ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画の興行成績 [2月25日(金)~2月27日(日)]と作品紹介 ▶あの「牛の鈴音」のイ・チュンニョル監督の新作「蝉の声」は珍島が舞台 ▶「人民に奉仕する」は閻連科の原作に注目!

2022-03-03 23:50:54 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▶今回の記事で注目の韓国映画は「蝉の声」です。2009年韓国で異例の大ヒットが話題となったドキュメンタリー「牛の鈴音」イ・チュンニョル監督の13年ぶりの新作で、2019年に全羅南道の珍島100%のオールロケで撮影された家族ドラマです。
 珍島といえば、天童よしみの「珍島物語」の歌詞にもある<海割れ>(→コチラ)で知られていますね。また林権澤監督の名作「風の丘を越えて/西便制」の名場面(→コチラ)で歌われていたアリランは<珍島アリラン>でした。(ロケ地は青山島(チョンサンド)ですが・・・。)
 本作では、珍島伝統の葬礼の風習で国家無形文化祭に指定されている<タシラギ(다시래기)>が大きく取り扱われています。これについては私ヌルボ、全然知りませんでした。出棺の日の前夜喪家で行われる棺の輿の担ぎ手[상여꾼]たちによる打楽器演奏と踊り、そして広大[クァンデ]=道化師により演じられると民俗劇だそうです。喪主の慰労と故人の現世への早い帰還を願うもので、→コチラの動画からもわかるように、にぎやかで滑稽で雰囲気で見物の人たちも楽しそうです。※詳しい説明動画は→コチラ。)
 なお、→コチラの記事によると韓国の劇団が来日して札幌での舞台公演の中でこのタシラギが演じられたのですね。
 本作のタイトルの意味やあらすじ等は記事の一番下を見て下さい。
 ※「愛の不時着」のOST「私の心の写真」(→コチラ)の歌手ソン・ガインが特別出演しているとのことです。
    
【 「蝉の声」のポスター(左)と、<タシラギ>で演じられる民俗劇 】

▶韓国映画でもうひとつ追加。「人民に奉仕する」なのですが、この映画というよりも、閻連科[えん・れんか]の小説ということで注目。詳しくは下の説明を読んでください。

     ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績2月25日(金)~2月27日(日) ★★★
             1位「アンチャーテッド」、2位「劇場版 呪術廻戦 0」は変わらず

【全体】
順位・・・・題名 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(1)・・アンチャーテッド・・・・・・・・・・2/16 ・・・・126,043・・・・・・・・587,961・・・・・・・5,750・・・・1,241
2(2)・・劇場版 呪術廻戦 0(日本) ・・・2/17・・・・・・60,311・・・・・・・・291,511・・・・・・・2,918・・・・・・778
3(新)・・アンテベラム ・・・・・・・・・・・・・2/23・・・・・・32,136・・・・・・・・・56,033・・・・・・・・・529・・・・・・638
4(新)・・人民に奉仕する(韓国) ・・・・・2/23・・・・・・26,122・・・・・・・・・48,484・・・・・・・・・446・・・・・・598
5(4)・・海賊:鬼の旗(韓国) ・・・・・・・・1/26・・・・・・19,512・・・・・・1,314,814 ・・・・・12,373・・・・・・436
6(新)・・ナイトメア・アリー ・・・・・・・・2/23・・・・・・13,713・・・・・・・・・22,486・・・・・・・・・219・・・・・・461
7(4)・・ナイル殺人事件・・・・・・・・・・・・・2/09 ・・・・・・8,422・・・・・・・・224,620・・・・・・・2,174・・・・・・354
8(5)・・キングメーカー(韓国)・・・・・・・1/26 ・・・・・・8,163 ・・・・・・・・767,889 ・・・・・・7,292・・・・・・355
9(6)・・スパイダーマン・・・・・・・・・・・・12/15 ・・・・・・8,053・・・・・・7,528,256 ・・・・・74,986・・・・・・272
       :ノー・ウェイ・ホーム
10(38)・・シラノ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/23 ・・・・・・6,044・・・・・・・・・15,891・・・・・・・・・136・・・・・・195
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 3・4・6・10位の4作品が新登場です。
 3位「アンテベラム」はアメリカのスリラー。日本では昨年11月から公開されているので説明は省略します。韓国題は「안테벨룸」です。
 4位「人民に奉仕する」は韓国のロマンス&ドラマ。ムグァン(ヨン・ウジン)は模範兵士として師団長私宅の炊事兵になります。彼の目標はただ妻と子供のために出世の道を進むこと。しかし、師団長が出張する間に始まった師団長の若い妻スリョン(ジアン)の危険な誘惑に、ムグァンは自身の目標や信念、そして溺れてみたい禁じられた恋との狭間で葛藤するのですが・・・。原題は「인민을 위해 복무하라」で、最初はそのまま「人民のために服務せよ」と訳したのですが、その後本作の原作が有力なノーベル文学賞候補と目されている中国の作家、閻連科[えん・れんか]の小説ということを知りました。私ヌルボ、彼の小説はこれまで4冊読みましたがどれもスゴい!です。とくに(立ち読みでもすぐ読める)「年月日」はオススメ! そういえば2019年6月に神保町のチェッコリのイベントでその翻訳者の谷川毅先生のトークを聴きに行ったことがあったなー・・・。しかしこの「人民に奉仕する」(←これも谷川先生の訳)は未読です。この小説は、一国最高指導者が伝えた革命の言語を愛の言語に対比させたという理由で出版後直ちに禁書に指定されましたが、むしろそれが読者たちの熱烈な支持を得て全世界20ヵ国以上で出版され、爆発的な反応を引き起こしたとのことです。・・・となると、この映画のあらすじだけ読んで浮気ネタの軽~い成人映画かな?と思ったら大間違いかも・・・。とりあえず翻訳書よんでみますかねー。
 6位「ナイトメア・アリー」はアメリカのサイコ・スリラー。日本公開は3月25日で、すでに諸情報が流されているので説明は省略します。韓国題は「나이트메어 앨리」。す。
 10位「シラノ」は日本でも2日遅れで2月25日から公開されているので説明は省略します。韓国題は「시라노」です。

【独立・芸術映画】
順位 ・・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(新)・・アンテベラム ・・・・・・・・・・・・・・・・2/23・・・・・・・・32,136 ・・・・・・・56,033・・・・・・・・・・529・・・・・・638
2(14)・・ピッグ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/23・・・・・・・・・3,377・・・・・・・・・6,971・・・・・・・・・・・64・・・・・・113
3(再)・・花様年華・・・・・・・・・・・・・・2000/10/20・・・・・・・・・2,859 ・・・・・・117,770・・・・・・・・1,049・・・・・・・86
4(新)・・幸せの答え合わせ・・・・・・・・・・・・・2/24・・・・・・・・・2,284・・・・・・・・・2,869 ・・・・・・・・・・・27・・・・・・・38
5(新)・・蝉の声(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・2/24・・・・・・・・・2,039 ・・・・・・・・3,645 ・・・・・・・・・・・35・・・・・・・70

 1・2・4・5位の4作品が新登場です。
 1位「アンテベラム」については上述しました。
 2位「ピッグ」については→1つ前の記事で詳述しました。
 4位「幸せの答え合わせ」は、日本では昨年6月から公開されているので説明は省略します。原題は「Hope Gap」で、韓国題は「우리가 사랑이라고 믿는 것(私たちが愛だと信じるもの)」。三者三様です。
 5位「蝉の声」は韓国のドラマ。冒頭に記したように「牛の鈴音」のイ・チュンニョル監督の13年ぶりの新作で、<第25回釜山国際映画祭>(2020)の<韓国映画の今日 パノラマ部門>招待作品です。
 年配の男トッペ(イ・ヤンヒ)はこれまでの人生をずっと珍島で過ごし、人が亡くなったらその家を訪ねて故人の極楽往生を祈り遺族を慰める<タシラギ>の道化師[クァンデ]を演じてきました。そんな彼の家に突然20年前に家出した娘スナム(チュ・ボビ)が孫娘のコッタナ(ソ・ヨヌ)を連れてやって来ます。スナムは幼い頃蝉の声によるトラウマで自殺中毒者になっていました。その背景にはひたすら師匠の道を引き継いで道化師役の人間文化財になるという父親によって深い傷を負わされたということがありました。そして20年間無名歌手として生きてきたスナムとトッペの絡み合った関係の中で、家族の不快な同居が始まります。その後水と油のようだったトッペとコッタナはタシラギを通じて次第に近づくようになり、トッペはそんなコッタナを通じてスナムのトラウマのことを知ります。それはトッペとスナムが長い間の葛藤を解消させていく重要な糸口にもなるものでした・・・。原題は「매미소리」です。

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