ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[9月21日(金)~23日(日)]

2012-09-25 22:25:50 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 今年は秋分の日(22日)が土曜日だったので、残念に思った人は多いでしょう。韓国でも今年はチュソク(秋夕)が9月30日(日)なので、3連休といっても土日が重なってしまうとは運が悪いことで・・・。

 昨日ようやくプンサンケを観ました。韓国と北朝鮮の関係を扱った映画の中で、これは画期的な作品です。何が画期的かというと、「北」にも「南」にも足を置いていないこと。いや、どちらも峻拒している、と言った方がいいかも。「どちらの言葉も話さない」主人公のことだけではなく、作品の基軸がそういうこと。過去の南北統一志向映画は、「トンマッコルにようこそ」等のように80年代民主化運動に通底する民族主義的な理念に裏打ちされていたと思います。「JSA」のチョコパイなんかもその象徴でしょう。観てないけど「KOREA」もそうかな? 「南」と同じように「北」も認めようという姿勢です。イジワルな言い方をすれば「南から北への片思い映画」。しかし「プンサンケ」は「北」も「南」もひっくるめて、個々人の不幸のモトとなっている国家そのものを否定しています。その非情な国家の在りようを示すものがまさに軍事分界線です。私ヌルボ、かねてから南北分断を維持しているのは、口先では統一を唱えている南北両政権、そして日米中露の各国政府であると見てきました。そんな政治的構図に対して、南北工作員たちのように骨の髄まで染み込んだ「愛国心」からも、あるいは「民族意識」からも自由な主人公を創造して異を唱えた作品が登場したことに、ヌルボとしてはわが意を得た感じで、心強く思いました。南北に離散した肉親が、ビデオに映った相手を見て涙する・・・(あるいは後の方で、彼が大声で叫び続ける場面も・・・)、「プンサンケ」が立脚するのは、そんな人の心の基層部分です。
 そういえば、一昨日観た「壊された5つのカメラ パレスチナ・ビリンの叫び」もイスラエルがイスラエルが「テロリストの侵入を防ぐため」と称してヨルダン川西岸地区でパレスチナ人の土地を奪いながら建設中の分離壁(アパルトヘイト・ウォール)も住民に不幸をもたらす壁です。
 このような現実の鉄条網やコンクリート壁、あるいはそれと対応するような、心の中の壁のようなものは、最近の領土問題を考える時、日本の私たちにとっても決して他人事ではない、ということを強く感じます。

          ★★★ Daumの人気順位(9月25日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①地上の星のように  9.3(113)
②おおかみこどもの雨と雪(日本)  9.2(112)
③ヤコブへの手紙  9.2(30)
④ホノカアボーイ(日本)  9.1(47)
⑤ピエタ(韓国)  9.0(1130)
⑥チャイニーズ・フェアリー・ストーリー  8.6(43)
⑦光海、王になった男(韓国)  8.5(1626)
⑧ピナ・バウシュ 夢の教室  8.5(33)
⑨あの頃、君を追いかけた  8.4(192)
⑩ベスト・エキゾチック・マリーゴールド・ホテル  8.4(163)

 新登場は⑥「チャイニーズ・フェアリー・ストーリー」だけです。蒲松齢の古典怪奇小説集「聊斎志異」を素材にしたゴードン・チャン(陳嘉上)監督の「画皮 あやかしの恋」は中国国内で興行収入2億元を超える大ヒットとなり、日本でも今年8月に公開されて今も上映中ですが、この作品も同監督がやはり「聊斎志異」の中の「画壁」という話を映画化したものです。ある書生が旅の途中で立ち寄った古寺で、壁に描かれた仙女の絵に心を奪われます。すると絵の中から仙女が現れ、彼を仙女だけが暮らす異世界へと導いて・・・。この後は、突然現れたイケメン書生に恋のバトルを繰り広げる仙女たち。それがその世界の戦争へと繋がっていって・・・とい話に。カンフーアクションがすごい、という感想がありました。
 主演女優スン・リー(孫儷)は「画皮」にも出演していました。→コチラのブログ記事によると、現在「中国の実力No.1女優」なんだそうです。(人気ではチャン・ツィイーの次らしい。)実は彼女、2004年に放映されたサントリーウーロン茶のCMで美しく舞っていました。YouTube(→コチラ)の動画を見て思い出す人も多いのでは? で、そのスン・リー、この作品の主演男優ドン・チャオ(超)と2010年に結婚していたことが11年4月報じられました。(→コチラ。) その後に作られたこの映画も2人で主題歌デュエット。11年末には女の子を出産したとか。はいはい、けっこうなことでございます。さてこの映画、原題は原作と同じ「画壁」で、韓国題も「화벽(画壁)」ですが、日本では今年11月に「チャイニーズ・フェアリー・ストーリー」というタイトルでDVDが発売されるとか。ということは一般劇場公開はナシのようです。あの「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」と紛らわしいですが、あれも「聊斎志異」の中の「聶小倩」という話が原作なので、関係がないことはないのですね。
 なお、⑩「ベスト・エキゾチック・マリーゴールド・ホテル」は久々の再登場。7月17日の記事で紹介しました。

【専門家による順位】

①おおかみこどもの雨と雪(日本)  8.0(5)
②Bonsai~盆栽  8.0(1)
③ミッドナイト・イン・パリ  7.8(7)
④少年は残酷な弓を射る  7.7(7)
⑤二つの扉(韓国)  7.6(6)
⑥メゾン ある娼館の記憶  7.5(2)
⑦光海、王になった男(韓国)  7.2(8)
⑧ぴちぴち(韓国)  7.0(6)
⑨ぼくの孫悟空(日本)  7.0(1)
⑩泥棒たち(韓国)  6.8(6)

 ほー、「おおかみこどもの雨と雪」が①位になりました。アニメとしてはめずらしく、専門家からも高い評価を得ています。
新登場は⑥「メゾン ある娼館の記憶」だけです。20世紀初頭パリを舞台に、過酷な運命を生きる高級娼婦たちをが見せる様々な表情を芸術的映像で描いた群像劇。日本では6月に公開されました。韓国題は「라폴로니드:관용의 집(ラポロニード:寛容の家)」です。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[9月21日(金)~23日(日)] ★★★

         時代劇「光海、王になった男」が今週も他を圧倒

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・光海、王になった男(韓国)・・・・・9/13・・・・・・・・・・・・・1,192,663 ・・・・・・・・3,227,914 ・・・・・・・・23,631・・・・・・・922
2(35)・・間諜(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・9/20・・・・・・・・・・・・・・・341,694 ・・・・・・・・・・415,420 ・・・・・・・・・2,953・・・・・・・576
3(2)・・バイオハザードV・・・・・・・・・・・・・9/13・・・・・・・・・・・・・・・101,266 ・・・・・・・・・・501,386 ・・・・・・・・・4,328・・・・・・・331
        リトリビューション
4(12)・・テッド:黄金都市 ・・・・・・・・・・・・9/20・・・・・・・・・・・・・・・・81,308 ・・・・・・・・・・100,925 ・・・・・・・・・・・723・・・・・・・301
        パイティティを探して
5(3)・・ピエタ(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・9/06・・・・・・・・・・・・・・・・69,518 ・・・・・・・・・・505,744・・・・・・・・・・3,653・・・・・・・292
6(8)・・おおかみこどもの雨と雪(日本)・・9/13・・・・・・・・・・・・・・・61,269 ・・・・・・・・・・169,760 ・・・・・・・・・1,158・・・・・・・220
7(4)・・ボーン・レガシー ・・・・・・・・・・・・・9/06・・・・・・・・・・・・・・・・39,771 ・・・・・・・・・・998,209 ・・・・・・・・・7,291・・・・・・・262
8(5)・・共謀者たち(韓国) ・・・・・・・・・・・・8/29・・・・・・・・・・・・・・・・36,518 ・・・・・・・・1,618,529 ・・・・・・・・12,406・・・・・・・192
9(9)・・泥棒たち(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・7/25 ・・・・・・・・・・・・・・・・6,969・・・・・・・・12,944,834 ・・・・・・・・93,396・・・・・・・・86
10(新)・・ロンドン・ブルバード・・・・・・・・・9/20・・・・・・・・・・・・・・・・・6,735 ・・・・・・・・・・・11,617 ・・・・・・・・・・・・83・・・・・・・131
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 新登場は2・4・10位の3作品です。
 2位「間諜」は、北朝鮮のスパイを描いたアクション・コメディ。これまでにも北朝鮮のスパイを描いた作品といえば「シュリ」「二重スパイ」「義兄弟」等が思い浮かびますが、本作はそれらとは全然違う新タイプ。宣伝文句では<本格生活型間諜の誕生>と謳ってます。つまり、長く韓国内で一般市民として生活しながら北からの指令を受けるスパイで、そんな固定間諜が、あの(故)黄長氏によれば韓国内になんと5万人(!)もいるそうです。さて、この映画の中身は・・・。主人公のコードネーム「キム課長」(キム・ミョンミン)は南に定住して22年にもなる「北」の間諜。しかし本国からの送金は途絶え、バイアグラの販売で食いつないでいる状況。そんな彼が工作資金を要求したら、送られてきたのは金ではなく、韓国に亡命した北の政府高官暗殺せよとの命令。「北」からは冷徹なリーダー工作員「チェ部長」もやってくる。そして「キム課長」は、彼同様の定住スパイの不動産業の中年女性、40年公務員を生業として退職した独居老人、FTA反対デモの先頭に立つ帰農青年の3人と共に「チェ部長」の下で作戦を進めますが失敗し、「キム課長」の正体も韓国の情報当局に知られてしまって・・・という複雑な展開に・・・。そういえば、以前読んだ金英夏の小説「光の帝国」も、長年韓国で家庭を持ち生活する北朝鮮のスパイが主人公という純文学でした。しかし、実際にそんな生活をしているスパイが5万人もいるのかなー? 原題は「간첩」。で、最近の若者、間諜の意味はわかってるか、ちょっと疑問。
 4位「テッド:黄金都市パイティティを探して」はスペイン製のファミリー向けCGアニメ。つい先頃の8月31日、スペインの興行ランクで初登場1位とか。幼い頃考古学者を夢見たテッドは、現実はシカゴの平凡な煉瓦工。ところが偶然の事故で教授に誤解され、古代インカ帝国の黄金が埋まっているというパイティティの秘密のカギとなる半分の石板を持ってペルーへ。そしてお約束の美女とか虎視眈々と石板をねらう連中等々が登場して、さて隠された黄金を見つけ出せるか? ・・・というおなじみみたいな物語。原題は「Las aventuras de Tadeo Jones(タデオ・ジョーンズの冒険)」、韓国題は「테드:황금도시 파이티티를 찾아서」です。
 10位「ロンドン・ブルバード」は日本では昨年(2011年)12月公開。韓国題は「런던 블러바드」です。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・地上の星のように ・・・・・・・・・・・・・9/06 ・・・・・・・・・・・・・・・1,798 ・・・・・・・・・・・・・14,467・・・・・・・・・95・・・・・・・・・・17
2(再)・・あなたを愛しています(韓国)・・2011/2/17 ・・・・・・・・・・・1,196 ・・・・・・・・・・1,646,794・・・・・12,044・・・・・・・・・・・1
3(2)・・ピナ・バウシュ 夢の教室 ・・・・・・・8/30 ・・・・・・・・・・・・・・・1,157 ・・・・・・・・・・・・・14,231・・・・・・・・264・・・・・・・・・・・8
4(4)・・少年は残酷な弓を射る・・・・・・・・・7/26 ・・・・・・・・・・・・・・・・・478 ・・・・・・・・・・・・・44,593・・・・・・・・352・・・・・・・・・・・3
5(新)・・メゾン ある娼館の記憶 ・・・・・・・・9/20 ・・・・・・・・・・・・・・・・・399・・・・・・・・・・・・・・・・491・・・・・・・・・・3・・・・・・・・・・・8

 新登場は5位「メゾン ある娼館の記憶」だけ。上述しました。
 2位「あなたを愛しています」は、「隣人」と同じくカンプルの漫画が原作で、昨年ヒットした作品の再上映。日本での公開を期待しているんですけどねー・・・。

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