゲールの話が載っていたことを思い出しました。その一節の最後の文章が「女王陛下のお褒めにあずかりました」だったと思います。「男は兵隊、女は看護婦」でワンセット。(ナイチンゲール自身はそんな「軍国主義者」ではなかったが・・・。)
宗教と戦争の関係についてもよくわかりません。「殺すなかれ」と教える信仰を持つ者同士が殺し合うということをどう考えるのか?
クライマックスの場面で、主人公は「1人、また1人・・・」と極限状況の中で救助活動を続けます。多くの観客はここで感動するのだろうな、と思います。しかし、同じ時に「1人、また1人」と殺されていくわけです。「プライベート・ライアン」以上という戦場のリアルな描写はよしとしても、大局的な視点についてはまだまだ、でした。韓国の映画評論家ホ・ナムン(허남웅)さんが「英雄ではなく反戦が必要」と短く書いて5点(10点満点)と評価していましたが、私ヌルボも同感です。(「ホ・ナムンがこの映画に反戦を期待すること自体お話にならないのでは?」とのネチズンの批判もありましたが・・・。)|
▶シネマート新宿で7月22日~8月11日<ハートアンドハーツ・コリアン・フィルムウィーク>と銘打って韓国映画4作品が上映されます。(名古屋・京都・大阪会場もあります。) 詳細は→公式サイトで。「空と風と星の詩人 〜尹東柱の生涯〜」「あの人に逢えるまで」「バッカス・レディ」「春の夢」と、これは期待してよさそうなラインナップ。私ヌルボが観たのは「空と風と星の詩人 〜尹東柱の生涯〜」だけですが、<反日映画>のレッテルを貼られて見送られてしまうのではと懸念していた作品が公開に至ったのはけっこうなことです。
▶2ヵ月ぶりに朝鮮日報の「封切映画 ぴったり10字評」が掲載されました。これまでも何度か長期の休眠はありましたが、今回の再開は映画関係の記事の掲載日が金曜から土曜になったことにも関係しているのかな?
★★★ NAVERの人気順位(7月11日現在上映中映画) ★★★
【ネチズンによる順位】
※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
①(-) 謝罪[アポロジー] 9.54(125)
②(4) 吾輩は猫である(韓国) 9.41(210)
③(2) ミス・サイゴン:25周年記念公演 in ロンドン 9.40(214)
④(3) マリアンヌとマーガレット(韓国) 9.39(85)
⑤(5) 風の踊り手(韓国) 9.37(38)
⑥(1) KING OF PRISM -PRIDE the HERO-(日本) 9.27(369)
⑦(7) 徐舒平(ソ・ソピョン)、ゆっくり穏やかに(韓国) 9.23(512)
⑧(8) ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣 9.14(649)
⑨(-) パレードへようこそ 9.08(201)
⑩(9) WE ARE X 9.08(120)
今回の新登場はありません。
【記者・評論家による順位】
①(1) 風の踊り手(韓国) 10.00(1)
②(2) ラ・ラ・ランド 8.34(14)
③(3) エル ELLE 8.00(8)
④(4) はじまりへの旅 7.50(9)
⑤(5) 老後の対策がない(韓国) 7.50(4)
⑥(-) 謝罪[アポロジー] 7.33(3)
⑦(6) オクジャ(韓国・アメリカ) 7,25(12)
⑧(7) 君の名は。(日本) 7.17(6)
⑧(7) ゲット・アウト 7.17(6)
⑩(9) エイリアン:コヴェナント 7.13(8)
⑩(10) ネルーダ 7.00(5)
こちらも新登場の作品はありません。
★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績7月7日(金)~7月9日(日) ★★★
シリーズ新作「スパイダーマン:ホームカミング」が他を圧倒
【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(22)・・スパイダーマン ・・・・・・・・・・・・7/05・・・・・・・・・2,606,445 ・・・・・・・・・3,563,652・・・・・・・・29,471 ・・・・・・・1,965
:ホームカミング
2(1)・・朴烈(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・6/28・・・・・・・・・・・328,162 ・・・・・・・・・1,841,858 ・・・・・・・14,214 ・・・・・・・・・746
3(2)・・トランスフォーマー ・・・・・・・・・・6/21・・・・・・・・・・・・69,607 ・・・・・・・・・2,566,527・・・・・・・・21,139 ・・・・・・・・・401
/最後の騎士王
4(4)・・オクジャ(韓・米) ・・・・・・・・・・・・6/29・・・・・・・・・・・・52,713・・・・・・・・・・・・214,667 ・・・・・・・・1,633 ・・・・・・・・・104
5(3)・・リアル(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・6/28・・・・・・・・・・・・15,890 ・・・・・・・・・・・448,346・・・・・・・・・3,228 ・・・・・・・・・313
6(7)・・スウィート17モンスター・・・・・・6/28・・・・・・・・・・・・15,869・・・・・・・・・・・・・71,400 ・・・・・・・・・・565 ・・・・・・・・・119
7(11)・・フィッシュテイルズ ・・・・・・・・・6/22 ・・・・・・・・・・・・9,508・・・・・・・・・・・・・47,870・・・・・・・・・・・369 ・・・・・・・・・・86
8(13)・・リチャード・ザ・ストーク ・・・・・6/15 ・・・・・・・・・・・・9,483・・・・・・・・・・・・・77,735・・・・・・・・・・・578 ・・・・・・・・・・63
飛べないワタリドリ
9(12)・・映画 きかんしゃトーマス ・・・6/29・・・・・・・・・・・・・7,933・・・・・・・・・・・・・21,771・・・・・・・・・・・145 ・・・・・・・・・114
探せ!!謎の海賊船と失われた宝物
10(新)・・その後(韓国)・・・・・・・・・・・・・7/06・・・・・・・・・・・・・6,753・・・・・・・・・・・・・・9,179・・・・・・・・・・・・71 ・・・・・・・・・168
※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。
なんのかんのいっても、人気シリーズの最新作「スパイダーマン:ホームカミング」の数字が頭抜けていて、前週1位の「朴烈」はまずまず。あとは軒並み「スパイダーマン」のあおりを食って、7位でも1万人を切るとは・・・。今にして思えば、次々に韓国映画がヒットした昨夏が特別な年だったということ?
今回の新登場は1・9・10位の3作品です。
1位「スパイダーマン:ホームカミング」はシリーズ何作目になるのかよくわかりません。(数え方にもよる?) で、今回から新シリーズなのかな? 新星トム・ホランドが主演で、ヒーロー気取りの少年がアイアンマンの導きによって真のヒーローへと成長していく姿が描かれる・・・と、ほぼ宣伝文そのままなのは日本公開が8月11日で、もう諸情報が流されているから。韓国題は「스파이더맨: 홈 커밍」。です。
9位「映画 きかんしゃトーマス 探せ!!謎の海賊船と失われた宝物」は、日本ではすでに2016年4月に公開されています。韓国題は「토마스와 친구들: 수수께끼 해적선과 보물찾기」です。
10位「その後」はホン・サンス監督の新作。といっても、例によって何人もがお酒をのんでおしゃべりする映画? あるネチズンは「互いに愛し合うことは認めても、それを正当化して愛という名で美化させてるんじゃないの? 不倫映画は一度で足りる。どこまでこんなレパートリーを繰り返すのだろう?」と書いてます。このレビューには賛成も多いけど反対もその6割には達しています。まあ、それでもオモシロイからねー。(ってコレは観てないけど。) 初出勤の日、アルム(キム・ミニ)は、社長のポンワン(クォン・ヘヒョ)が別れた女性が使っていた席で仕事をすることになります。ところがそこにポンワンの妻がやってきます。夫と女性の愛のノートを見つけ、会社に来たのですが、アルムはその社長が別れた女性と誤解され、結局その日に会社を辞めざるをえなくなってしまいます・・・。原題は「그 후」です。
【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・リチャード・ザ・ストーク ・・・・・・・・・・6/15 ・・・・・・・・・・・・9,483 ・・・・・・・・・・・77,735・・・・・・・・・・・・・578・・・・・・・・・・63
飛べないワタリドリ
2(新)・・その後(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・7/06・・・・・・・・・・・・・6,753 ・・・・・・・・・・・・9,179・・・・・・・・・・・・・・71・・・・・・・・・168
3(2)・・ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ・・2002/8/09・・・・5,336 ・・・・・・・・・・・31,740・・・・・・・・・・・・・246・・・・・・・・・・62
4(4)・・子ブタ ベイブの大冒険・・・・・・・・・・6/15 ・・・・・・・・・・・・2,003 ・・・・・・・・・・・40,234・・・・・・・・・・・・・279・・・・・・・・・・19
5(新)・・リオ・ブラボー ・・・・・・・・・・・・・・・・・7/06 ・・・・・・・・・・・・1,640 ・・・・・・・・・・・・8,282 ・・・・・・・・・・・・・・20・・・・・・・・・・・1
今回の新登場は2・5位の2作品です。
2位「その後」については上述しました。 5位「リオ・ブラボー」は1959年ハワード・ホークス監督の西部劇。<NAVER映画>も韓国での公開日がわからない? ジョン・ウェイン、ディーン・マーティン、リッキー・ネルソンと実に懐かしい顔ぶれ。ディーン・マーティンとリッキー・ネルソンが歌っていた「ライフルと愛馬」、憶えてますがな。そういえば日曜の昼NHKTVで「陽気なネルソン」という一家4人が出演していた番組があったな・・・。上映館が1館ということはたぶん→シルバー映画館でしょ。1度行かなくちゃ。55歳以上2千ウォン! 韓国題は「리오 브라보」です。
で、この作品の場合。主人公は「私は良心的兵役拒否者ではない。良心的協力者だ」と言ってますが、たしかにその通り。私ヌルボ、昔の修身の教科書でナイチンゲールの話が載っていたことを思い出しました。その一節の最後の文章が「女王陛下のお褒めにあずかりました」だったと思います。「男は兵隊、女は看護婦」でワンセット。(ナイチンゲール自身はそんな「軍国主義者」ではなかったが・・・。)
宗教と戦争の関係についてもよくわかりません。「殺すなかれ」と教える信仰を持つ者同士が殺し合うということをどう考えるのか?
クライマックスの場面で、主人公は「1人、また1人・・・」と極限状況の中で救助活動を続けます。多くの観客はここで感動するのだろうな、と思います。しかし、同じ時に「1人、また1人」と殺されていくわけです。「プライベート・ライアン」以上という戦場のリアルな描写はよしとしても、大局的な視点についてはまだまだ、でした。韓国の映画評論家ホ・ナムン(허남웅)さんが「英雄ではなく反戦が必要」と短く書いて5点(10点満点)と評価していましたが、私ヌルボも同感です。(「ホ・ナムンがこの映画に反戦を期待すること自体お話にならないのでは?」とのネチズンの批判もありましたが・・・。)|
▶シネマート新宿で7月22日~8月11日<ハートアンドハーツ・コリアン・フィルムウィーク>と銘打って韓国映画4作品が上映されます。(名古屋・京都・大阪会場もあります。) 詳細は→公式サイトで。「空と風と星の詩人 〜尹東柱の生涯〜」「あの人に逢えるまで」「バッカス・レディ」「春の夢」と、これは期待してよさそうなラインナップ。私ヌルボが観たのは「空と風と星の詩人 〜尹東柱の生涯〜」だけですが、<反日映画>のレッテルを貼られて見送られてしまうのではと懸念していた作品が公開に至ったのはけっこうなことです。
▶2ヵ月ぶりに朝鮮日報の「封切映画 ぴったり10字評」が掲載されました。これまでも何度か長期の休眠はありましたが、今回の再開は映画関係の記事の掲載日が金曜から土曜になったことにも関係しているのかな?
「朝鮮日報」7月8日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。) | ||
---|---|---|
) | 「灰の花」 ほろ苦い、おとなの童話 ★★★ 「その後」 崩れた虚飾、悔恨の瞬間 ★★★ 「ベルリン・シンドローム」 あまりに多い説明抜き ★★☆ | |
「灰の花」は韓国のドラマ。地方の閑静な村で暮らしていたハダム(チョン・)ハダムのところにある日やってきたのは、「1度も会ったことのない父を探し出すんだ」というハダムに似た11歳年下の少女ヘビョル。それから静かだった村に微妙な感情が渦巻き始めます・・・。」ベルリン・シンドローム」はオーストラリアのスリラー。フォトジャーナリストのクレア(テレサ・パルマー)はベルリンでの休暇中に出会ったアンディ(マックス・リーメルト)と惹かれ合い、情熱的な夜を過ごしますが、翌朝彼女は自分が部屋に閉じ込められてしまったことに気づきます・・・。(「その後」は以下の記事の中で紹介しています。) |
★★★ NAVERの人気順位(7月11日現在上映中映画) ★★★
【ネチズンによる順位】
※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
①(-) 謝罪[アポロジー] 9.54(125)
②(4) 吾輩は猫である(韓国) 9.41(210)
③(2) ミス・サイゴン:25周年記念公演 in ロンドン 9.40(214)
④(3) マリアンヌとマーガレット(韓国) 9.39(85)
⑤(5) 風の踊り手(韓国) 9.37(38)
⑥(1) KING OF PRISM -PRIDE the HERO-(日本) 9.27(369)
⑦(7) 徐舒平(ソ・ソピョン)、ゆっくり穏やかに(韓国) 9.23(512)
⑧(8) ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣 9.14(649)
⑨(-) パレードへようこそ 9.08(201)
⑩(9) WE ARE X 9.08(120)
今回の新登場はありません。
【記者・評論家による順位】
①(1) 風の踊り手(韓国) 10.00(1)
②(2) ラ・ラ・ランド 8.34(14)
③(3) エル ELLE 8.00(8)
④(4) はじまりへの旅 7.50(9)
⑤(5) 老後の対策がない(韓国) 7.50(4)
⑥(-) 謝罪[アポロジー] 7.33(3)
⑦(6) オクジャ(韓国・アメリカ) 7,25(12)
⑧(7) 君の名は。(日本) 7.17(6)
⑧(7) ゲット・アウト 7.17(6)
⑩(9) エイリアン:コヴェナント 7.13(8)
⑩(10) ネルーダ 7.00(5)
こちらも新登場の作品はありません。
★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績7月7日(金)~7月9日(日) ★★★
シリーズ新作「スパイダーマン:ホームカミング」が他を圧倒
【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(22)・・スパイダーマン ・・・・・・・・・・・・7/05・・・・・・・・・2,606,445 ・・・・・・・・・3,563,652・・・・・・・・29,471 ・・・・・・・1,965
:ホームカミング
2(1)・・朴烈(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・6/28・・・・・・・・・・・328,162 ・・・・・・・・・1,841,858 ・・・・・・・14,214 ・・・・・・・・・746
3(2)・・トランスフォーマー ・・・・・・・・・・6/21・・・・・・・・・・・・69,607 ・・・・・・・・・2,566,527・・・・・・・・21,139 ・・・・・・・・・401
/最後の騎士王
4(4)・・オクジャ(韓・米) ・・・・・・・・・・・・6/29・・・・・・・・・・・・52,713・・・・・・・・・・・・214,667 ・・・・・・・・1,633 ・・・・・・・・・104
5(3)・・リアル(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・6/28・・・・・・・・・・・・15,890 ・・・・・・・・・・・448,346・・・・・・・・・3,228 ・・・・・・・・・313
6(7)・・スウィート17モンスター・・・・・・6/28・・・・・・・・・・・・15,869・・・・・・・・・・・・・71,400 ・・・・・・・・・・565 ・・・・・・・・・119
7(11)・・フィッシュテイルズ ・・・・・・・・・6/22 ・・・・・・・・・・・・9,508・・・・・・・・・・・・・47,870・・・・・・・・・・・369 ・・・・・・・・・・86
8(13)・・リチャード・ザ・ストーク ・・・・・6/15 ・・・・・・・・・・・・9,483・・・・・・・・・・・・・77,735・・・・・・・・・・・578 ・・・・・・・・・・63
飛べないワタリドリ
9(12)・・映画 きかんしゃトーマス ・・・6/29・・・・・・・・・・・・・7,933・・・・・・・・・・・・・21,771・・・・・・・・・・・145 ・・・・・・・・・114
探せ!!謎の海賊船と失われた宝物
10(新)・・その後(韓国)・・・・・・・・・・・・・7/06・・・・・・・・・・・・・6,753・・・・・・・・・・・・・・9,179・・・・・・・・・・・・71 ・・・・・・・・・168
※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。
なんのかんのいっても、人気シリーズの最新作「スパイダーマン:ホームカミング」の数字が頭抜けていて、前週1位の「朴烈」はまずまず。あとは軒並み「スパイダーマン」のあおりを食って、7位でも1万人を切るとは・・・。今にして思えば、次々に韓国映画がヒットした昨夏が特別な年だったということ?
今回の新登場は1・9・10位の3作品です。
1位「スパイダーマン:ホームカミング」はシリーズ何作目になるのかよくわかりません。(数え方にもよる?) で、今回から新シリーズなのかな? 新星トム・ホランドが主演で、ヒーロー気取りの少年がアイアンマンの導きによって真のヒーローへと成長していく姿が描かれる・・・と、ほぼ宣伝文そのままなのは日本公開が8月11日で、もう諸情報が流されているから。韓国題は「스파이더맨: 홈 커밍」。です。
9位「映画 きかんしゃトーマス 探せ!!謎の海賊船と失われた宝物」は、日本ではすでに2016年4月に公開されています。韓国題は「토마스와 친구들: 수수께끼 해적선과 보물찾기」です。
10位「その後」はホン・サンス監督の新作。といっても、例によって何人もがお酒をのんでおしゃべりする映画? あるネチズンは「互いに愛し合うことは認めても、それを正当化して愛という名で美化させてるんじゃないの? 不倫映画は一度で足りる。どこまでこんなレパートリーを繰り返すのだろう?」と書いてます。このレビューには賛成も多いけど反対もその6割には達しています。まあ、それでもオモシロイからねー。(ってコレは観てないけど。) 初出勤の日、アルム(キム・ミニ)は、社長のポンワン(クォン・ヘヒョ)が別れた女性が使っていた席で仕事をすることになります。ところがそこにポンワンの妻がやってきます。夫と女性の愛のノートを見つけ、会社に来たのですが、アルムはその社長が別れた女性と誤解され、結局その日に会社を辞めざるをえなくなってしまいます・・・。原題は「그 후」です。
【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・リチャード・ザ・ストーク ・・・・・・・・・・6/15 ・・・・・・・・・・・・9,483 ・・・・・・・・・・・77,735・・・・・・・・・・・・・578・・・・・・・・・・63
飛べないワタリドリ
2(新)・・その後(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・7/06・・・・・・・・・・・・・6,753 ・・・・・・・・・・・・9,179・・・・・・・・・・・・・・71・・・・・・・・・168
3(2)・・ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ・・2002/8/09・・・・5,336 ・・・・・・・・・・・31,740・・・・・・・・・・・・・246・・・・・・・・・・62
4(4)・・子ブタ ベイブの大冒険・・・・・・・・・・6/15 ・・・・・・・・・・・・2,003 ・・・・・・・・・・・40,234・・・・・・・・・・・・・279・・・・・・・・・・19
5(新)・・リオ・ブラボー ・・・・・・・・・・・・・・・・・7/06 ・・・・・・・・・・・・1,640 ・・・・・・・・・・・・8,282 ・・・・・・・・・・・・・・20・・・・・・・・・・・1
今回の新登場は2・5位の2作品です。
2位「その後」については上述しました。 5位「リオ・ブラボー」は1959年ハワード・ホークス監督の西部劇。<NAVER映画>も韓国での公開日がわからない? ジョン・ウェイン、ディーン・マーティン、リッキー・ネルソンと実に懐かしい顔ぶれ。ディーン・マーティンとリッキー・ネルソンが歌っていた「ライフルと愛馬」、憶えてますがな。そういえば日曜の昼NHKTVで「陽気なネルソン」という一家4人が出演していた番組があったな・・・。上映館が1館ということはたぶん→シルバー映画館でしょ。1度行かなくちゃ。55歳以上2千ウォン! 韓国題は「리오 브라보」です。
「眼下の敵」や「M★A★S★H」も面白かったですね。後者の「Suicide Is Painless」という挿入歌は、詞の内容とは裏腹にメロディアスな名曲でした。
<高校生にすすめる映画>の記事化、期待しております。
その中の戦争関係の作品を拾ってみると、コメント中にある「戦争と人間」、「硫黄島からの手紙」「ジョニーは戦場へ行った」、そして岡本喜八監督「肉弾」はきっちり入っています(笑)。中でも「肉弾」には◎をつけています。
ただ、たしかに「どうも全部はクリア出来ていないような気がしてしまいます」というのはたしかにその通りかもしれません。
上記の作品以外では、外国映画では「アンボンで何が裁かれたか」(1990)・「鬼が来た!」・(2000)・「ノー・マンズ・ランド」(2001)・「イノセントボイス~12歳の戦場」(2004)といったところ。しかし、どれも戦場での戦闘シーンを撮ったオーソドックスな戦争映画というわけではないですが・・・。
日本映画では、時代順リストだと最初の「煙突屋ペロー」(1930)。この時代によくこういうアニメを作ったと思います。数年前はYouTubeで全部見られたのが、著作権の関係だか今は最初だけです。 →
https://www.youtube.com/watch?v=I077v1OgO38
それから以前記事にした鈴木清順「春婦傳」(1965)。 →
http://blog.goo.ne.jp/dalpaengi/e/37136b7f3bf46410ff494b884c9ac682
なお、おすすめリストには入れてなかった作品ですが、稲垣浩「無法松の一生」(1943)と木下恵介「陸軍」(1944)という戦時中の2作品もよく言われる(?)ように反戦という尺度で見るとたしかにビミョーな要素があります。
※後者についてはコチラの記事参照。 →
http://www.cmn.hs.h.kyoto-u.ac.jp/CMN9/hatori-report.html
エンターテインメントとしての戦争映画は私も否定しているわけではありません。例をあげると、ずいぶん前に観た「眼下の敵」とか。「M★A★S★H マッシュ」は、なんと評していいかよくわかりません。
「ビルマの竪琴」や「野火」も連合軍への視点はあるものの、日本兵が駐屯していたビルマやフィリピンへの現地の人たちに対する視点がほとんど欠如しているような気もしますし、正直、余り思いつきません。
日本国内では評価された作品でも(最近では「この世界の片隅に」など)、韓国や中国の人たちが見ると、加害者としての視点が欠けていると言われがちですし、戦争映画というとどうしても製作国の視点中心になりがちで、どこの国の人が見ても納得できるような作品というのは、なかなか見つけるのが難しいような気がします。
アメリカ映画でも、クリント・イーストウッド監督の「硫黄島からの手紙」などは、敵味方という視点をある程度相対化しえているのかも知れませんが。ダルトン・トランボ原作の「ジョニーは戦場へ行った」などは、反戦というテーマ自体は良さそうですが、果たして多角的な視点という条件を満たしえているかどうか……。
個人的には映画は所詮エンターテインメントであり、フィクションに過ぎないとも思うので、「政治的に正し」くない作品でも、「地獄の黙示録」とか「大脱走」など、賛否両論あっても好きな作品は結構ありますけれども(汗)