Dr.K の日記

日々の出来事を中心に、時々、好きな古伊万里について語ります。

染付 竹・燕文 中皿

2022年07月12日 19時23分33秒 | 古伊万里

 前回、今では止めてしまった拙ホームページの「古伊万里への誘い」では既に紹介していながら、このブログでは紹介していない伊万里がまだ5点ほど残っていることを記したところです。

 そして、どうして紹介していないかと言いますと、それは、どうも、それらが本歌の古伊万里ではなく、最近作られた「古伊万里写し」なのではないのかな~との疑念が湧いたためであることも記したところです。

 でも、そうした疑念のある物も、そのまま、疑念のある物として紹介することにも、少しは意義があるのかなと考え直し、紹介することにしたことも記したところです。

 それで、前回は、先ずは、その内の2点を紹介したところですが、今回は、その残りの3点の内の1点を紹介いたします。

 なお、前回、「伊万里 染付 鶉文 中皿」を紹介してすぐ、「故玩館」館主の遅生さんが、その「伊万里 染付 鶉文 中皿」とそっくりのものが今ヤフオクで売られているとの情報を寄せてくれまし(^_^) ネットの世界はありがたいですね(^-^*) 遅生さん、貴重な情報をありがとうございました(^-^*)

 そこで、その「伊万里 染付 鶉文 中皿」がヤフオクで幾らで落札されるのかを注視していたわけですが、1,000円スタートで始まり、5,850円での落札となりました。

 なんか、中途半端な値段ですね(~_~;)

 以前は、古伊万里の人気が高かった時は、5~6万円だったように思います。今では、古伊万里の人気が低くなり、古伊万里の値段も全般的に下がっているとはいえ、古伊万里全盛時代の1/10の値段ですものね(~_~;) 私が買ったのは12年前ですが、それでも、5~6万円はしませんでしたけれども、一応、5桁ではありました。

 このことは、何を意味するのでしょうか? 私が買った12年前よりも古伊万里の人気が更に落ちてきていることを示しているのでしょうか? それとも、やはり、この中皿は現代作ということを表わしているのでしょうか?

 ところで、その「伊万里 染付 鶉文 中皿」を出品していた業者さんは、同時に、これから紹介いたします「染付 竹・燕文 中皿」も出品していたのです。

 ところが、その「染付 竹・燕文 中皿」につきましては、終了直前に、ヤフオクの画面から消えてしまっていました(><) その「染付 竹・燕文 中皿」は1,500円スタートで数千円までの入札があったようですが、結局は、終了直前に、ヤフオクの画面から消えてしまいましたので、結果は分りません(><)

 そんなことで、これから紹介いたします「染付 竹・燕文 中皿」も、私は、「伊万里 染付 鶉文 中皿」を買った時と同じ頃に「伊万里 染付 鶉文 中皿」と同じような値段で買っているわけですが、いまだに、真贋についての自信がありません。

 古伊万里の真贋の判断というものには難しいものがありますね。疑い出すととめどなくグレーになります(~_~;)

 でも、まっ、「迷品に名品なし」と言われますから、これが、仮に真品であったにしても、たいしたものではないことは確かです。参考品というところでしょうか。

 そのようなことで、この「染付 竹・燕文 中皿」につきましても、生産地、製作年代は不明として紹介いたします。

 

 

染付 竹・燕文 中皿

 

表面

 

 

燕の頭部の拡大

 

 燕の目の部分を見ますと、目を開けているのか瞑っているのか、はっきりしませんね。古伊万里の場合、江戸時代初期頃に作られたものは、目がはっきり描かれている場合が多く、鳥には表情がみられる場合が多いようです。従いまして、これは、少なくとも、江戸時代初期頃に作られたものではないと思われるわけです。

 

 

裏面

 

 

裏面の拡大

裏面文様は、輪郭線を描かず、付立て風の一筆描きです。

 

生 産 地 : 不明

製作年代: 不明

サ イ ズ : 口径;22.3cm  底径;13.3cm

 

 

 なお、この「染付 竹・燕文 中皿」につきましても、先述しましたように、今では止めてしまっている拙ホームページの「古伊万里への誘い」の中では紹介したところです。

 次に、その時の紹介文を参考までに掲載いたしますが、その紹介文の中では、この「染付 竹・燕文 中皿」につきましては、江戸時代後期に作られた古伊万里として扱っていますことを御承知ください。

 

 

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<古伊万里への誘い>

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*古伊万里ギャラリー210 伊万里染付竹・燕文中皿  (平成27年11月1日登載)


 
表面
 

 

裏面

 

 

 特に特色もない平凡な皿である。

 「竹」に「燕」の組み合わせは、「古伊万里バカ日誌139」で書いたように、「竹取物語」に由来するのだろうか、、、?

 江戸も後期になってくると、この皿や、前に紹介した(:このブログでは、次回に紹介)「古伊万里ギャラリー206 伊万里 染付 二股大根にネズミ文 中皿」のように、何かの物語のようなものからヒントを得た図柄の皿がよく登場してくるようである。

 ただ、鳥の描き方をみると、江戸初期の頃は、鳥に表情が見られるが、この皿にはそれが見られない。
 目など、ただ黒く塗り潰しただけである。

 そのようなところから、私は、江戸後期のものよりも江戸初期の頃のものに惹かれるのである。

 

江戸時代後期      口径:22.3cm  高台径:13.3cm

 

 

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*古伊万里バカ日誌139 古伊万里との対話(竹燕文の中皿) (平成27年11月1日登載)(平成27年10月筆)    

 

登場人物
  主 人 (田舎の平凡なサラリーマン)
  ツバメ (伊万里染付竹・燕文中皿)

 

 

・・・・・プロローグ・・・・・

 押入れの中をガサゴソと探していたら、「竹に燕」を描いた古伊万里の皿が主人の目に留まったようである。
 主人は、「そういえば、近くの池に白鳥が来るような時季になったが、逆に、ツバメはいなくなったな~。ツバメは、越冬のため、秋風とともに生まれ故郷を離れ、南に旅立つというから、今は、もういないんだな~」と、しみじみとそのことをかみしめたようである。
 もう、現実には身近な所にツバメはいなくなってしまったので、主人は、せめて、皿の中のツバメと対話をしたくなったようで、くだんの皿を押入れから引っ張り出してきて対話を始めた。 

 

 


 

 

主人: お前たちツバメは、秋風とともに南の国に旅立って行ってしまったんだね。今では、お前たちの仲間は、無事、南の国に着いているんだろうね。
 我が家の近くの池には、もう、白鳥が北の国から越冬のために何羽かがやってきているよ。
 白鳥の行動とお前たちツバメの行動とではずいぶんと違っているね。白鳥は北の国で生まれ、越冬のためにこちらに来るが、お前たちツバメはここで生まれて、越冬のために南の国に行ってしまうんだものね。ちょっと寂しくなるな~。まっ、その寂しさを白鳥が埋め合わせてくれることになるのかな~。

ツバメ: 私達が去った寂しさを白鳥さん達が埋め合わせてくれるんですね。

主人: そうだね。自然はうまい具合に出来てるんだね~。

ツバメ: ところで、私には「竹」と「燕」が組み合わされて描かれていますが、その組み合わせには何か意味があるんでしょうか。 

主人: そうね。「竹」に「雀」の組み合わせならピンとくるんだが、「竹」に「燕」の組み合わせとなるとピンとこないね~。

ツバメ: 「竹」に「雀」の組み合わせにはどんな意味があるんですか。

主人: 「舌切り雀」という「昔話」というか「おとぎ話」を知ってるだろう。
 ジイさんが一羽の雀を可愛がっていたが、ある日、ジイさまが留守の間に、バアさんが障子貼り用に作った糊を食べてしまったので、怒ったバアさんはその雀の舌をハサミでチョン切って空に投げ捨ててしまった。家に帰ってきて、その話をバアさんから聞いたジイさんは、雀が可愛そうになり、野を越え山を越えて捜しまわり、やっと大きな竹やぶの中の「雀のお宿」の中でその雀と再開した。そして、ジイさんは多くの雀たちに歓待され、帰りには金・銀・財宝の入ったツズラをお土産にもらい、背負って帰ってきたという内容の話だ。

ツバメ: あぁ、思い出しました。そんな「昔話」がありましたね。
 それで、「竹」に「雀」の組み合わせというと、「舌切り雀」という「昔話」の中に出てくる「雀のお宿」から題材をとったということがわかるんですね。

主人: そうだね。「竹林に雀」というと「雀のお宿」を思い出すし、「雀のお宿」というと「竹林に雀」を連想するんだよ。今でも、「雀のお宿」は旅館の名称として使用されたり、居酒屋の名称として使用されたりしていて、かなり我々にとって身近な存在だものね。街を歩いていると、「雀のお宿○○」という看板や、「居酒屋雀のお宿」というノレンを見かけるものね。

ツバメ: 「竹林に雀」の意味はわかりました。それでは「竹」に「燕」の意味は何なのですか?

主人: まっ、はっきりしたことはわからないが、私は、こんなことではないかと思ってるんだ。私の独断と偏見ではあるがね。

ツバメ: どんなことですか。

主人: 日本最古の物語と伝えられる「竹取物語」というのを知っているよね。「竹取物語」は「かぐや姫の物語」とも呼ばれるようだけれども・・・・・。

ツバメ: はい、概略は知っています。でも、「竹取物語」といえば、「竹」が登場することはわかりますが、なぜそこに「燕」が登場するんですか?

主人: 「竹取物語」の概略は知ってるようだけれど、再度、概略を復習してみると、

 

「竹取の翁によって光輝く竹の中から見出され、その翁夫妻に育てられたかぐや姫を巡る物語。
 美しく成長したかぐや姫は5人の貴公子から求婚されるが、これを退け、また、帝からのお召しにも応じず、8月の満月の夜に「月の都」に帰ってゆく。」

 

という話しだったよね。

ツバメ: そうですよね。でも、そこには「燕」は登場してきませんよね。

主人: 確かに、「あらすじ」には登場してこないようだけれども、もう少し掘り下げてゆくと「燕」が登場してくるんだよ。
 かぐや姫は5人の貴公子から求婚されるわけだが、かぐや姫はその5人に結婚を承諾する条件を出すわけだけれど、その条件の中に出てくるんだよ。
 一人目の貴公子に対しては、「仏の御石の鉢」を持って来れば結婚してあげるというものだった。「仏の御石の鉢」は、実在するとすれば天竺まで行かなければならず、当時海外へ行くのは命がけだった。
 二人目の貴公子に対しては、蓬莱の宝(根が銀・茎が金・実が真珠の木の枝)を持って来れば結婚に同意するというものだった。
 三人目の貴公子に対しては、焼いても燃えない布を持って来れば結婚に同意するというものだった。
 四人目の貴公子に対しては、龍の首の珠を持ってくるようにとの条件だった。
 五人目の貴公子に対しては、燕の生んだ子安貝を持ってくるようにとのことだった。
 そのどれもが、話にしか聞いたことのない珍しい宝物ばかりで、手に入れるのは困難だったわけで、結局は、結婚を断る口実だったんだろうね。
 そうそう、ちょっと脱線したが、5人目の貴公子に対して出した条件の中に「燕」が登場してくるよね。

ツバメ: なるほど。「燕」が登場してきますね。それで、「竹」と「燕」の組み合わせになりますね。

主人: そうだろう。だから、私は、「竹」と「燕」の組み合わせは「竹取物語(かぐや姫の物語)」から題材をとったのではないかと思ってるんだよ。
 その推論が正しいとすれば、「竹と燕」の組み合わせの他に、「竹と仏の御石の鉢」、「竹と蓬莱の宝」、「竹と焼いても燃えない布」、「竹と龍の首の珠」の組み合わせの皿もあって、絵替わりの5枚セットで作られたのではないかと思ってるんだ。

ツバメ: いろいろと妄想・迷想を巡らせるのも楽しいですね(笑)。
 あとの4枚も頑張って集めてください(爆)。

 

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