ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績 [7月24日(金)~7月26日(日)]

2015-07-28 22:01:16 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 ちょっと気になっていた映画その2の「駆込み女と駆出し男」を観てきました。感動というのではないですが、軽過ぎず重過ぎず、笑うところも泣くところもあって、見応えあり。未読ですが井上ひさしの原作の力が大きいのかな? 満島ひかり、こういう役もこなすのか、と再評価。そして何といっても戸田恵梨香がいろんな魅力を発揮していて◎。何か賞をもらうかも・・・。
 近所の貴重な映画館シネマジャック&ベティ、とくに夏は見逃せない作品が目白押し。今日の午後「野火」を観に行ったら15分前でもう40人ばかり列ができてました。写実的かつ象徴的な映像、特異な(?)カメラワーク、重く響く印象的な音楽の戦争映画。いや、敵が出てこない(!)し、これは戦争映画というよりひとつの極限状況を描いた映画。

 韓国映画関係。「ハンギョレ(日本語版)」に<韓国映画振興委が選んだ芸術映画だけ支援…政権批判映画を統制>という記事がありました。(→コチラ。) 独立芸術映画界側は「政権批判的な映画は全く上映できないようにされる」と反発しているとか。どうも昨年の釜山国際映画祭の上映作(「ダイビングベル」)をめぐる紛議あたりから韓国映画振興委員会(KOFIC)の動きがやたらヘンだぞ。「優秀映画報償制度を通して、国策映画の製作を誘導する政策も執拗に繰り広げられた」(キネマ旬報社「韓国映画史」)という70年代の朴正煕維新体制期に逆戻りしつつある? こんな風潮の元はやっぱり朴槿恵? しかし自由な言論や表現活動を保障するという民主主義国家の美点を自ら損なって「振興」はないでしょ。こんなとこまで韓国は中国に似てきているのかな? 安倍政権のメディア政策とメディア側の委縮・追従のようすを見ると他国だけの問題゛ゃないですけどね。このままだと日本と韓国は「自由と民主主義」を否定するという「価値観を共有する」国になっちゃうゾ。

「朝鮮日報」7月24日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。)
 「暗殺」
  夏の娯楽作の任務完遂 ★★★★
 「グローリー/明日への行進」
  米国人が感動する実話 ★★★☆
 「紙の月」
  宮沢りえ、しっかり演技 ★★★☆
 「生まれて初めて」
  同性愛者が異性愛者に ★★★
 上記4作品はすべて以下の記事中で紹介しています。

           ★★★ Daumの人気順位(7月28日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】

①ターミネーター2  9.4(748)
②チャップリンの独裁者  9.3(37)
③レッド・トゥーム(韓国)  9.3(43)
④戦場のピアニスト  9.3(582)
⑤少数意見(韓国)  8.8(1324)
⑥紙の月(日本)  8.8(25)
⑦ちいさなドラゴンココナッツ  8.8(24)
⑧映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!(日本)  8.7(44)
⑨マッドマックス 怒りのデス・ロード  8.7(1911)
⑩ウーマン・イン・ゴールド  8.6(132)

 新登場は⑥と⑧の2作品で、どちらも日本映画。これはちょっとめずらしいことです。
 ⑥「紙の月」はいろんな賞を受賞しましたが、韓国のネチズンの評点も高得点が並んでいます。(→コチラ。) 韓国題は「종이 달」。
 ⑧「映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!」は私ヌルボに語る資格ナシ。ネチズン評をみるとやはり子供に大好評。国による感じ方の違い等はほとんど関係ないみたいですね。韓国題は「극장판 요괴워치: 탄생의 비밀이다냥!」です。

     【専門家による順位】

①マッドマックス 怒りのデス・ロード  8.8(9)
②セッション  8.4(7)
③ひと夏のファンタジア(韓・日)  8.0(7)
④インサイド・ヘッド  7.7(8)
⑤雪の轍(わだち)  7.3(3)
⑥紙の月(日本)  7.2(7)
⑦少数意見(韓国)  7.2(4)
⑧生きる(韓国)  7.1(8)
⑨スパイ  7.0(5)
⑩TATSUMI マンガに革命を起こした男  7.0(4)

 ⑥と⑩の2作品が新登場。⑨「スパイ」は前に紹介したジュード・ロウ主演のスパイ・コメディですが、日本公開は未定のままのようです。
 ⑥「紙の月」については上述しました。
 ⑩「TATSUMI マンガに革命を起こした男」は、シンガポールのエリック・クー監督が辰巳ヨシヒロの自伝的漫画「劇画漂流」等を基に構成したアニメで私ヌルボも昨年観ましたが、韓国でも「동경 표류일기(東京漂流日記)」のタイトルで公開されたのですね。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[7月24日(金)~7月26日(日)] ★★★

         韓国映画「暗殺」が記録的なスタートダッシュで早くも300万人突破!

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(13)・・暗殺(韓国)・・・・・・・・・・・・・7/22・・・・・・・・・・2,443,124・・・・・・・・・3,370,159・・・・・・・・26,693 ・・・・・・・1,519
2(1)・・インサイド・ヘッド ・・・・・・・・7/09 ・・・・・・・・・・・696,817・・・・・・・・・3,199,086・・・・・・・・25,082・・・・・・・・・778
3(新)・・映画 妖怪ウォッチ・・・・・・7/22・・・・・・・・・・・・217,020 ・・・・・・・・・・277,041・・・・・・・・・1,977・・・・・・・・・510
        誕生の秘密だニャン!(日本)
4(2)・・延坪海戦(韓国) ・・・・・・・・・6/24 ・・・・・・・・・・・149,401・・・・・・・・・5,930,925・・・・・・・・44,799・・・・・・・・・448
5(3)・・ピクセル ・・・・・・・・・・・・・・・・7/16・・・・・・・・・・・・・66,791 ・・・・・・・・・・645,530・・・・・・・・・5,135・・・・・・・・・340
6(5)・・インシディアス 第3章・・・・・7/09・・・・・・・・・・・・・53,360 ・・・・・・・・・・798,380・・・・・・・・・6,193・・・・・・・・・297
7(4)・・ターミネーター ・・・・・・・・・・・7/02・・・・・・・・・・・・・44,073 ・・・・・・・・3,208,571・・・・・・・・26,321・・・・・・・・・278
        :新起動/ジェニシス
8(23)・・劇場版ポケットモンスター・・7/20・・・・・・・・・・・20,279・・・・・・・・・・・159,835 ・・・・・・・・・・921 ・・・・・・・・257
       /ポケモンレンジャーと蒼海の王子 マナフィ(日本)
9(6)・・ジュラシック・ワールド・・・・・6/11・・・・・・・・・・・・・17,099・・・・・・・・・5,540,866・・・・・・・・47,757 ・・・・・・・・・96
10(10)・・ウーマン・イン・ゴールド・・7/09・・・・・・・・・・・・・8,359・・・・・・・・・・・117,616 ・・・・・・・・・・903 ・・・・・・・・・55
      ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 韓国映画「暗殺」は公開3日で100万人、4日で200万人、5日で300万人を動員。このの興行スピードは「10人の泥棒たち」「グエムル-漢江の怪物-」「雪国列車」より1日早い(→コチラ参照)とのことで、1000万人突破というメガヒットを予感させます。ただ、昨年の「鳴梁」同様、内容的に日本公開はないかな? 「中央日報(日本語版)」の<光復70周年の韓国映画界、日帝の悲劇に“照準”>という記事(→コチラ)によると、これ以外にも抗日闘争等日本の統治時代を描いた作品がわんさか公開されるそうです。<嫌韓>の皆さんはリンク先の記事は見ない方がいいかな? 記事中で「京城学校:消えた少女」のイ・ヘヨン監督が「1930年代は罪悪感とコンプレックス・トラウマなどさまざまな感情が支配した時代なので、おぼろげで辛い感情がにじみ出るミザンセーヌ(画面構成)を作ることができる」と語っているのは「やっぱりなー」です。
 今回の新登場は1・3・8位の3作品です。
 1位「暗殺」は、1933年の上海と京城を舞台に、親日派の暗殺作戦のために集まった独立軍と臨時政府のメンバーと、そのターゲットたち、そして誰かに雇われた殺し屋等々の間で繰り広げられる歴史アクション。物語は上海の大韓民国臨時政府が暗殺作戦の実行者として日本側に感知されていない3人の名をあげるところから。韓国独立軍狙撃手アン・オギュン(チョン・ジヒョン)、新興武官学校出身の速射砲(チョ・ジンウン)、爆弾の専門家ファンドクサム(チェ・ドンムン)がその3人で、彼らをかき集めるのが臨時政府の指導者・金九の信頼厚い警務局隊長ヨム・ソクジン(イ・ジョンジェ)です。刺客のターゲットは朝鮮駐屯軍司令官の川口護(パク・ビョンウン)と親日派カン・イングク(イ・ギョンヨン)。一方、誰かに巨額の依頼を受けた請負殺人業者<ハワイピストル>(ハ・ジョンウ)が暗殺団の後を追います・・・。はたしてその先どんな展開になるのかな? チョン・ジヒョン、イ・ジョンジェ、ハ・ジョンウの主役3人をはじめとする豪華キャストで、もちろんアクション炸裂、生き残るのは誰?という興味もあってのこの動員数です。原題は「암살」です。
 3位「映画 妖怪ウォッチ誕生の秘密だニャン!」は、前述のように私ヌルボに語る資格ナシ、です。
 8位「劇場版ポケットモンスター/ポケモンレンジャーと蒼海の王子 マナフィ」についても同じです。これは2006年の作品のようですが、なんで今やっているのかな? 韓国題は「포켓몬 레인저와 바다의 왕자 마나피」です。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・君が生きた証・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/09・・・・・・・・・・・・・・5,404・・・・・・・・・・・・・61,837 ・・・・・・・・・・・489・・・・・・・・・40
2(18)・・紙の月(日本)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/23・・・・・・・・・・・・・・4,804・・・・・・・・・・・・・・6,503・・・・・・・・・・・・・54・・・・・・・・・34
3(新)・・生まれて初めて ・・・・・・・・・・・・・・・・7/22・・・・・・・・・・・・・・4,476・・・・・・・・・・・・・・7,049・・・・・・・・・・・・・53・・・・・・・・・53
4(24)・・グローリー/明日への行進・・・・・・7/23・・・・・・・・・・・・・・3,785・・・・・・・・・・・・・・7,067・・・・・・・・・・・・・53・・・・・・・・・46
5(2)・・ライド ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/16・・・・・・・・・・・・・・1,841 ・・・・・・・・・・・・・・9,845・・・・・・・・・・・・・79・・・・・・・・・26

 2・3・4位の3作品が新登場です。
 2位「紙の月」については上述しました。
 3位「生まれて初めて」はフランスのロマンティック・コメディ。34歳の男性ジェレミーは広告会社のCEOにしてイケメンのゲイ。16年間共に暮らしてきた恋人の彼氏は才能もルックスも備えた医師で、近く結婚することになっています。ところがある朝目をさますと隣に女性が寝ていて大パニック! その明るく美しいスウェーデン女性アドナと、100%ゲイのはずの彼は恋に陥っちゃう!? 韓国題は「난 그녀와 키스했다(僕は彼女とキスをした)」ですが、原題「Toute première fois」を参考に仮題をつておきました。日本公開は未定のようです。
 4位「グローリー/明日への行進」は、公民権運動の指導者マーティン・ルーサー・キング・Jr.牧師が1965年黒人の有権者登録の妨害に抗議してアラバマ州のセルマで行った行進を中心に描いた作品。日本では6月に公開されています。韓国題は原題同様「셀마(セルマ)」です。


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3 コメント

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Unknown (no_tenki)
2015-08-02 03:33:13
「暗殺」予告で「どっちかな?」と思っていたところが
わりと早い段階でタネ明かしされて、
予告では全然匂わせてなかったような展開で
娯楽性と作品のテーマ表現を両立させてるところが
すごいな!と思いました。
現実性ないアイデアだとは思いましたけど…
(まあクレジットでもフィクションと銘打ってましたが…w)
2時間半の間、退屈しなかったですね~
何気にチェ・ドンフン監督作は全部観てきたので、
正当な進化ぶりと小ネタにも嬉しくなりました。
韓国にお越しの際にはぜひ観てください!
内容的に日本公開は無理かもしれません…
異常に残虐な日本軍将校もいましたし…
一般兵はそんなことなくて、
むしろ可哀想な感じでしたけどもw
返信する
やっぱり・・・ (ヌルボ)
2015-08-03 09:54:22
情報提供ありがとうございます。
私はチェ・ドンフン監督作品は「10泥」しか観ていませんが、進化しているとなるとぜひこれも観てみたいですね。
しかし、やっぱり日本公開は無理ですか・・・。はたして観る機会があるかどうか・・・。
返信する
Unknown (no_tenki)
2015-08-04 05:21:58
タチャもチョンウチも好きなのですが、
今回の暗殺には度肝を抜かれました…
重い題材なのに押し付けてこず、
退屈させない内容で驚嘆です!

ちなみに暗殺対象は架空の人物ですが、映画のように
金鉱採掘権をむさぼっていた親日家の方は大勢存在し、
現在の朝鮮日報の社主の方もそうなので、朝鮮日報が
延坪海戦と違ってが暗殺をまるでプッシュしないのも
それが理由だろう…なんていうツッコミ記事も(左系の)
メディア今日などに掲載されていましたね(笑)

www.mediatoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=124329

いわれてみると、まあ確かにこの題材で
娯楽作品に仕上げることは凄いですが、
ただの「夏の娯楽作品」と紹介するのは
違和感がなくもないかもです(笑)
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