ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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「朝鮮学校 無償化問題」 反対派・賛成派にあえて問う(下)

2010-09-19 23:48:38 | 韓国・朝鮮と日本の間のいろいろ
 9月13日の記事で、「朝鮮学校 無償化」に反対の人たちに問いかけました。教育について考える時に、「国益」をタテに論ずることへの疑問がその中心です。

 今回は、「無償化に賛成」の人たちに聞いてみたいと思います。先の記事で、私ヌルボは、次の2点を自らの所論の基軸として掲げました。
①学校は、生徒に間違ったことを教えてはいけない。
②公的機関といっても、学校は政治(とくにその時の政権)のための道具になってはいけない。そのためにも、教育の自立性・自主性は尊重されなければならない。


 ①の「間違ったこと」といってもいくつかのレベルがあります。
 たとえば、
A.太陽は地球の周りを回っている。
B.人間や世界は神が造った。進化論は間違っている。
 ・・・これらは、科学的にみて誤り、ということで、大多数の人は「こんなウソは教えるな!」と言うでしょう。

 歴史についても、明らかに事実に反することを教えるのもダメなのはいうまでもないですが、たとえば、
C.南京で虐殺はなかった。
 ・・・と同様に、次の例(朝鮮学校の場合)も。
D.朝鮮戦争は韓国側が最初にしかけた。(or挑発した。or緊張した情勢下で「起こった」。)
 ・・・<右>であろうが<左>であろうが、どこの国であろうが学校であろうが、歴史の解釈以前に、ウソ(史実に反すること)を教えてはいけないですよ。
 その次のレベルで、事実であっても、「教えたくないことは教えない」という例は北朝鮮・韓国・日本それぞれたくさんありすぎます。
 質問その1はそういうこと。「ウソを教えてはいけないでしょ?。」
 
 宗教教育や、民族精神については意見が分かれるところでしょう。
E.○○は、わが民族の英雄である。
F.国や民族のために命を捧げるのは英雄的な行為である。
・・・「抵抗の民族主義は肯定する」という進歩的な人たちはふつうにいるようですが、このあたりになると意見が分かれそうです。

 しかし、
G.キリスト教は間違っている。(敵である)
H.○○人はわが民族の敵である。
 ・・・いくら宗教や民族意識の色濃い国でも、このような「排他的な教育、差別教育は良くない」と大多数の人は考えるでしょう。(脱北者の証言によると、北朝鮮の教師はふつうにイルボンノム(日本の奴)とかウェノム(倭奴)という言葉を使っているそうですが・・・。)

 総じて、北朝鮮、あるいは朝鮮高校の教育は、このような明らかにヘンだぞ、と思われる点、あるいはビミョー、という点がいくつもあるように思われます。

 とくに、伝えられるところでは、朝鮮高校には「まるで神殿のような金日成元帥の「革命歴史研究室」が設けられている」とのこと。

 前回書いたように、日本の戦後教育は戦前の<忠君愛国>を旨とした国家主義的教育が大きな悲劇を生んだことの反省に立脚してスタートしました。そして以後民主主義教育・人権教育を主体的に担ってきた人たちの多くが今回の問題についても「無償化賛成」、「差別反対」を訴えていると思います。
 しかし、戦前・戦中の天皇制教育を今忠実に受け継いでいるのが北朝鮮の金日成父子偶像化教育ではないですか? なんとも皮肉なねじれ現象が現出してしまっていることか・・・。
 質問その2は、「否定すべき天皇制教育同様の教育、体制奉仕の教育を、アナタは(結果的に)擁護しているのではありませんか?」

 他国の教育にヘンなところがあっても言うべきではないとしたら、韓国等が日本の教科書を批判するのも反則ではないのですか? 近代国家間では一応「内政不干渉」がお約束となってきましたが、明らかな人権侵害や、事実に反した教育について、そういうわけにはいかないのでは?

 朝鮮学校の関係者も、朝鮮総連の関係者も、人権派の人たちも(私ヌルボもそうなんだけどなー・・・)、日本の中の人権問題と同様、北朝鮮の人たちの人権についてもっともっと発言してしかるべきでしょう。それが言えないと、あなたがたの言う人権がなにかウサンくさくみえてきてしまいます。

 注:(上)から読んでいただければわかると思いますが、「ウソを教えている」とか、「金父子偶像化教育が行われている」ということと、補助金とか無償化とかの問題を短絡させることには反対です。

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