ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [4月21日(金)~4月23日(日)]

2017-04-25 20:22:52 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 「牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件」は圧倒的! 登場人物が多く、とくに若者たちの間の関係等もなかなかわかりにくくはありますが、236分間タイクツすることはありませんでした。この映画の大したところは、登場人物の個々の物語を重層的に描きつつ、全体として当時(1960年代初頭)の台湾の時代状況を如実に映し出していること。ちょっと具体的に言えば、基本的には当時の10代の少年少女たちの群像劇ではあっても、そこには国共内戦に敗れて台湾にやってきた外省人である親たちが抱えているもろもろの問題が反映されています。また故障してばかりの箱型ラジオ、LPの電蓄やオープンリール式のテープレコーダーといった小道具のほか、日本家屋がふつうに使われていたり、日本刀が出てきたり、街路を軍用車の車列が走っていたりというのもその時代だから?(台湾はよく知らない私ヌルボ。) その時代といえば、何と言ってもプレスリーの歌の数々。エドワード・ヤン監督とほぼ同世代(だろうな?)のヌルボとしては、リアルタイムで聴いていた歌を久しぶりに聴きました。とくに「ARE YOU LONESOME TONIGHT(今夜はひとりかい)」なんてホントに懐かしかったな・・・。(→YouTube) そして、何よりもその時代を感じさせるのが画面全体の暗さ、だったりして・・・。個々の物語といえば、この作品自体監督個人の個人的経験と関わっているそうで、その(今は亡き)監督の思いが伝わってくるように思われました。
 というわけで、これが今年に入ってのベスト、というより、今年のベスト3以内確定。(デジタルリマスター版とはいっても新作ではないので別格扱いにするかもしれませんが。)

 先週予告した東京会場での<花咲くコリア・アニメーション2017>は結局行けず。去年はドラゴンズの試合観戦も兼ねて名古屋会場に行きましたが、今年は→公式サイトを見ると名古屋会場は6月11・12日開催。ナゴヤドームの日程表を見るとドラゴンズの試合は入ってないんだよなー・・・て、それ以前にヒマとカネの問題が・・・。

 先週は「朝鮮日報」の「封切映画 ぴったり10字評」は掲載されませんでした。

         ★★★ NAVERの人気順位(4月25日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
             ※評点の後の( )は採点者数
①(-) マリアンヌとマーガレット(韓国)  9.79(34)
②(1) 謝罪  9.53(112)
③(3) 黒執事 Book of the Atlantic(日本)  9.52(273)
④(5) ミス・サイゴン:25周年記念公演 in ロンドン  9.44(210)
⑤(2) 再び、桜(韓国)  9.44(158)
⑥(6) ヒドゥン・フィギュアズ  9.38(2,432)
⑦(9) ミス・スローン  9.28(390)
⑧(10) わたしは、ダニエル・ブレイク  9.25(1,500)
⑨(-) ミミズ(韓国)  9.25(24)
⑩(-) ヒトラーの忘れもの  9.23(142)

 今回の新登場は①と⑨の2作品です。
 ①「マリアンヌとマーガレット」は韓国のドキュメンタリー。全羅南道の小鹿島(ソロクト)に朝鮮総督府が小鹿島慈恵医院というハンセン病療養所を開設したのが1916年。その後1934年に小鹿島更生園となり、1960年には国立小鹿島病院と改称されて現在に至っています。(※今のようすは→<韓国古建築散歩>参照。これはオススメの記事です。また→コチラのブログ記事も参照のこと。以下はこの作品の内容。小鹿島の家々に2005年11月1通の手紙が届きます。差出人はマリアンヌ・ステガーとマーガレット・ピサレックという2人のオーストリア出身の女性。看護学校を卒業した2人はそれぞれ1962年と1966年にハンセン救護団体であるダミアン財団を通じて派遣看護師として何の縁故もない小鹿島の地を踏みます。当時は6千人に及ぶ患者に対し医療スタッフはわずか5人で、治療薬も施設も不十分な状態でした。以後公式派遣期間が終わってもボランティアとして残り、結局43年もの間ハンセン病の患者とその子供たちを看てきました。来た当初は20代だった2人は70代を過ぎ、健康が悪化したため故国オーストリアに戻ることにしました。手紙はそれを知らせるものでした。以後10年彼女たちのことがほとんど知られていなかったのも「やるべきことをしただけで賞賛に値することではない」と言う2人の意思によるもののようです。今彼女たちの足跡が<小鹿島100周年記念作品>として振り返られます・・・。私ヌルボ、初めは韓国によくあるキリスト教団体の宣伝のようなドキュメンタリーかなと思いました。たしかに2人はカトリック信者で、そうした要素も少しはあるかもしれませんが、それを超えるような2人の実人生の重みが込められているようです。韓国題は「마리안느와 마가렛」です。
 ⑨「ミミズ」は、学校暴力、青少年性犯罪、身体障碍者差別等の今日的な問題を扱った韓国のドラマ。脳性麻痺で障害を患っているウォンスル(キム・チョンギュン)の唯一の希望である娘のチャヤ(オ・イェソル)が塾の暴力集団からいじめられ、性的暴力まで受けた末、自殺してしまいます。ウォンスルは事件の真相を明らかにするために孤軍奮闘しますが、彼の前に現れた社会の素顔に挫折してしまいます。ウォンスルは彼らに復讐しようとするのですが・・・。原題は「지렁이」です。

     【記者・評論家による順位】
             ※評点の後の( )は採点者数
①(1) わたしは、ダニエル・ブレイク  8.40(15)
②(2) ラ・ラ・ランド  8.34(14)
③(3) ヒグマの英雄バムセ:泥棒たちの町  8.00(1)
④(4) ムーンライト  7.83(6)
④(4) 夜に海岸で独り(韓国)  7.83(6)
⑥(6) マンチェスター・バイ・ザ・シー  7.75(8)
⑦(7) ジョン・ウィック チャプター2  7.67(3)
⑧(8) ありがとう、トニ・エルドマン  7,63(8)
⑨(9) 謝罪  7.33(3)
⑩(10)LOGAN/ローガン  7.29(7)

 前週に続き、新登場はありません。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績4月21日(金)~4月23日(日) ★★★

         「ワイルド・スピード ICE BREAK」以下3位まで変わらず

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・ワイルド・スピード ICE BREAK・・4/12 ・・・・・・・・682,571 ・・・・・・・・・・2,581,328 ・・・・・・・21,516・・・・・・・1,282
2(2)・・パパは娘(韓国) ・・・・・・・・・・・・・4/12・・・・・・・・・・・160,650・・・・・・・・・・・・581,646・・・・・・・・・4,287 ・・・・・・・・586
3(3)・・美女と野獣・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/16・・・・・・・・・・・104,837 ・・・・・・・・・・5,022,202 ・・・・・・・41,238 ・・・・・・・・612
4(新)・・パワーレンジャー・・・・・・・・・・・4/20・・・・・・・・・・・・50,258 ・・・・・・・・・・・・・62,014 ・・・・・・・・・・493 ・・・・・・・・478
5(4)・・プリズン(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・3/23・・・・・・・・・・・・29,380 ・・・・・・・・・・2,820,299 ・・・・・・・23,703 ・・・・・・・・349
6(新)・・ザ・シャック・・・・・・・・・・・・・・・・・4/20・・・・・・・・・・・・22,950 ・・・・・・・・・・・・・29,332 ・・・・・・・・・・229 ・・・・・・・・396
7(8)・・アバローのプリンセス エレナ・・4/13 ・・・・・・・・・・・16,357 ・・・・・・・・・・・・・35,255 ・・・・・・・・・・246 ・・・・・・・・164
8(新)・・ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー・・2014/7/31・・15,770・・・・・・・・・1,329,819・・・・・・・・11,262 ・・・・・・・・・76
9(44)・・ファウンダー・・・・・・・・・・・・・・・・4/20 ・・・・・・・・・・・14,665 ・・・・・・・・・・・・・19,866・・・・・・・・・・・161 ・・・・・・・・279
        ハンバーガー帝国のヒミツ
10(新)・・ザ・プラン(韓国)・・・・・・・・・・・・4/20 ・・・・・・・・・・・12,903 ・・・・・・・・・・・・・17,843・・・・・・・・・・・144 ・・・・・・・・156
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回も変わり映えなし。そして数字も低調。4位でもわずか5万とは・・・。
 今回の新登場は4・6・8・9・10位の5作品がです。
 4位「パワーレンジャー」はアメリカのアクション超大作。紀元前、世界の運命を左右する大きな戦いの末、5人の戦士たちによって地球は守られます。時は流れて現代。アメリカの小さな町で、普通の生活を送っていた5人の若者たちが運命に導かれるように出会い、驚異的なパワーを手にして、悩みながらも助け合いながらヒーローとして立ち向かっていきます・・・。韓国題は「파워레인져스: 더 비기닝」。日本公開は7月15日です。
 6位「ザ・シャック」は、カナダ人作家ウィリアム・P・ヤングの小説「神の小屋」(訳書あり)の映画化作品です。平凡に暮らしていた50代の男性マックでしたが、家族でキャンプに行った時に最愛の末娘ミッシーが誘拐され、数時間後に荒野の廃れた小屋(=Shack)で彼女の血に染まったドレスが発見されます。遺体が見つからないまま4年が過ぎ、絶望の淵から抜け出せないままのマックに、ある日「久しぶりですね、マック。次の週末にあの小屋にいるから会いたければ来て」という奇妙な招待状が届きます。悩んだ末に意を決して1人で行ったマックは、その小屋で「神秘な体験」をすることに・・・。韓国題は「오두막」。日本公開は今秋です。
 8位「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」は2014年公開のアメリカのアクションの再上映。韓国題は「가디언즈 오브 갤럭시」です。
 9位「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」は、マクドナルドを創業し、世界最大のファーストフードチェーンを作り上げたレイ・クロックの物語。彼が成功の足がかりをつかんだのは意外に遅く52歳の時。その誕生の時と以後どのようにして巨大企業を築き上げたのか?が描かれます。それも単なる<成功物語>だけではなく、「これまでに光が当たることのなかったダークな側面を浮き彫りにしている」とのことです。本作と同じジョン・リー・ハンコック監督の「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」と同様マイケル・キートンが主演しています。韓国題は「파운더」。日本公開は7月29日です。
 10位「ザ・プラン」は韓国のドキュメンタリー。朴槿恵が当選した2012年12月の18代大統領選挙に対する<疑惑>がテーマです。全国1万3500余ヵ所の投票箱は251ヵ所の開票所に移動され、1300余台の電子開票機にかけられて引き出されたデータをもとに委員長が公表し、メディアを通して報道されます。ところが、全国251ヵ所の開票所で同じパターンの数字が発見されるという「おかしな出来事」が確認されたとのこと。数学者等の専門家や国内外のハッカーたちが集まってこの数字の秘密を解明しようとしますが・・・。うーむ、いかにも大統領選前の、いかにも進歩系側のドキュメンタリー。これに対し中央選挙管理委員会は4月19日に「このような映画は選挙の秩序を乱し、国論を分裂させる行為」と非難。「第3の機関を通じて公開検証に応じる」と抗議を表明しています。予告編(→YouTube)を見てもよくわからず。しかしセウォル号沈没について等々、どうも韓国(とくに進歩系の間)では<陰謀説>が広まりがちな印象を受けるのですけどねー。韓国題は「더 플랜」です。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・ザ・シャック・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4/20 ・・・・・・・・・・・・22,950 ・・・・・・・・・・・29,332 ・・・・・・・・・・・・229・・・・・・・・・396
2(22)・・ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ・・4/20 ・・・14,665・・・・・・・・・・・・19,866 ・・・・・・・・・・・・161・・・・・・・・・279
3(16)・・コロッサル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4/20・・・・・・・・・・・・・6,889・・・・・・・・・・・・11,516・・・・・・・・・・・・・・91・・・・・・・・・293
4(新)・・別の世界・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4/20・・・・・・・・・・・・・6,608・・・・・・・・・・・・・9,212・・・・・・・・・・・・・・73・・・・・・・・・120
5(新)・・マリアンヌとマーガレット・・・・・・・・4/20 ・・・・・・・・・・・・・5,064・・・・・・・・・・・・・7,919・・・・・・・・・・・・・・60・・・・・・・・・・57

 今回は5作品すべてが新登場ですが、1位「ザ・シャック」、2位「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」、5位「マリアンヌとマーガレット」については上述しました。
 3位「コロッサル」(仮)はソウルを舞台にしたアメリカの怪獣映画。ニューヨークに住んでいたグロリア(アン・ハサウェイ)は仕事とボーイフレンドをすべて失って故郷に帰り、無気力な生活をしています。ある日怪獣が韓国で暴れているというニュースを見て友人に電話した彼女は奇妙なことに気づきます。それはその巨大怪獣と自分が接続されている(!)ということ。自分が手を上げると怪獣も手を上げ、自分が踊ると怪獣も・・・。より大きな災害を防ごうと彼女はソウルに向かいます・・・。→コチラの記事によると、この映画はは「もともとは東京が舞台になる予定だった」が、(ゴジラ関連で)「東宝に提訴され」たりもしたが「両者は和解」。しかし「その後舞台がソウルに変更された」とのことです。韓国題は「콜로설」。日本公開は未定のようです。
 4位「別の世界」(仮)は2015年のギリシャのオムニバス映画。言語と文化的環境が全く異なるカップルが偶然経済危機のギリシャで出会い、恋に落ちる3つの物語で構成されています。[第1話] 女子大生ダフネは夜道を歩いていて暴漢に襲われますが通りすがりの青年パリスが救ってくれました。その後2人は偶然バスの中で再会します。シリアから来たパリスとギリシャ人のダフネ。異なる国・言語の中で生きてきた2人は深い愛に陥ります。厳しい現実に直面しながらも、打ち勝つ勇気を持つ20代カップルです。[第2話] スウェーデンから来たエリーゼは破産の危機に直面しているギリシャの会社の売却のため派遣された女性。偶然バーで会ったジオルゴという男性と恋に落ちますが、その彼が自分が売却を進めている会社の従業員であることを知ることに・・・。皮肉な岐路に立たされた40代のカップルの物語。[第3話] ドイツから移住してきたセバスチャンと平凡な主婦として生きていたマリアはスーパーの前で知り合い、やがてデートを始めます。言語は通じませんが徐々にお互いに愛情を感じ、人生の第2のチャンスを夢見ます。そんな60代のカップルの物語。韓国題は「나의 사랑, 그리스」。日本公開は未定のようです。


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