昨日の記事で10月12日「朝鮮日報」が修能試験の高校別平均点の順位を、高校の実名入りで公開したことを紹介しましたが、その続報がいろいろ伝えられています。
全教組&市民団体が資料を「朝鮮日報」に流したチョ議員を告発した一方、ハンナラ党はチョ議員の擁護を確認。李会昌自由先進党総裁も「学校間学力差公開は教育改革の出発点」と語ったとのことです。
「朝鮮日報」は「アメリカは成績公開、フランスは順位も公開している」との記事を載せました。
今後の展開が注目されます・・・・って、典型的な第三者的コメントですが・・・。
韓国の進学熱は非常に高く、家庭の教育費負担も大きいことはよく知られています。
進学率を見ると、たしかに中学→高校が99.3%、高校→大学が98.8%ですから、日本を上回る非常に(異常に?)高い数値になっています。
韓国の高校は、大学進学を目的とする普通高校と、就職を目的とする実業系高校(商業高校・工業高校等)に大別されます。生徒数の比率はおよそ2:1ですが、近年は実業系高校からの大学進学者も急増しているとのことです。
厳しい受験競争の背景として、政官界・企業で<学縁(ハギョン.학연)>の有無が採用や昇進にかなり大きく関わってくるという現実があるようです。
「朝鮮日報」は、13日の紙面で政府が管理している<国家人材データベース>に収録されている各分野の専門家17万余人について、その出身高校を多い順に30位までのリストを載せています。10位までを挙げると次の通りです。
※( )の数字は人数。
①京畿高(2559) ②ソウル高(1528) ③慶北高(1496) ④全州高(1464) ⑤光州第一高(1308) ⑥大田高(1285) ⑦景福高(1107) ⑧釜山高(1074) ⑨晋州高(947) ⑩慶南高(936)
韓国の学閥は、大学もさることながら、高校の同窓がかなりの重要性をもつとされています。
上記の<名門高校>からソウル大学や、私学の名門延世大学や高麗大学に進むのが出世コースの定番だったわけです。
ところが、1973年から<高校平準化>が進められていく中で、これらの高校も突出した名門校とはいえなくなってきました。
この新聞記事でも、「伝統名門名門高校が上位に目立つのは、収録されている人物の大部分は平準化以前の50代以上であるため」と記しています。
今年5月、国会教育科学委員会(日本の文教委員会に相当)所属のハンナラ党ファン・ウヨ議員に提出した最近5年間のソウル大合格者数の高校別順位は次の通り。
①ソウル芸術高(439) ②ソウル科学高(321) ③大元外国語高(311) ④漢城科学高(175)⑤仙和芸術高(171)⑥明徳外国語高(166)⑦国楽高(124)⑧韓国科学英才学校(117)⑨韓英外国語学校(106)⑩徽文高(100)
(この中でソウル以外の学校は、釜山にある韓国科学英才学校だけです。)
過去の名門高校はといえば、多い順に
京畿高(92)・ソウル高(67)・京畿女子高(45)・竜山高(41)・慶北高(39)・大田高(36)
・・・となっていて、毎年2ケタの生徒をソウル大に送りこんでいるのは京畿高だけとなってしまいました。
かつての名門校に代わって、現在とくに目立っているのが○○外国語学校・○○科学高校等の名がついている<特殊目的高校(特目高)>と<自立型私立高校(自私高)>で、上記のソウル大合格者数でも、修能試験平均点でも最上位ランクの大半を占めています。
旧来の伝統ある<一般高校>は、ソウルをはじめとする広域市では前述の<高校平準化>によってかなり進学実績は落ち込んでしまいましたが、教育ママたちの教育熱の焦点となっているソウルの江南地区にある徽文(フィムン휘문)高校・京畿(キョンギ경기)高校等はそれなりに高い水準を保っているといえるでしょう。
なお、例の「朝鮮日報」掲載のリスト等によると、まだ平準化されていない地方では伝統校が高レベルを維持しているようです。
さて、<特目高>とは、本来的には外国語・理科系・芸術系等、特定分野に重点を置いた高校で、予算面等でも優遇されたりして学力レベルの高い生徒が集まり、進学成績を急速に伸ばしてきたのですが、「結局進学優先の受験校になったじゃないか」との批判の声もあがっています。学校数は少ないですが、ソウル大合格者の18%を占めています。(昨年は16%)
修能平均点で全国第1位と報じられた大元外国語高校は1983年で韓国初めて設立された外国語高校です。
<自私高>とは、政府の支援金を受けず、独自の財政・独自の教育課程で運営している私立学校です。その分学費負担が大きく、<貴族学校>と批判されたりもしています。
全国で7校と数は少ないですが、修能平均点で第2位となった民族史観高校(民史高)を見てみると、そのユニークさには驚いてしまいます。
江原道にあるこの高校が目標として掲げるのは「民族精神で武装した世界的指導者の養成」です。
生徒たちは皆寄宿舎で生活し、制服は韓服で、国語・国史・芸術・体育等の一部科目以外は授業でも生活の中でも英語のみの使用が原則。生徒が校則に反した場合は、教師ではなく生徒自治的に運営する生徒法廷で罰点を与え、罰点が累積すると「心得宝鑑」を書かねばならず、さらにひどい程度だとスペシャルトレーニング(体力鍛練)が科されるということです。
東京ドーム27個分のキャンパス(!)を有し、授業料は韓国の高校で最高額という年約150万円、校長は元教育科学技術部長官(文部大臣)というだけでもオドロキです。 私ヌルボが中学生だったら絶対このテの高校は避けるところですが、な~んとこの学校、競争率がえらく高くて、150人の定員に17倍以上(2007年)もの志願者があったとのこと!
上記の大元外国語高校や民族史観高校のような韓国でも最上位レベルの高校では、世界の大学ランクで87位(2008年)というソウル大学よりも上をめざすということで、10人以上の生徒がアメリカの名門大学に進学しているんですと。
日本でも<受験戦争>という言葉が(何十年か前には)語られたことがありましたが、現在の状況は日韓でずいぶん違いがあるように思います。
[2014年5月8日の追記] 2014年度のソウル大合格者の出身高校に関する記事は→コチラです。
全教組&市民団体が資料を「朝鮮日報」に流したチョ議員を告発した一方、ハンナラ党はチョ議員の擁護を確認。李会昌自由先進党総裁も「学校間学力差公開は教育改革の出発点」と語ったとのことです。
「朝鮮日報」は「アメリカは成績公開、フランスは順位も公開している」との記事を載せました。
今後の展開が注目されます・・・・って、典型的な第三者的コメントですが・・・。
韓国の進学熱は非常に高く、家庭の教育費負担も大きいことはよく知られています。
進学率を見ると、たしかに中学→高校が99.3%、高校→大学が98.8%ですから、日本を上回る非常に(異常に?)高い数値になっています。
韓国の高校は、大学進学を目的とする普通高校と、就職を目的とする実業系高校(商業高校・工業高校等)に大別されます。生徒数の比率はおよそ2:1ですが、近年は実業系高校からの大学進学者も急増しているとのことです。
厳しい受験競争の背景として、政官界・企業で<学縁(ハギョン.학연)>の有無が採用や昇進にかなり大きく関わってくるという現実があるようです。
「朝鮮日報」は、13日の紙面で政府が管理している<国家人材データベース>に収録されている各分野の専門家17万余人について、その出身高校を多い順に30位までのリストを載せています。10位までを挙げると次の通りです。
※( )の数字は人数。
①京畿高(2559) ②ソウル高(1528) ③慶北高(1496) ④全州高(1464) ⑤光州第一高(1308) ⑥大田高(1285) ⑦景福高(1107) ⑧釜山高(1074) ⑨晋州高(947) ⑩慶南高(936)
韓国の学閥は、大学もさることながら、高校の同窓がかなりの重要性をもつとされています。
上記の<名門高校>からソウル大学や、私学の名門延世大学や高麗大学に進むのが出世コースの定番だったわけです。
ところが、1973年から<高校平準化>が進められていく中で、これらの高校も突出した名門校とはいえなくなってきました。
この新聞記事でも、「伝統名門名門高校が上位に目立つのは、収録されている人物の大部分は平準化以前の50代以上であるため」と記しています。
今年5月、国会教育科学委員会(日本の文教委員会に相当)所属のハンナラ党ファン・ウヨ議員に提出した最近5年間のソウル大合格者数の高校別順位は次の通り。
①ソウル芸術高(439) ②ソウル科学高(321) ③大元外国語高(311) ④漢城科学高(175)⑤仙和芸術高(171)⑥明徳外国語高(166)⑦国楽高(124)⑧韓国科学英才学校(117)⑨韓英外国語学校(106)⑩徽文高(100)
(この中でソウル以外の学校は、釜山にある韓国科学英才学校だけです。)
過去の名門高校はといえば、多い順に
京畿高(92)・ソウル高(67)・京畿女子高(45)・竜山高(41)・慶北高(39)・大田高(36)
・・・となっていて、毎年2ケタの生徒をソウル大に送りこんでいるのは京畿高だけとなってしまいました。
かつての名門校に代わって、現在とくに目立っているのが○○外国語学校・○○科学高校等の名がついている<特殊目的高校(特目高)>と<自立型私立高校(自私高)>で、上記のソウル大合格者数でも、修能試験平均点でも最上位ランクの大半を占めています。
旧来の伝統ある<一般高校>は、ソウルをはじめとする広域市では前述の<高校平準化>によってかなり進学実績は落ち込んでしまいましたが、教育ママたちの教育熱の焦点となっているソウルの江南地区にある徽文(フィムン휘문)高校・京畿(キョンギ경기)高校等はそれなりに高い水準を保っているといえるでしょう。
なお、例の「朝鮮日報」掲載のリスト等によると、まだ平準化されていない地方では伝統校が高レベルを維持しているようです。
さて、<特目高>とは、本来的には外国語・理科系・芸術系等、特定分野に重点を置いた高校で、予算面等でも優遇されたりして学力レベルの高い生徒が集まり、進学成績を急速に伸ばしてきたのですが、「結局進学優先の受験校になったじゃないか」との批判の声もあがっています。学校数は少ないですが、ソウル大合格者の18%を占めています。(昨年は16%)
修能平均点で全国第1位と報じられた大元外国語高校は1983年で韓国初めて設立された外国語高校です。
<自私高>とは、政府の支援金を受けず、独自の財政・独自の教育課程で運営している私立学校です。その分学費負担が大きく、<貴族学校>と批判されたりもしています。
全国で7校と数は少ないですが、修能平均点で第2位となった民族史観高校(民史高)を見てみると、そのユニークさには驚いてしまいます。
江原道にあるこの高校が目標として掲げるのは「民族精神で武装した世界的指導者の養成」です。
生徒たちは皆寄宿舎で生活し、制服は韓服で、国語・国史・芸術・体育等の一部科目以外は授業でも生活の中でも英語のみの使用が原則。生徒が校則に反した場合は、教師ではなく生徒自治的に運営する生徒法廷で罰点を与え、罰点が累積すると「心得宝鑑」を書かねばならず、さらにひどい程度だとスペシャルトレーニング(体力鍛練)が科されるということです。
東京ドーム27個分のキャンパス(!)を有し、授業料は韓国の高校で最高額という年約150万円、校長は元教育科学技術部長官(文部大臣)というだけでもオドロキです。 私ヌルボが中学生だったら絶対このテの高校は避けるところですが、な~んとこの学校、競争率がえらく高くて、150人の定員に17倍以上(2007年)もの志願者があったとのこと!
上記の大元外国語高校や民族史観高校のような韓国でも最上位レベルの高校では、世界の大学ランクで87位(2008年)というソウル大学よりも上をめざすということで、10人以上の生徒がアメリカの名門大学に進学しているんですと。
日本でも<受験戦争>という言葉が(何十年か前には)語られたことがありましたが、現在の状況は日韓でずいぶん違いがあるように思います。
[2014年5月8日の追記] 2014年度のソウル大合格者の出身高校に関する記事は→コチラです。
また韓国で戦後中学校を高等学校に直したのは、これもたぶんですが日本の学校の呼称をそのまま取り入れたのでしょう。あえて新たに junior high schoolと senior high school を正確に訳し分ける必要はないと考えたか、考えさえもしなかったのでは?
それに、日本でも高校進学率が5割に達したのは1950年代半ば頃だし、ましてや韓国の高校晋学率をみると1965年26.4%で、ようやく1980年前後に急増したとのことで(1980年は63.5%)、一般人の感覚では文字通り「高等教育機関」だったでしょう。実際わりと最近の韓国映画の船乗り同士の会話で「高校出」が一目置かれているという事例がたしかあったと思います。
「マルチュク青春通り」は私は観ていませんが、日本でいえば1960年代半ば頃のテイストがある感じですかねー?
現在の日本の高校も実際にやっている教育内容は中等教育です。
おそらく戦後の学制改革の過程で英語圏のhigh schoolをそのまま『高校』としてしまったことが混乱の元凶だと思いますが、日本人でも現在『高等学校』は高等教育機関だと誤解している人が多いですが、韓国でも、high school高等学校を高等教育機関だと誤解している人は多いのでしょうか?
日本が戦後の学制改革で中学校をhigh schoolにしてしまったのは敗戦国でGHQの言いなりにならざるを得なかった背景があったと思いますが、敗戦国ではない第三国の韓国まで中学校を高等学校に直してしまったのは何故なのでしょうか?