今では止めてしまった拙ホームページの「古伊万里への誘い」では既に紹介していながら、このブログでは紹介していない伊万里がまだ5点ほど残っていることを記し、これまでにそのうちの3点までを紹介したところです。
今回は、その残りのうちの1点、つまり、全5点のうちの4点目を紹介いたします。
なお、今では止めてしまった拙ホームページの「古伊万里への誘い」では既に紹介しているのに、どうしてこのブログでは紹介していなかったのかと言いますと、それは、どうも、それらが本歌の古伊万里ではなく、最近作られた「古伊万里写し」なのではないのかな~との疑念が湧いたためであったことも記したところです(~_~;)
しかし、そうした疑念のある物も、そのまま、疑念のある物として紹介することにも、少しは意義があるのかなと考え直し、それらを、順次、紹介することにしたことも記したところです。
そのようなわけで、さっそく、次に、その4点目の「染付 二股大根にネズミ文 中皿」を紹介いたします。
染付 二股大根にネズミ文 中皿
表面
ネズミ文部分の拡大
側面
裏面
裏側面の繋ぎ唐草文部分の拡大
生 産 地 : 不明
製作年代: 不明
サ イ ズ : 口径:22.6cm 高台径:13.6cm
ところで、前述しましたのように、この「染付 二股大根にネズミ文 中皿」につきましては、今では止めてしまった拙ホームページの「古伊万里への誘い」で既に紹介しているわけですが、その時の紹介文を、次に、参考までに再度掲載いたします。
なお、その紹介文中では、この「染付 二股大根にネズミ文 中皿」につきまして、「生産地:肥前・有田」、「製作年代:江戸時代後期」としておりますことをお含みおきください。
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<古伊万里への誘い>
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*古伊万里ギャラリー206 伊万里染付二股大根にネズミ文中皿 (平成27年7月1日登載)
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忌わしいネズミが、二股大根にかじりついている。しかも、3匹も、、、(><)
現代人がこの皿の図柄を見た場合、決して、良い感情は抱かないであろう。
しかし、この皿が作られた当時は、大根は豊かな実りと繁栄を象徴する吉祥文として好まれていたし、ネズミは五穀豊穣や子孫繁栄を象徴する吉祥文として好まれていたのである。
また、ネズミが二股大根をかじっている図は、ネズミが大黒様のお使いであることから、大黒様が二股大根を食べて腹痛を治しているというありがたい場面を現している図なのである。
つまり、この皿が作られた時点では、この皿には、大根、ネズミ、大黒様という吉祥文が描かれていたことになる。
現代の感覚は、当時とは随分と乖離してしまっている(~_~;)
江戸時代後期 口径:22.6cm 高台径:13.6cm
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*古伊万里バカ日誌135 古伊万里との対話(二股大根にネズミ文中皿) (平成27年7月1日登載)(平成27年6月筆)
登場人物
主 人 (田舎の平凡なサラリーマン)
ネズミ (伊万里染付二股大根にネズミ文中皿)
・・・・・プロローグ・・・・・
主人は、例によって、主人のところにやってきた順番に従って対話をしようと思ったようで、「押入れ帳」をめくり、そこに記された押入れの場所等の表記に従って今回対話をすべき古伊万里を捜し出し、さっそく対話をはじめた。
主人: 「押入れ帳」の記載事項を読んで気付いたんだが、お前は、我が家に平成22年の7月に来ているんだね。ちょうど5年経つんだね。ほんの1~2年前に買ってきたような気がするんだが・・・・・。月日の経つのは早いものだね。
ネズミ: 光陰矢の如しですね。
この調子でいきますと、私が古参の古伊万里の仲間入りをするのはもうすぐですね。
主人: それはないだろう。人間の過ごす歳月と陶磁器の過ごす歳月とではスパンが違うんじゃないかな。人間の百歳は相当の古参だけれど、陶磁器の百歳は古参とは言えないね。だいたいにおいて、百歳ぐらいじゃ古参の古伊万里どころか、古伊万里にもなれないよ。
ネズミ: ところで、私には大根が描かれていますが、何か意味があるんですか?
主人: 古伊万里には、大根とか人参、蕪といった根菜類が描かれてることが多いね。それらは、豊かな実りとか繁栄を象徴する吉祥文として、古来より愛されきたからだろうね。
ネズミ: また、私にはネズミまで描いてありますよね。しかも、大根を食い荒らしている害獣のように描いてありますよね。いかにも、豊かな実りを象徴する大根を食い荒らす憎たらしい害獣のように描いてありますよね。それに、描写はかなりリアルですよね。こんな文様が描かれていたのでは、人は、私に嫌な感情を抱き、使用してくれなくなるのではないでしょうか・・・・・。
主人: 確かに、現代人の感覚からすればそうだろうね。ネズミは、食物を食い荒らす忌わしい存在としか捉えらえないだろうからね。
でも、お前が作られた江戸時代には、ネズミは、両の頬に種を蓄え、あちこちに種をこぼすので、その様は、あたかも、種蒔きに似ているし、また多産であるため、むしろ、五穀豊穣や子孫繁栄を象徴する吉祥文として愛されていたようだね。また、ネズミは、豊穣を司る大黒様のお使いとされていたので、吉祥文として尊ばれたようだよ。
ネズミ: そうですか。文様は、時代とともに、その意味も変化するんですね。
主人: それに、お前に描かれている、二股大根をネズミがかじっている文様には、もっと面白い意味が隠されているようだね。
ネズミ: どんなことですか。
主人: 「まんが日本昔ばなし」の中に、面白い話があったんだ。その概要は次のようなものだった。
「 昔々ある所に、大黒様という神様がいたそうな。毎年、12月は大根の収穫シーズンで、村人たちは12月9日に「耳あけの日」として、大黒様に豊作を祈願したんだとか。
それを見ていた悪い神様が大黒様の人気に嫉妬し、二人で相談して大黒様を殺す計画をたてたという。
その計画は、「大黒様の大好物の餅を大量に食べさせて腹をはじけさせよう」というものだった。悪い神様たちは、大黒様を自分たちの屋敷に呼び、大量の餅を一人で食べるように強要したとか。
しかし、大黒様は、そんな悪いたくらみなどには気づかず、沢山の餅を一人で平らげ、大満足で帰路についたとのこと。しかし、帰る途中、さすがの大黒様のお腹も餅でパンパンに膨らんで歩けなくなってしまったとか。
そこへ、大根を沢山持った娘が通りかかった。大黒様は「大根を食べれば治るから、少し分けてほしい」とお願いしたとか。しかし、娘は、いくら大黒様でも雇い主の大根を勝手にあげるわけにはいかず、大変に困ってしまった。
ところが運よく、娘は、二股に分かれている「股ワレ大根」を見つけ、一つの股をポキンともぎって大黒様に渡した。これなら大根の数は減らないので、娘が雇い主から怒られる心配もないので・・・・・。
大黒様も安心してもぎった大根を食べ、腹痛も治ったとか。こんなことがあってから、毎年の耳あけの日には、大黒様に「股大根」をお供えするようになったそうな。」
このように、日本昔ばなしの題材になるくらいだから、古来より、二股大根と大黒様との結び付きは強かったんだね。ネズミは大黒様のお使いと言われているので、ネズミが二股大根をかじっている様子は、大黒様が二股大根を食べている様子を現しているわけだね。だから、ネズミが二股大根をかじっている様は、害獣が食物を食い荒らしているという忌わしい光景を描いたものではなく、大黒様が二股大根を食べて病気を治しているというありがたい光景を描いていることになるわけだね。
ネズミ: そうですか。それを聞いて嬉しくなりました。とかく、私達ネズミは、現代人からは忌み嫌われていますものね。
主人: 文様は、先程、お前が言ったように、時代とともに、その描かれた内容の意味は変遷するようだね。美人の基準が時代とともに変遷するようにね・・・・・。
ところで、脱線はさておき、お前には、豊かな実りと繁栄を象徴する大根、五穀豊穣や子孫繁栄を象徴するネズミ、それに、大黒様が二股大根を食べ(ネズミが大黒様のお使いということなので、ネズミが二股大根をかじってるということは、大黒様が二股大根を食べていることを現しているため)、食べ過ぎによる腹痛を治しているというありがたい場面が描いてあるということになるね。
そうであれば、江戸時代には、お前に美味しい料理を山盛りにして「お・も・て・な・し」をすることには、「あなた様の繁栄を祈っております。どうぞ沢山食べ、益々元気になってください。沢山食べても食べ過ぎによる腹痛など起きませんので、安心してめしあがってください。」という意味が隠されていることになるわけだね。
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おめでたなのですね、ネズミも。
先に紹介された皿と造りは似ていますね。
私には、ダミなどいけているように見えるですが、ネズミの表情に少し生気がない?・・・・実は私もどうかと迷う皿を持っています。鳥の絵に納得がいかないのです。また、ブログにアップします。
ただ、ここで紹介されているという事は・・・最初は問題ない伊万里だと思われた訳ですから、なかなかの出来なのかと思いました。
現代感覚とは随分とズレていますよね(~_~;)
先に紹介しました3枚と今回の1枚の計4枚、それに、これから紹介する予定の1枚を合わせた総計5枚の皿は、造りが似ているんです。
しかも、ほとんど同じ時期に、同じような店から出てきました。
そのような事情から、だんだんと、「これは、ちょっと、、、」と思うようになってきたわけです。
これが偽物であったにしても、実に上手で、本歌に迫っているんですよね。
ダミなど上手ですものね(^_^)
私も、「ネズミの表情に少し生気がない」かなと思いました。でも、それに関しましては、伊万里の場合は、江戸前期のものには鳥などにも表情がみられますが、江戸中期以降のものには表情がない場合が多いものですから、そんなものかな~とは思いました。
真贋については、迷い出しますと、なかなか難しいですね。
若いうちは、それを解明してやろうと思い、危険性の高い物も、思いきって、冒険して手に入れていましたが、高齢化に伴い、そのような気力が薄れてきました。
最近では、コレクションの対象も、無難なものに限るようになってきました(~_~;)
遅生さんも、鳥の絵に納得がいかない皿をお持ちですか。出来れば、ご紹介ください(^-^*)
でも、どんどん、同じような皿が引き続いて出てくるようになってきて、「あれっ?」と思うようになってきたわけです(~_~;)
古伊万里の人気が高かった頃、中国で作られたという上手な古伊万里写しなのかな~と、疑問を感じるようになったわけです。
しかし、田舎で、ひっそりとコレクションをしているものですから、本当の中国製の古伊万里写しというものを知らないものですから、いまだにその真贋が分らないわけです(~_~;)
古伊万里写しだとしても、なかなかの出来ですよね(^_^)
ねずみは本物は苦手ですが、こうして文様になっているのは好きです。
どちらも吉祥文様なんですね。
染付は今の時期涼し気でいいですね。
古伊万里等、私は分りませんが、染め付けは好きです(^_-)-☆
ところが、古伊万里には、よく描かれているんです。もっとも、江戸時代も早い頃には登場せず、江戸後期に登場するようですね。
吉祥文なわけですが、当時、大変に喜ばれ、流行った文様なんでしょうね(^-^*)
そのような謂われを知っていれば、ネズミさんも可愛らしく見えてきますし、大黒様のお使いということですと、有りがたくも見えてきますよね(^-^*)
磁器物は上手程新しく見えてきますが、この辺りが難しく手を出しにくいです。しかしながら古陶が好きなので避けて通ることはできません(笑)この様な薄造りの物は平戸にもありますね。磁石は多分どちらも天草土をも調合しているんでしょうか?
そうかといって、避けて通ることができませんものね(笑)。
それで、皆さん、勉強を兼ねて陶片を買っているのかなと思っています。
薄造りのものは平戸にもありますよね。有田でも、だんだんと天草土を混ぜるようになってきますと、素地だけからでは、有田製なのか平戸製なのかわからなくなってきますよね。
しかも、江戸も後期になりますと、全国各地で磁器が焼かれるようになりますので、ますます産地が分らなくなりますよね(~_~;)
そんなことも原因で、私は、あまり江戸後期の伊万里には興味をもっていないんです。避けて通っているのかもしれません(><)