ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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[アジア映画]知られざる名作がこんなにも!  付録:NHKアジア映画劇場 放映作品リスト(3)

2012-10-18 23:44:04 | 韓国映画(&その他の映画)
 <アジア映画は名作・秀作の宝庫 付録:NHKアジア映画劇場 放映作品リスト(1)>コチラと、
 <90年代、ブーム以前の珠玉の韓国映画がいっぱい! 付録:NHKアジア映画劇場 放映作品リスト(2)>コチラの続きです。今回が最後です。

 <NHKアジア映画劇場>の1997~2002年放映分の51作品のリストを下に載せました。

 韓国映画は「ディープ・ブルー・ナイト」「離れの客とお母さん」「灼熱の屋上」「祝祭」「接続 ザ・コンタクト」「八月のクリスマス」の6本。韓国映画の大ブレイクとその前夜といった時期ですが、さすがに佐藤忠男先生らしい選択です。

 「離れの客とお母さん」は、→コチラの情報によれば「韓国人が選んだ韓国映画ベスト100」(1996年以前の作品)の第3位。(1位は「我らの歪んだ英雄」、2位は「風の丘をこえて 西便制」。) 韓国映画史上の名作の1つで、観た人のブログ記事での評価も高いのに、日本語DVDが出ていないのはすごく残念!
 「ディープ・ブルー・ナイト」は映画館で鑑賞。だんだんとアン・ソンギが悪人面に変わっていくのが印象的でした。8年後に彼が主演したのが「祝祭」。お葬式映画では、同じ年に映画賞を競い合った朴哲洙監督「学生府君神位」(1996)があり、韓国の伝統的な葬儀の方式がわかることもあって、私ヌルボはそちらに軍配を上げるかな。(※<シネマコリア>のサイト中に内容紹介と観た人の感想(「祝祭」との比較等)が掲載されています。)
 「灼熱の屋上」はサークル仲間に勧められて観ました。たしかに傑作、というよりケッサク! おもしろいです。この映画のDVDが「韓国ドラマスターLIVE 2」(竹書房)というムックの付録になっていることを知り、アマゾンでかなりの安価で購入できたのはラッキーでした。(まだ出てますよ。早い者勝ち!)
 「接続 ザ・コンタクト」と「八月のクリスマス」は、パソコン通信等の道具立てとか、街の雰囲気とか、映し出されるものも、映画の主題も新しい時代の始まりをうかがわせる作品です。

 本ブログ過去記事の<150本の中から選んだ・・・ ★韓国映画ベスト20★>を見直してみたら、アジア映画劇場放映作品が5本入っています。(20本中アクションが全然ないことに気づきました。やっぱり私ヌルボ、暴力は苦手な人間というこってす。) あ、ついでに<ヌルボの韓国映画の思い出&★韓国映画ベスト12★>の方も見ていただければ幸いです。

 今回のリストには、韓国映画以外で大きな感動を味わった作品がいくつもあります。「青空がぼくの家」「變臉(へんめん) この櫂に手をそえて」「運動靴と赤い金魚」がベスト3(順不同)。あ、どれも子どもの話だなー。とくに「變臉 この櫂のに手をそえて」で、老人をまっすぐに見つめる子どもの表情が・・・うるうる(涙)。

 それにしても、全129作品のアジア映画の中で知らないものが非常に多く、今回の記事を書くためにそれらをネット探索すると、ごく少数の人が「感動した!」という感想を記事にしている・・・という例がたくさんありました。
 アジア映画劇場が終わってから10年経った今も、アジア・アフリカ・南米等の映画が日本で劇場公開されることはまだまだ少ない状況です。つまり、日本の映画ファンのほとんどが知らないままの外国の名作がきっとたくさんあるということです。韓国で今上映中のインド映画「地上の星のように」とかぜひ上映してほしいものです。
 韓国映画でも「あなたを愛しています」「豆満江」等々公開してほしい作品はいっぱいあるし、「執行者」「ワンドゥギ」「短い記憶」等はもっと多くの人に観る機会を提供してほしいと切に思いました。
 また過去の名作でも、DVDになっていないものも多く、かつて作られても現在はすごく高価になっているものもあるし(「風の丘を越えて 西便制」「ペパーミント・キャンディー」等)・・・、あー、こういうことを考えていると、ホントに悲しくなってきます。(涙)

  NHKアジア映画劇場放映作品リスト(その3)

放映年.月.日.「作品名」.公開年.国.監督
1997.1.1.風櫃(フンクイ)の少年.1983.台湾.侯孝賢(ホウ・シャオシェン)
1997.2.16.サラ.1993.イラン.ダリウシュ・メールジュイ
1997.3.16.恋する惑星.1994.香港.王家衛(ウォン・カーウァイ)
1997.4.20.恋恋風塵.1987.台湾.侯孝賢(ホウ・シャオシェン)
1997.5.11.女人、四十。.1995.香港.許鞍華(アン・ホイ)
1997.6.8.ペディキャブ・ドライバー[帰って来たデブゴン 昇龍拳].1989.香港.洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
1997.7.20.ディープ・ブルー・ナイト.1985.韓国.裴昶浩(ペ・チャンホ)
1997.8.31.青空がぼくの家.1989.インドネシア.S.R.ジャロット
1997.9.21.クローズ・アップ.1990.イラン.A・キアロスタミ
1997.10.5.愛情萬歳.1994.台湾\t蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)
1998.1.1.見知らぬ人.1991.インド.サタジット・レイ
1998.2.1.コーカサスの虜.1996.カザフスタン・ロシア.セルゲイ・ボドロフ
1998.2.15.息子の告発.1994\t香港・中国\t厳浩(イム・ホー)
1998.3.1.離れの客とお母さん.1961.韓国.申相玉(シン・サンオク)
1998.3.8.上海ルージュ.1995.中国.張芸謀(チャン・イーモウ)
1998.4.12.ニャム.1995.ベトナム.ダン・ニャット・ミン
1998.5.10.君さえいれば 金枝玉葉.1994.中国.陳可辛(ピーター・チャン)
1998.6.21.サカイ.1993.フィリピン.レイモンド・レッド
1998.7.19.正義の行方.1994.中国.範元(ファン・ユアン)
1998.8.16.かさぶた.1987.イラン.アボルファズル・ジャリリ
1998.9.20.灼熱の屋上.1995.韓国.李珉鎔(イ・ミニョン)
1998.10.18.マン・オブ・ザ・ストーリー.1995.インド.アドゥール・ゴーパーラクリシュナン
1998.12.20.草原の愛 モンゴリアン・テール.1995.香港・中国.謝飛(シェ・フェイ)
1999.1.24.夜半歌聲 逢いたくて、逢えなくて.1995.香港.于仁泰(ロニー・ユー)
1999.2.7.祝祭.1996.韓国.林権澤(イム・クォンテク)
1999.2.21.遥かな旅.1996.ベトナム.レ・ホアン
1999.3.21.南から来た少年.1997.イラン\tパルヴィズ・ シャバズィ
1999.4.11.月夜の願い.1993.香港.陳可辛(ピーター・チャン)
1999.5.30.人生は琴の弦のように.1991.中国,陳凱歌(チェン・カイコー)
1999.6.20.タイムリセット 運命からの逃走.1997.タイ.オキサイド・ パン
1999.7.18.戦争の後の美しい夕べ.1998.カンボジア.リティー・パニュ
1999.9.19.過越しの祭り.1995.イスラエル,シェミ・ザルヒン
1999.10.10.接続 ザ・コンタクト.1997.韓国.張允鉉(チャン・イニョン)
1999.11.7.I WISH・・・.1997.ウズベキスタン.ズリフィカール・ムサーコフ
1999.12.19.推手.1991.台湾・アメリカ.李安(アン・リー)
2000.1.30.そこに光を.1996.トルコ.レイス・チェリック
2000.2.6.變臉 この櫂に手をそえて.1996.中国,呉天明(ウー・ティエンミン)
2000.2.20.桜桃の味.1997.イラン.キアロスタミ
2000.3.19.上海グランド.1996.香港.プーン・マンキッ
2000.5.14.アパートメント.t1999.ベトナム.ビエト・リン
2000.9.24.八月のクリスマス.1998.韓国.許秦豪(ホ・ジノ)2000.10.1.歳月.1998.ベトナム.ミー・ハー
2000.11.5.スパイシー・ラブスープ.1998.中国.張楊(チャン・ヤン)
2001.2.4.ラヴソング.1996.香港.陳可辛(ピーター・チャン)
2001.3.11.榕樹(ガジュマル)の丘へ.1997.中国\t胡炳榴(フー・ピンリウ)
2001.4.22.玻璃の城.1998.香港.張婉婷(メイベル・チャン)
2001.5.20.運動靴と赤い金魚.1997.イラン.マジッド・マジディ
2001.7.15.フォーエバー・フィーバー.1998.シンガポール.グレン・ゴーイ
2001.9.16.ラン・フォー・マネー.1999.トルコ.レハ・エルデム
2002.2.17.桃源鎮.1996.中国.熊郁(ション・ユイ)
2002.3.17.石油地帯の子たち.2001.イラン.エブラヒム・フルゼシュ


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13 コメント

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アジア映画諸々 (yohnishi)
2012-10-20 10:20:22
 『青空がぼくの家』は未見ですが、『變臉』の催涙攻撃にはまさに降参ですね。この作品は海外ではDVDが出ていますが、どれも帯に短したすきに長しで、決定版がないのが残念。
 イラン映画には『運動靴と赤い金魚』を含め児童映画の傑作がたくさんありますが、いつも出てくる大人が子供たちに意地悪なのが気にかかっていました。
 そうしたら、あるDVDの付録インタビュー映像で、ジャファール・パナヒ監督が、結局大人の映画を撮ると検閲で引っかかっちゃうので、児童映画を撮って寓意的にイラン社会を批判しているんだよ、と答えているのを見て、非常に納得。

 なお、アップリンクからでていた「風の丘を越えて 西便制」の国内盤DVDは画質がひどくほぼVHSと同等のクオリティで、あの映像の美しい作品がここまでひどくなるかと悲しくなった記憶があります。高価な中古盤を買い求める価値はゼロ。
 むしろ韓国盤DVDが日本語字幕付きで画質がすばらしいのでお薦めです。以前韓国に行ったとき教保文庫の片隅で一枚10000ウォンぐらいで転がっていました。

 『ペパーミント・キャンディ』もリマスター版、日本語字幕付きの韓国盤が通販でリーズナブルな価格で買えます。
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日本語字幕付きの韓国盤等 (ヌルボ)
2012-10-20 12:31:26
「青空がぼくの 家」は、アジア映画劇場と、岩波ホールで監督が来場した時の2回見ました。

「風の丘を越えて 西便制」「ペパーミント・キャンディー」は日本語版を安価で入手しましたが、たしかに画質は問題ありますね。
日本語字幕付きの韓国盤といえば、「神様こんにちは」が出ているのをネット通販でみつけて購入できたのはうれしかったです。日本語字幕の用字の間違いは目につきますが。

別件で、個人的にとても残念なのはインド映画の上映が少なすぎることです。最初に観てカンゲキした「ラジュー出世する」とか、「愛と憎しみのデカン高原」とか、認知度の低いハイレベル作品が多過ぎ。アメリカ映画等の駄作の山と比べると、宣伝広告の差つまりは資金力の差なんでしょうか?
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Unknown (yohnishi)
2012-10-20 16:41:47
インド映画の国内配給が少ないのは...
 まず、インド映画は、好き嫌いの差がはっきり出る(脈絡無く歌と踊りが入るのが苦手という人は意外に多い)。次に上映時間が長いのが映画館から嫌われる(長くてもその分入場料をたくさん取れる訳ではない)。それを考えると今は需給バランスが取れている状態かと。

 アメリカ映画の配給が多いのは「アメリカ文化帝国主義」もあるかもしれませんが、やはりアメリカの映画会社が直接日本に進出している(20世紀フォックス、ジェネオン・ユニバーサル、ブエナビスタ、ソニー等)影響が大きいでしょう。

 韓国映画も一時のブームが去った後、だいぶ配給が落ち込みましたが、最近は人気が必ずしもさほど復活している訳ではないのに玉石混淆で配給が増えているのは、CJやコリアエンタテインメントなど韓国の会社が直接日本のビデオ市場を当て込んで乗り込んできている影響かと。

 あとはインドの映画会社が直接日本市場へ乗り出すのを待つしかないと思いますが、彼らは中東・アフリカ圏で、欧米・東アジア圏におけるアメリカのハリウッドに相当する、文字通りボリウッドの地位を占めているので、日本市場はさほど魅力的ではないでしょうねぇ。ただ、インドの経済発展に伴って、インドでもコストをかけた超大作が増え、国際配給も一所懸命やるようになっているので、その余波で日本でも公開作が増えそうな気配はあります。

 英語字幕であればそこそこ色々なインド映画のヴィデオディスクが入手可能なんですが...
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業界関係 (ヌルボ)
2012-10-21 02:06:39
映画業界関係のことについてはほとんど知識がないので、とても参考になりました。
韓国関係、ビデオ市場はそれほど期待がもてるのですか、ふーむ・・・。CJについては、この頃一般公開の上映館が少なくなってるようなのはなぜなのかなーと思ってるのですけどねー・・・。

インド映画、上映時間の長さ等についてはナットクです。「脈絡無く歌と踊りが入る」最近の例では、「ロボット完全版」でなぜかマチュピチュでのダンスシーンがありましたね。「苦手という人は意外に多い」ですかー・・・。
中東・アフリカ圏でのボリウッドの地位についても知りませんでした。

いろんな情報をありがとうございました。
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お疲れ様です。 (shigeiko)
2012-10-25 11:47:19
大変な作業だったと思います。

私はこの中の韓国映画では八月のクリスマスを覚えていますかね。

韓国映画以外では、「運動靴と赤い金魚」がとても印象に残っています。

リストを見ると、恋する惑星やウェディングバンケットといった比較的メジャーな映画も実はこの番組でみていたみたいで驚きました。てっきり別の枠でみたのだと思い込んでいましたから。

さて、先日私が質問した映画は、イラン映画の「サラ」かもしれません(ストーリー的に一致するのは少女ヘジャルなんですが)。ただ、サラの情報がなかなか出てこないので、確認できません。しかし映像ソフトが残らない名画をこれだけ放映してくれたアジア映画劇場という番組はホントに凄い番組だったと思います。
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サラ (shigeiko)
2012-10-25 11:49:59
あらすじが見つかりました。確かに記憶にあるので「サラ」もみているのは間違いないですが、記憶の中の映画ではないようですね。

少女ヘジャルをアジア映画劇場でみたとどっかで勘違いした可能性が一番高いようです・・・・。お騒がせしました。
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離れの客とお母さん のDVD (ポチョンボ電子楽団)
2012-10-25 13:18:37
韓国ででてぃる 離れの客とお母さん のDVDは、字幕切り替えで日本語版も入っています。念のため。
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サラ (ヌルボ)
2012-10-25 16:28:49
shigeikoさんへ。

「サラ」はリスト作成中、内容がよく調べられなかった映画の1つでした。
本でも映画でも、他の作品と記憶が入り混じってしまうことはたまにありますね。

とりあえずはお役に立ったようでよかったです。
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「離れの客とお母さん」のDVD (ヌルボ)
2012-10-25 16:33:46
ポチョンボ電子楽団さんへ。

「離れの客とお母さん」のDVD、それも日本語字幕入りのものが出ているとは、朗報です!

さっそく探して購入しようと思います。
ありがとうございました。
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ああ、 (前川健一)
2012-10-26 22:46:38
 アジア映画劇場の上映作品全リストは公開してくれないのかもしれないと思い、図書館に4日通って、新聞の縮刷版を調べて私もリストを作りました。ああ、大変だったが、あれは徒労か。
 今回のリストで、見たことを覚えているのは20本ほどですので、おそらくもう少し見ているのでしょう。
 タイから帰ってきたところなのですが、タイ航空機でも韓国映画が見られました。「Korea](ハ・ジウォン、ペ・ドゥナ)は、英語字幕でした。
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