一昨日5月18日。韓国では1980年光州民主化運動のメモリアルデーです。
光州の国立5.18民主墓地では、第32周年5.18民主化運動記念式が開かれました。李明博大統領は、就任初年度の2008年はこの式典に参席しましたが、以後は出席せず、今年も不参加で、一部で非難の声があがりました。
今回は、野党(進歩陣営)からは民主統合党の朴智元非常対策委員長、統合進歩党の姜基甲非常対策委員長、今年の大統領選挙の有力候補とされる民主党の文在寅(ムン・ジェイン)当選者等がもちろん参席。与党(保守陣営)からもセヌリ党の黄祐呂代表、大統領選挙候補者として朴槿恵前非常対策委員長、李在五議員、鄭夢準議員、金文洙京畿道知事等が記念式に参加したそうです。
ニュースによると、金滉植(キム・ファンシク)首相が光州民主化運動について、「時代の混乱の中で現代史を民主化の方向に転換させた」と述べ、続けて、対話と妥協によって社会的葛藤を解決しなければならないと強調し、「法と原則を守ることこそが成熟した民主主義の要求だ」と述べた・・・というのは、保守陣営の立場からの我田引水的解釈だなーと私ヌルボは思いました。
さて、前日の5月17日の石丸次郎さん(アジアプレス)のtwitterに次のようなツイートがありました。(5つのツイートをまとめて記します。)
明日は5.18光州の日である。もう、32年も前になるのか。全斗ファン時代の85年・学生の頃、一人で光州市と望月洞を訪ねた。墓地でひとり一時間ほど思いにふけり山から下りて学生らしき若者グループに声かけ一緒に飲んだ。互いに拙い英語で話した。80年のこと聞きたいというと辺りを見回した。
なぜだか覚えていないが、二件目はディスコに連れて行かれ、したたか踊った。三軒目は静かな居酒屋でマッコリごちそうになった。政治の話になると彼らは声を潜めた。運動圏の学生たちではなく政治の話したくなさそうだった。日本語勉強してるという一人が言った。「クワンジュはちょんらみんこくです」
「??」最初は意味がわからなかった。下手な漢字でメモしてくれてわかった。「光州は全羅民国」。全羅道こそが民主化運動の中心だと言うのである。政治の話はそれで終わった。数年後の留学時代に光州を再訪。また街で偶然会った若者グループと飲んだ。もう周囲気にする人はいなかった。
堂々と、そして熱心に民主化と統一について語ってくれた。このときも、女性が言った。「ここは全羅民国なのよ」。
明日は518。光州事件後に生まれた若い人たちも「全羅民国」という言い方しているんだろうか・・・。
1985年というと、「32年」どころか、37年も前ですね。「80年のこと聞きたいというと辺りを見回した」というあたりは、軍事政権に対する民主化闘争が沸騰した1987年の少し前の雰囲気が感じられます。
この文中で石丸さん自身が問題にしている「全羅民国」という言い方について、たぶん今も使われているように思いました。
先月の総選挙の結果を見ても、過去の大統領選挙同様、極端な地域差が今回も見られ、これはちょっとやそっとで解消されるものではない、もしかして古代の百済(=全羅道)と新羅(慶尚道)以来ずーっと続いている地域対立ではないかと思うのも自然だし、ならばいっそのこと分離独立した方がスッキリするのでは、というアイディアが出てくるのも無理からぬところでしょう。(いわずもがなですが冗談半分ですよ。)
・・・ということで、「전라민국(全羅民国)」でネット検索してみました。
するとgoogleのヒット件数は約164万件。思っていた以上の数の多さです。
個々に見てみると、いろいろおもしろい記事があります。
「全羅民国の分離独立駄目なの???(전라민국 분리 독립 안되나???)」という記事は、素朴な疑問そのままの記事。その住民を「全羅ディアン(전라디안)」とよんでいるのはこの記事だけでもないようです。(日本語自動翻訳→コチラ。)
「独立国家 全羅民国(독립국가 전라민국)」という記事には、全羅民国の定期的な集まりの記念写真等が載っています。
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【上記の記事にはんな写真も。横断幕の文字は「故郷が全羅道ですみません」。2007年の大統領選挙での鄭東泳候補の選挙運動?】
また、画像検索してみると、「全羅民国の出入国事務所」の写真が?!?
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【向こう側に金大中の写真。青地に白く「思想検査」の表示。画像修正したのかな?】
「全羅民国」を移動して(!)北朝鮮の西側にくっつけた地図もあります。
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「全羅民国独立シナリオ(전라민국 독립 시나리오)」という記事には「紅本旗」という国旗の画像が載せられています。「紅」の字は、名産の「紅魚(홍어.ホンオ)」=エイに由るものです。
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【赤い地の色は北朝鮮国旗と共通。そこに名物のエイとローソク台を配したもの。】
そして最近4月27日には全羅民国愛国歌の歌詞なるものが公開されました。(→コチラ。日本語自動翻訳は→コチラ。)
ただ、その内容は韓国国歌の「愛国歌」のもじりで、やたらと紅魚(ホンオ)が出てきて、それも「ホンオの香り三百里 暴動山河」とか、「このエイと親北に忠誠を尽くして」とか、どうも悪意が感じられないでもない、それでコメントもいろいろ寄せられています。
さて、全羅民国について私ヌルボが一番オススメしたいのが「百怪事典(백괴사전)」中の「全裸民国」の記事。(→コチラ。日本語自動翻訳→コチラ。)
見出し語の全裸民国は、全羅民国と同じハングル標記゛す。ここからしてオアソビ。
これにも国歌が載ってますが、前出のものよりかけ声が入っていたり、名所や特産品(スイカ、クルビ等)が折り込まれていたりして、素朴な味わいがあります。
★「百怪事典」はヌルボも愛読しているあの「アンサイクロペディア」の韓国版です。
※「ウィキペディア」のパロディ版のフリー八百科事典「アンサイクロペディア」をご存知ない方は、まあ見てみてください。たとえば秀逸な記事中の「読書感想文に書くと親呼び出しにされる図書一覧」は実に凝っているし(「1=2」はそれ以上)、また「繰り下がりのある引き算の10未返却事件」等も楽しいです。
「大阪民国」の項目(→コチラ)なんぞはかなりめっちゃらくっちゃら。
「大韓民国」の項目は→コチラ。
これに対抗して、「百怪事典」の「倭国(왜국)」の項目は→コチラ。日本語自動翻訳はコチラ。
上述のように全羅道に対する慶尚道等からの「特別な見方」は依然存続しているし、日韓両国の間にもいろいろ感情的なやり取りが日常化している状況が続いています。双方のユーモア感覚がクッションのような働きをして、また相互理解につながればいいんですけどねー・・・。
光州の国立5.18民主墓地では、第32周年5.18民主化運動記念式が開かれました。李明博大統領は、就任初年度の2008年はこの式典に参席しましたが、以後は出席せず、今年も不参加で、一部で非難の声があがりました。
今回は、野党(進歩陣営)からは民主統合党の朴智元非常対策委員長、統合進歩党の姜基甲非常対策委員長、今年の大統領選挙の有力候補とされる民主党の文在寅(ムン・ジェイン)当選者等がもちろん参席。与党(保守陣営)からもセヌリ党の黄祐呂代表、大統領選挙候補者として朴槿恵前非常対策委員長、李在五議員、鄭夢準議員、金文洙京畿道知事等が記念式に参加したそうです。
ニュースによると、金滉植(キム・ファンシク)首相が光州民主化運動について、「時代の混乱の中で現代史を民主化の方向に転換させた」と述べ、続けて、対話と妥協によって社会的葛藤を解決しなければならないと強調し、「法と原則を守ることこそが成熟した民主主義の要求だ」と述べた・・・というのは、保守陣営の立場からの我田引水的解釈だなーと私ヌルボは思いました。
さて、前日の5月17日の石丸次郎さん(アジアプレス)のtwitterに次のようなツイートがありました。(5つのツイートをまとめて記します。)
明日は5.18光州の日である。もう、32年も前になるのか。全斗ファン時代の85年・学生の頃、一人で光州市と望月洞を訪ねた。墓地でひとり一時間ほど思いにふけり山から下りて学生らしき若者グループに声かけ一緒に飲んだ。互いに拙い英語で話した。80年のこと聞きたいというと辺りを見回した。
なぜだか覚えていないが、二件目はディスコに連れて行かれ、したたか踊った。三軒目は静かな居酒屋でマッコリごちそうになった。政治の話になると彼らは声を潜めた。運動圏の学生たちではなく政治の話したくなさそうだった。日本語勉強してるという一人が言った。「クワンジュはちょんらみんこくです」
「??」最初は意味がわからなかった。下手な漢字でメモしてくれてわかった。「光州は全羅民国」。全羅道こそが民主化運動の中心だと言うのである。政治の話はそれで終わった。数年後の留学時代に光州を再訪。また街で偶然会った若者グループと飲んだ。もう周囲気にする人はいなかった。
堂々と、そして熱心に民主化と統一について語ってくれた。このときも、女性が言った。「ここは全羅民国なのよ」。
明日は518。光州事件後に生まれた若い人たちも「全羅民国」という言い方しているんだろうか・・・。
1985年というと、「32年」どころか、37年も前ですね。「80年のこと聞きたいというと辺りを見回した」というあたりは、軍事政権に対する民主化闘争が沸騰した1987年の少し前の雰囲気が感じられます。
この文中で石丸さん自身が問題にしている「全羅民国」という言い方について、たぶん今も使われているように思いました。
先月の総選挙の結果を見ても、過去の大統領選挙同様、極端な地域差が今回も見られ、これはちょっとやそっとで解消されるものではない、もしかして古代の百済(=全羅道)と新羅(慶尚道)以来ずーっと続いている地域対立ではないかと思うのも自然だし、ならばいっそのこと分離独立した方がスッキリするのでは、というアイディアが出てくるのも無理からぬところでしょう。(いわずもがなですが冗談半分ですよ。)
・・・ということで、「전라민국(全羅民国)」でネット検索してみました。
するとgoogleのヒット件数は約164万件。思っていた以上の数の多さです。
個々に見てみると、いろいろおもしろい記事があります。
「全羅民国の分離独立駄目なの???(전라민국 분리 독립 안되나???)」という記事は、素朴な疑問そのままの記事。その住民を「全羅ディアン(전라디안)」とよんでいるのはこの記事だけでもないようです。(日本語自動翻訳→コチラ。)
「独立国家 全羅民国(독립국가 전라민국)」という記事には、全羅民国の定期的な集まりの記念写真等が載っています。
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【上記の記事にはんな写真も。横断幕の文字は「故郷が全羅道ですみません」。2007年の大統領選挙での鄭東泳候補の選挙運動?】
また、画像検索してみると、「全羅民国の出入国事務所」の写真が?!?
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【向こう側に金大中の写真。青地に白く「思想検査」の表示。画像修正したのかな?】
「全羅民国」を移動して(!)北朝鮮の西側にくっつけた地図もあります。
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「全羅民国独立シナリオ(전라민국 독립 시나리오)」という記事には「紅本旗」という国旗の画像が載せられています。「紅」の字は、名産の「紅魚(홍어.ホンオ)」=エイに由るものです。
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【赤い地の色は北朝鮮国旗と共通。そこに名物のエイとローソク台を配したもの。】
そして最近4月27日には全羅民国愛国歌の歌詞なるものが公開されました。(→コチラ。日本語自動翻訳は→コチラ。)
ただ、その内容は韓国国歌の「愛国歌」のもじりで、やたらと紅魚(ホンオ)が出てきて、それも「ホンオの香り三百里 暴動山河」とか、「このエイと親北に忠誠を尽くして」とか、どうも悪意が感じられないでもない、それでコメントもいろいろ寄せられています。
さて、全羅民国について私ヌルボが一番オススメしたいのが「百怪事典(백괴사전)」中の「全裸民国」の記事。(→コチラ。日本語自動翻訳→コチラ。)
見出し語の全裸民国は、全羅民国と同じハングル標記゛す。ここからしてオアソビ。
これにも国歌が載ってますが、前出のものよりかけ声が入っていたり、名所や特産品(スイカ、クルビ等)が折り込まれていたりして、素朴な味わいがあります。
★「百怪事典」はヌルボも愛読しているあの「アンサイクロペディア」の韓国版です。
※「ウィキペディア」のパロディ版のフリー八百科事典「アンサイクロペディア」をご存知ない方は、まあ見てみてください。たとえば秀逸な記事中の「読書感想文に書くと親呼び出しにされる図書一覧」は実に凝っているし(「1=2」はそれ以上)、また「繰り下がりのある引き算の10未返却事件」等も楽しいです。
「大阪民国」の項目(→コチラ)なんぞはかなりめっちゃらくっちゃら。
「大韓民国」の項目は→コチラ。
これに対抗して、「百怪事典」の「倭国(왜국)」の項目は→コチラ。日本語自動翻訳はコチラ。
上述のように全羅道に対する慶尚道等からの「特別な見方」は依然存続しているし、日韓両国の間にもいろいろ感情的なやり取りが日常化している状況が続いています。双方のユーモア感覚がクッションのような働きをして、また相互理解につながればいいんですけどねー・・・。
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