10月25日の記事で、韓国人は韓国の地図というと朝鮮半島全体をなんとなくイメージしているようだ、ということを書きました。
ところが、この「北韓食客」という本を読んで、私ヌルボも韓国の食文化について常識とされていることの主要な事項が、南北朝鮮全体についてのことではなく、南半の韓国に限られるものだということを知りました。
とくに私ヌルボが驚いたのは次のような「常識」について。
[A] 韓国では、焼肉等をサンチュに包んで食べる。
[B] 韓国の多くの人たちはテンジャンチゲを代表的な韓国料理に挙げている。
いかがですか? こういう記述を読んだ日本人は、韓国に詳しい人・よく知らない人を問わず、これは「韓国だけでなく北朝鮮も含めた伝統的な朝鮮半島の食文化」と受けとめるのではないでしょうか? 私ヌルボもその1人でした。
ところが「北韓食客」には次のようなことが書かれています。
[A]について。
北韓では肉をサンチュ(상추)に包んで食べる食べ方を知らない。また北韓でプル(부루)とよんでいた野菜を南韓ではサンチュと言っていることを来た当初はわからない。(韓国の人にプルと言ってももちろんわからない。)
[B]については、こんなエピソードを紹介しています。
北朝鮮の日本海側の都市咸興から来た49歳の脱北者女性がイ・エランさんの口利きでお手伝いさんとして働くことになった。その家のおばあさんも元はといえば北朝鮮の平安道(黄海側)出身。最初は双方とも喜んでいたのだが、2ヵ月ほど経ってそのお手伝いさんから涙ながらの電話がかかってきた。韓国での掃除や洗濯の仕方に慣れていないことも苦労のタネだったが、とりわけ大変なのが食習慣の違い。「好みに合わない」とおばあさんが箸を(あ、スプーンか)つけないことも。決定的だったのが<テンジャンチゲ事件>。おばあさんが「テンジャンチゲ(된장찌개)を作って」と言ったのに対し、その女性が作って出したのはテンジャンジジゲ(된장지지개)だったというのだ。
[B]について、イ・エランさんはさらに詳しく説明しています。
驚くでしょうが、北韓には南韓の人が伝統料理の代名詞と思っているテンジャンチゲというものはありません。かわりに南韓にはないテンジャンジジゲがあります。 テンジャンチゲはテンジャンククとテンジャンジジゲの間にある料理だといえば理解が行くでしょうか?
私ヌルボ、今ひとつ理解が行きませんが、どうも北朝鮮のテンジャンジジゲは韓国のテンジャンチゲよりも汁がずっと少ない料理のようです。
[A]といい[B]といい、ヌルボ(のような日本人)がなんとなく南北朝鮮共通と思っていた食文化の基本事項が実は韓国限定のものだったのですね!
また上記の<テンジャンチゲ事件>については北朝鮮内での地方による料理法や味の好みの違いも原因しているようで、とくにこの2人の出身地の平安道と咸鏡道はかなりの隔たりがあるようです。(咸鏡道は辛くて濃い味付け、平安道はその反対。)
[A]のサンチュ(南)とプル(北)以外にも、「北韓食客」には南北の食文化に関する用語の違いがたくさん紹介されています。
平安道で「찌개(チゲ)」と言えばご飯と一緒に食べる副食、つまり「おかず」のこと。咸鏡道では「반찬(パンチャン)」。あ、これは韓国と同じですね。
平安道では、その「반찬(パンチャン)」は「생선(センソン)」つまり「魚」のこと。したがって「반찬がない」と言えばそれは「생선찌개(魚のおかず)がない」という意味。うーむ、ややこしいな。
以下、その他の例を列挙します。
・ピンデトク(緑豆チヂミ)=[南]빈대떡(ピンデトク) [北]녹두지짐(ノクトゥチヂム)
・すいとん=[南]수제비(スジェビ) [北]뜨더국(トゥドグク)
・韓国風うどん(?)=[南]칼국수(カルククス) [北]제비국(チェビグク)
・鯛焼き=[南]붕어빵(プンオパン) [北]틀빵(トゥルパン)
※붕어(プンオ)はフナのこと。틀(トゥル)はフレーム(型)かな?
・犬肉=[南]개고기(ケゴギ) [北]단고기(タンゴギ)
・犬鍋=[南]보신탕(ポシンタン.補身湯)・영양탕(ヨンヤンタン.栄養湯)・사철탕(サチョルタン) [北]단고기국(タンゴギグク)
・弁当=[南]도시락(トシラク) [北]도중식사(トジュンシクサ.途中食事)
※以前は日本語の벤또(ベント)だったが、固有語に改められた。ベントもまだ通じるかも。
・イワシの煮付け=[南]멸치조림(ミョルチチョリム) [北]까나리조림(カナリチョリム)
※韓国では까나리は小女子。これは料理の違いというより魚の呼称の違いですね。
それにしても、韓国と北朝鮮の違いが社会の仕組みだけではなく生活全般にわたってここまで広がっているとは・・・。
ところが、この「北韓食客」という本を読んで、私ヌルボも韓国の食文化について常識とされていることの主要な事項が、南北朝鮮全体についてのことではなく、南半の韓国に限られるものだということを知りました。
とくに私ヌルボが驚いたのは次のような「常識」について。
[A] 韓国では、焼肉等をサンチュに包んで食べる。
[B] 韓国の多くの人たちはテンジャンチゲを代表的な韓国料理に挙げている。
いかがですか? こういう記述を読んだ日本人は、韓国に詳しい人・よく知らない人を問わず、これは「韓国だけでなく北朝鮮も含めた伝統的な朝鮮半島の食文化」と受けとめるのではないでしょうか? 私ヌルボもその1人でした。
ところが「北韓食客」には次のようなことが書かれています。
[A]について。
北韓では肉をサンチュ(상추)に包んで食べる食べ方を知らない。また北韓でプル(부루)とよんでいた野菜を南韓ではサンチュと言っていることを来た当初はわからない。(韓国の人にプルと言ってももちろんわからない。)
[B]については、こんなエピソードを紹介しています。
北朝鮮の日本海側の都市咸興から来た49歳の脱北者女性がイ・エランさんの口利きでお手伝いさんとして働くことになった。その家のおばあさんも元はといえば北朝鮮の平安道(黄海側)出身。最初は双方とも喜んでいたのだが、2ヵ月ほど経ってそのお手伝いさんから涙ながらの電話がかかってきた。韓国での掃除や洗濯の仕方に慣れていないことも苦労のタネだったが、とりわけ大変なのが食習慣の違い。「好みに合わない」とおばあさんが箸を(あ、スプーンか)つけないことも。決定的だったのが<テンジャンチゲ事件>。おばあさんが「テンジャンチゲ(된장찌개)を作って」と言ったのに対し、その女性が作って出したのはテンジャンジジゲ(된장지지개)だったというのだ。
[B]について、イ・エランさんはさらに詳しく説明しています。
驚くでしょうが、北韓には南韓の人が伝統料理の代名詞と思っているテンジャンチゲというものはありません。かわりに南韓にはないテンジャンジジゲがあります。 テンジャンチゲはテンジャンククとテンジャンジジゲの間にある料理だといえば理解が行くでしょうか?
私ヌルボ、今ひとつ理解が行きませんが、どうも北朝鮮のテンジャンジジゲは韓国のテンジャンチゲよりも汁がずっと少ない料理のようです。
[A]といい[B]といい、ヌルボ(のような日本人)がなんとなく南北朝鮮共通と思っていた食文化の基本事項が実は韓国限定のものだったのですね!
また上記の<テンジャンチゲ事件>については北朝鮮内での地方による料理法や味の好みの違いも原因しているようで、とくにこの2人の出身地の平安道と咸鏡道はかなりの隔たりがあるようです。(咸鏡道は辛くて濃い味付け、平安道はその反対。)
[A]のサンチュ(南)とプル(北)以外にも、「北韓食客」には南北の食文化に関する用語の違いがたくさん紹介されています。
平安道で「찌개(チゲ)」と言えばご飯と一緒に食べる副食、つまり「おかず」のこと。咸鏡道では「반찬(パンチャン)」。あ、これは韓国と同じですね。
平安道では、その「반찬(パンチャン)」は「생선(センソン)」つまり「魚」のこと。したがって「반찬がない」と言えばそれは「생선찌개(魚のおかず)がない」という意味。うーむ、ややこしいな。
以下、その他の例を列挙します。
・ピンデトク(緑豆チヂミ)=[南]빈대떡(ピンデトク) [北]녹두지짐(ノクトゥチヂム)
・すいとん=[南]수제비(スジェビ) [北]뜨더국(トゥドグク)
・韓国風うどん(?)=[南]칼국수(カルククス) [北]제비국(チェビグク)
・鯛焼き=[南]붕어빵(プンオパン) [北]틀빵(トゥルパン)
※붕어(プンオ)はフナのこと。틀(トゥル)はフレーム(型)かな?
・犬肉=[南]개고기(ケゴギ) [北]단고기(タンゴギ)
・犬鍋=[南]보신탕(ポシンタン.補身湯)・영양탕(ヨンヤンタン.栄養湯)・사철탕(サチョルタン) [北]단고기국(タンゴギグク)
・弁当=[南]도시락(トシラク) [北]도중식사(トジュンシクサ.途中食事)
※以前は日本語の벤또(ベント)だったが、固有語に改められた。ベントもまだ通じるかも。
・イワシの煮付け=[南]멸치조림(ミョルチチョリム) [北]까나리조림(カナリチョリム)
※韓国では까나리は小女子。これは料理の違いというより魚の呼称の違いですね。
それにしても、韓国と北朝鮮の違いが社会の仕組みだけではなく生活全般にわたってここまで広がっているとは・・・。
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