ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画の興行成績 [11月6日(金)~11月8日(日)]と人気順位 ►台湾映画「チャンケ:よそ者」はほとんど韓国映画だった」 ► 9時間に及ぶ大作「死霊魂」は全然時間と金のムダじゃなかった

2020-11-11 07:41:43 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 ▶<東京国際映画祭>で観た「チャンケ:よそ者」(台湾)、「スレート」(韓国)、「トゥルーノース」(日本/インドネシア)の3作品中、一番よかったのは「チャンケ:よそ者」でした。セリフの9割以上は韓国語で、ほとんど韓国映画と言っていいくらい。主人公の高校生グァンヤンは中国人の父と韓国人の母との間のハーフで、韓国生まれですが国籍は父の強い意向で中華民国(台湾)籍で、自らのアイデンティティに悩む・・・というのが基本的構図。これはチャン・チーウェイ監督自身も同様で、主役も中華民国の国籍を保有していることが選定の条件だったとか。(→関係記事。)
 タイトルの「チャンケ」(짱개または짱깨)は韓国で中国人に対する蔑称として用いられている言葉、というのはこの映画で初めて知りました。原題は「醤狗」で、醤油臭い犬ということですが、他にも諸説あるようです。(その中に日本で使われていた(今も?)チャン○ロという語との関連も・・・) 本筋とは関係ありませんが、韓国の高校生にもやっぱりコッソリ喫煙している者はけっこういるようですが、彼らはタバコの臭いがつかないように割り箸でつまんで吸うんですね(笑)。この作品、一般劇場公開を強く希望。
 ▶この1週間に観た映画の評価と寸評です。「チャンケ:よそ者」★★★★☆(上画像右の彼女も隠れ喫煙常習者だったりして(笑)。いろいろあるけど後味のいい映画。) 「スレート」★★(Slateとは映画撮影で使うカチンコのこと、というのもこの映画を観て知った。寝てて目覚めたらタイムスリップしてたりして、もしかして夢オチなの?という疑問がずっと付きまとい、理解するのがタイヘン。これが東京国際映画祭で唯一の韓国映画だったんだけどなー・・・。) 「罪の声」★★★★☆(なかなか緻密な構成で見応えあり。個人的には半世紀前の<闘争>のイメージがこんな形で定着してはまずいかな?とも・・・。)  「死霊魂」★★★★★(2回の休憩を入れて約9時間とは「サタンタンゴ」を上回る。王兵[ワン・ビン]監督による超大作ドキュメンタリーだがナレーションも説明映像等も全然ナシ。50年代末の百家争鳴→反右派闘争で明確な根拠もなく辺地の収容所に送られた人たちは約55万人。そこに大飢饉が重なって生還率はわずか1割。その中で今世紀まで生き延びた人たちがこれまで抱いてきた思いを各々20~30分語り尽くす。カットなしで・・・。最初★3つだな、と思ってたのが観てるうちに引き込まれ、最後は3,900円(涙)だったけど観てよかった・・・(涙)。)  「まったく同じである彼女」★★★(韓国文化院の配信。原題の「감쪽같은 그녀」はこう訳すのか。今さら申し上げることのないナ・ムニさんとともに主役で12歳の少女コンジュを演じていたキム・スアンちゃんがなかなか頑張ってたなー。) 「わたしは金正男を殺してない」★★★★☆(期待以上のドキュメンタリー。事件に関わった大使館員を含む北朝鮮人8人中4人が事件後に逃亡、他も証拠不十分等で皆出国ってのはなんなんだ!? 一方金正男のことさえ知らなかったし、そもそも動機があろうはずもないのに2年以上拘留されるとは・・・。先にインドネシア人シティさんが理由もなく起訴が取り下げられ、その後ベトナム人のドアンさんが殺人罪から傷害罪へと軽減されて釈放され、ってマレーシアの裁判はどうなってるんだ !? 政府間の裏取引がいろいろあったようす。裁判以前に事件自体も? 金正男はCIAの情報提供者で暗殺時彼のバックパックには12万ドルの現金が入っていたというし、このアメリカのドキュメンタリーも裏でそういった組織とのつながりがあったとしても全然驚かんゾッ!) 「トゥルーノース」★★★★(北朝鮮の政治犯収容所の実態を描いたアニメだが、たとえば「現在も12万人以上が収容所に・・・」等々どこまで真実に迫っているかは確認が困難。日本からの帰国船のエピソードがもっとあるのかと思ったが・・・。来年の一般公開で皆さん観てくださいね。)
 ところで、この2つの北朝鮮関係映画、韓国でも上映されるのかな?

         ★★★ NAVERの人気順位(11月10日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
  ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(1) ディア・マイ・ジーニアス(韓国)  9.97(30)
②(2) アルピニスト - あるカメラマンの告白(韓国)  9.94(32)
③(4) さすらいのシェフ(韓国)  9.54(109)
④(3) 復活: その証拠(韓国)  9.53(335)
⑤(5) フォードvsフェラーリ  9.48(8,176)
⑥(6) 私を救わないでください(韓国)  9.48(93)
⑦(7) ブータン 山の教室  9.46(112)
⑧(8) カイラスへ行く道(韓国)  9.45(143)
⑨(-) 少年の君  9.40(1,418)
⑩(10) 帰郷[落葉帰根]  9.40(20)

 新登場の作品はありません。

     【記者・評論家による順位】

①(1) 燃ゆる女の肖像  9.22
②(3) 恐怖分子  8.22(9)
③(4) ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語  8.00(10)
④(5) マーティン・エデン  8.00(8)
⑤(6) ハラボジの家(韓国)  7.83(12)
⑥(7) マロナの幻想的な物語り  7.83(6)
⑦(-) 1917 命をかけた伝令  7.67(9)
⑧(8) フォードvsフェラーリ  7.63(8)
⑨(10) トムボーイ  7.33(9)
⑩(-) 逃げた女(韓国)  7.33(6)

 新登場の作品はありません。

 ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績11月6日(金)~11月8日(日) ★★★
        「盗掘」が「サムジングループ英語TOEIC班」に替わって1位に

【全体】
順位・・・・題名 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・累計観客動員数 ・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・盗掘(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・11/04・・・・・・・・423,575 ・・・・・・・565,469・・・・・・5,271 ・・・・・1,634
2(1)・・サムジングループ・・・・・・・・・・10/21 ・・・・・・・185,182 ・・・・・1,257,444・・・・・11,141 ・・・・・1,080
       英語TOEIC班(韓国)
3(2)・・担保(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・9/29・・・・・・・・・17,990・・・・・・1,702,252 ・・・・14,611 ・・・・・・・407
4(再)・・きみに読む物語・・・・・2004/11/26・・・・・・・・・13,240 ・・・・・・・627,956・・・・・・4,435 ・・・・・・・144
5(7)・・TENET テネット・・・・・・・・・・・・8/26・・・・・・・・・・7,479 ・・・・・1,978,191・・・・・18,263 ・・・・・・・102
6(6)・・ミスタートロット・・・・・・・・・・10/22 ・・・・・・・・・5,719・・・・・・・・140,594・・・・・・1,212 ・・・・・・・159
       :ザ・ムービー(韓国)
7(4)・・セッション ・・・・・・・・・・・2015/3/12 ・・・・・・・・・5,684・・・・・・1,637,711 ・・・・13,087 ・・・・・・・194
8(8)・・劇場版 Fate/stay night ・・・10/22・・・・・・・・・・5,247・・・・・・・・・60,391・・・・・・・・552 ・・・・・・・・71
       [Heaven’s Feel]III.spring song(日本)
9(10)・・21ブリッジズ・・・・・・・・・・・・・1/01 ・・・・・・・・・・4,739 ・・・・・・・117,894・・・・・・・・909・・・・・・・・・21
10(179)・・レット・ヒム・ゴー・・・・・・11/05 ・・・・・・・・・・2,775・・・・・・・・・・3,810 ・・・・・・・・・25 ・・・・・・・・37
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回の新登場は5・9位の2作品です。
 1位「盗掘」は韓国の犯罪ドラマ。カン・ドング(イ・ジェフン)は地面を掘ってその土の味だけでお宝を捜し出す生来の天才盗掘者。ジョーンズ博士(チョ・ウジン)は<韓国のインディアナ・ジョーンズ>を自称する古墳壁画の盗掘専門家。彼らは伝説のスコップの達人(イム・ウォニ)と出会い、幻想の(?)チームプレーで危険極まりないスリリングな盗掘現場を拡大していきます。一方、彼の才能を見て取った古美術界のエリートキュレーター、ユン室長(シン・ヘソン)はカン・ドングに魅力的だが危険な取引を持ちかけます・・・。原題は「도굴」です。
 10位「レット・ヒム・ゴー」は、アメリカの犯罪&ドラマ。ラリー・ワトソンの同名小説(未訳)の映画化作品です。マーガレット(ダイアン・レイン)は元保安官の夫ジョージ(ケビン・コスナー)と一緒に平穏な生活を送っていました。しかしある日、一人息子が事故死したとの一報が飛び込んできます。その後義理の娘ローナ(ケイリー・カーター)はすぐに再婚しますが、その相手ドニー・ウィボーイ(ウィル・ブリテン)は短気ですぐ暴力を振るう男でした。「大切な孫をこんな男に任せておけない。何としてでも取り返さねば」と思ったマーガレットは、ジョージを連れてウィボーイ家に向かいますが、一家の女家長ブランチ(レスリー・マンヴィル)はそんな2人を鼻で笑い飛ばします。話し合いでの解決が不可能だと判断した2人はやむなく実力を行使することにします・・・。韓国題は「렛 힘 고」。日本公開は未定のようです。
 4位「きみに読む物語」は日本でも韓国から約2ヵ月遅れで公開されたライアン・ゴズリングとレイチェル・マクアダムス主演のアメリカのラブロマンスで、けっこうヒットした作品ですが私ヌルボは観ていません。主人公の青年ノアが父親との会話で、小さい頃詩を朗読して吃音を矯正したということが語られたとのこと。これ、バイデンと同じじゃないですか。偶然? 韓国題は原題「The Notebook」に沿って「노트북(ノートブック)」。今の韓国ではノートパソコンのことをこう言うそうですけどね。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・上映館数
1(再)・・きみに読む物語・・・・・・・・・・2004/11/26・・・・・・13,240 ・・・・・・・・697,956・・・・・・4,435・・・・・・・144
2(1)・・セッション・・・・・・・・・・・・・・・・2015/3/12・・・・・・・5,684・・・・・・・1,637,711・・・・・13,087・・・・・・・194
3(2)・・マーティン・エデン ・・・・・・・・・・・・・10/29・・・・・・・2,577・・・・・・・・・・・9,937 ・・・・・・・・・94・・・・・・・・49
4(3)・・復活: その証拠(韓国) ・・・・・・・・・・・10/08・・・・・・・2,396 ・・・・・・・・・16,559・・・・・・・・138 ・・・・・・・・15
5(新)・・フェビュラス・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/28・・・・・・・1,429・・・・・・・・・・・2,509 ・・・・・・・・・23 ・・・・・・・・64

 5位「フェビュラス」(仮)が新登場です。昨年の<第24回釜山国際映画祭>のフラッシュ・フォワード部門でBusan Bank Awardを受賞したカナダのコメディで、原題はフランス語「Fabuleuses」で「素晴らしい」という意味。英語だとfabulous。(最近一部でけっこう使われてる? →コチラ) 「2万人のフォロワーがいてこそマガジンのトップに入れる!」 作家になりたい就職浪人のローリー。それに対し「インスタグラムに魂が汚染されるのはイヤ」。自然さを主張するクールなフェミニストのエリー。親友同士のルームメイトである2人の前に、ある日ハリウッドスター級の人気を誇るインフルエンサー、クララが現れます。「皆さ〜ん、いいですか? 共有と購読お願いしますね」と、彼女はSNSを武器に社会に影響力を持つインフルエンサーをめざしています。3人の特別な友情が始まります。ローリーはクララのインスタのフォロワーを増やし、だんだんクララの人気を追い越すことになります。一方エリーはSNSに魂を売ったようなローリーや女性を商品化しているクララが気に入らないものの、お互いの相違を認めて友情を築いていきます。 相違を認めた瞬間本当の友だちになるのです・・・。主演の3人も、メラニー・シャルボンヌ監督も皆女性です。韓国題は「페뷸러스」です。

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