愛する犬と暮らす

この子たちに出逢えてよかった。

老いの身でルイを遊んでやろうとしたシェラの健気さ

2011-11-07 23:55:33 | シェラとルイの日々
☆ルイを痛い目にあわせてやれ! 

 パピィのルイを連れてきた当初、シェラの反応を見て、ぼくは、「やっぱりもう駄目か」と暗い気持ちになった。本来、わんこ嫌いのシェラではあったが、ルイへの嫌悪ぶりは想像以上だった。
 
 ルイが喜んで跳びつき、首やら耳のあたりを噛むのだから嫌がるのは当然だった。ルイは遊びのつもりでも、身体の自由がきかなくなっているシェラにしてみれば、単に鬱陶しいだけではなく、やっぱり嫌悪以外の何ものでもなかった。
 だが、シェラが唸ろうと、吠えようと、牙を見せて脅そうと、ルイにはまったく通用しなかった。それもまたうれしくて仕方ないらしい。
 「シェラ、かまわないから、お仕置きに少々痛い目にあわせてやれ」
 ぼくはけしかけたが、シェラが実力行使に出ることはなかった。


ルイをもう仲間として認めてくれたらしいシェラ

 コメントをいただいたジュリーさんのお宅同様、せめてシェラがルイを家に置くことに同意さえしてくれればそれ以上は望まないとの思ったものだった。むぎのときのように、ルイの母親になってくれなくてもいいから仲間として認めてくれればそれだけでじゅうぶんだった。
 
 シェラが本気でルイを攻撃しない様子を見てきっとそのレベルなら可能だろうと期待した。シェラの心のやさしさが頼りだった。
 弱虫わんこゆえに、自分が怖いから吠えて威嚇はするが、決して相手を噛んだりできない子だった。ルイのパピィの無邪気さが消え、落ち着いてきてくれれば、両者の関係もまた落ち着くのではないだろうか。
 
 ただ、そんなすぐには無理だろうから、足早に衰えていくシェラの身体を思うと、とんでもない負担をしてしまったようだといまさらながらに後悔もした。せめてぼくたちにできることは、ルイを不必要にシェラへ近づけないでおくことくらいしか思い浮かばなかった。

☆遊んでやろうとするシェラに感動 


シェラの尻尾を枕に幸せなルイ



むぎもまたクルマの中ではこうやってくつろいでいた

 昨日は、家人の仕事の関係で、小雨が降りそうな空の下、シェラとルイをクルマに乗せて自然の残る野津田公園へ出かけた。クルマへ乗せるときにシェラにじゃれつかないようにルイを入れておく簡易型のクレートを忘れた。取りに戻るのが面倒なのでルイのリードを短くしてリアシートに二匹を乗せた。
 
 しばらく走って振り向いたとき、ぼくはわが目を疑った。そこにはかつてのむぎを髣髴とさせるルイの姿があったからである。自分の尻尾を枕にさせているシェラをぼくは褒めちぎりながら運転を続けた。
 ただ、むぎはシェラの尻尾におとなしくかじりついていたが、ルイは尻尾をかじったり、潜り込んだり、なかなかじっとはしていなかった。それでもシェラは耐えてやりたい放題をやらせてやっていた。
 
 これをもって、再びルイの母親役を引き受けてくれたなどと早合点はしていない。それでも、ルイを仲間として受け容れてくれたのはたしかだろう。
 兆候は数日前から朝の散歩で感じていた。ルイが跳びついてもじっと耐えて怒らずにいるようになったのである。むろん、跳びつかせないようにして歩いてはいたが、それでも何かのはずみに並ぶと、いまだにルイは跳びつきたがる。
 そんなルイの気持ちを理解したかのようなシェラの寛容ぶりだった。


ルイのスピードにもはやついていかれないシェラは……

 公園の広場でルイがシェラに跳びついたとき、むぎとときどきやっていたように、ルイの相手をするしぐさをシェラが見せたではないか。(人間でいえば)上半身を前傾させ、ルイの攻撃を受ける姿勢をとった。ハッとするほど感動的な瞬間だった。
 しかし、もう昔のように自在に動けないシェラはルイのスピードに圧倒され、引っくり返されてしまった。どこも痛めなかったのがせめてもの救いだった。

 健気なシェラ……。ぼくはルイを引き離し、シェラを抱き締めて、いたわりの言葉を口にしながら何度も撫で続けた。
 もう、これでじゅうぶんだった。すでにルイはシェラの心の負担にはなっていない。それがわかったのが週末の大きな収穫だった。


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