今回は、「色絵 家屋・山水文 香炉」の紹介です。
これは、一昨日の古美術品交換会で競り落としてきた2品のうちの1品です。
少々汚れが見られました。特に内側の汚れが酷かったのですが、2日ほど漂白剤に浸けておきましたら、だいぶ綺麗になりましたので紹介するしだいです。
正面(仮定)
伊万里の場合、早い時期に使用されていた赤には特徴がありますね。ちょっと黒っぽく、地味な赤色です。
もう少し時代が下がってきますと、柿右衛門手に使用されるような明るい赤になってきます。
人の好みはそれぞれですから、柿右衛門手に使用されるような明るい赤が好きという人もいるでしょうが、私はこの地味な赤色が好きです(^_^)
以下、何枚か、この香炉の各面を撮した画像を紹介いたしますので、その地味な赤を堪能してください(^-^*)
正面から右に45度回転させた面
正面から右に90度回転させた面
正面から右に135度回転させた面
正面の裏側面
右側上部の赤色の下層部に酷いひっつき痕が見られます。
正面の裏側面の上部部分の拡大
焼成の際、右側の赤色の下層部付近が他の器物と引っ付いてしまったことが分かります。
この上の2枚の画像を見て、これは酷い疵だな~、これは酷い疵物だから廃棄されるべきではなかったのかな~と思われるかもしれませんが、古伊万里の場合は、そうではないのです。むしろ、古い時代の古伊万里である証拠ともなり、かえって、珍重される面もあります。
以前、2021年12月11日付けで「色絵 角徳利」を紹介した時にも書きましたように、古い伊万里の場合、本焼の際にソゲやヒビ等の多少の窯疵が生じても、それを直ちに不良品として物原に捨ててしまうのではなく、その疵部分に暑く上絵具を塗り、上手にそれらの窯疵を覆い隠して色絵製品として立派に流通させています。ですから、これらの窯疵は、むしろ、長い年月を生き抜いてきた勲章のようなもので、古い伊万里であることの証ともなるのです。
正面の裏側面から右に45度回転させた面
正面から左に90度回転させた面
正面から左に45度回転させた面
上面
内面
底部に布目痕が見られます。
底面
ここにも布目痕が見られます。
生 産 地 : 肥前・有田
製作年代: 江戸時代前期
サ イ ズ : 上部6.4×6.4cm 下部5.5×5.7cm 高さ7.0cm
しかるべき所では、ビックリするような値になりそうですね。
絵がまた良いです。おそらく、中国の楼閣山水図を取り入れたのだと思います。それをグルっと四方にめぐらして、実に雄大です。
ダイナミックなくっつきとバランスがとれてますね。
小さな大作(^.^)
板作りの江戸前期に見られる成形の名品じゃないでしょうか!?
内部の継ぎの部分も参考になります。
布目も良いですね!こういったものがあると本で読んだことありましたが丁寧に写真を上げてくださってすごく勉強になります!
薄い青の部分は染め付けでしょうか?意図の感じられる絵付けで赤の色とのコントラストがとっても良いですね!なんといっても窯傷隠しの色絵部分にすごく説得力を感じます。
良い品を見せていただきありがとうございます。(^^)
過分なるお褒めのコメントをありがとうございます。
ただ、無学なものですから、「香炉」であろうということは分かるのですが、「野香炉」というものがどのようなものなのか分りません(><) お教えいただければ嬉しいです(^_^)
くっつきをうまく利用しているところなど、有名な古九谷の畦道文の角形皿に共通していますよね(^_^)
ダイナミックなくっつきというマイナス要素をプラスに変えていく発想にはビックリしますよね(゚◇゚)
そのためか、多少の窯疵は見逃され、窯疵部分に分厚く上釉を塗って焼き付け、誤魔化して完成させたようですね。
先に紹介しました「色絵 角徳利」などは良い例ですね。
薄い青色は染付です。
ですので、この薄い青色があることを前提に、窯疵をどのように隠して完成させるかを事前に十分に検討し、色の配分を考え、緻密に計算して作っているわけですよね。
ですから、大量生産ではないわけで、世界中にこれ1点したないと言えるわけで、そのように考えますと、嬉しくなりますね(^-^*)
このタイプの伊万里を入手したことがないので、良く判らない点は多いですが
色絵の感じや文様の描き方、傷隠しの絵付けといったことも含め
江戸前期の手のかかった品であることは間違いなさそうです。
私としては、肉厚に成型されていることを初めて知った次第です。
祠に置いて、線香などをたいたと言われています。
美濃古窯では、たまに見かけますが、伊万里では、私は初見です。
筒型と角型があり、いずれにも脚があります。四角型の足は、今回の品のような形式が一般的です。
器の上端も施釉してあり、中には今回の品のように、模様入りのもあります。
屋外を意識したのかどうかわかりませんが、素朴な趣があります。今回の品にも一般的伊万里にはあまり感じられない、独特の風情がありますね。
これも、傷隠しがありましたから、「古い証拠!」「江戸前期間違いなし!」と思って買いました。
板起しで成形する場合、薄い板を張り合わせて作ると、焼成時にへたったり、崩れたりして失敗する確率が高いので、肉厚に成形するのかもしれませんね。
伊万里でも、このような物はたまに見かけるんですよ。ただ、古い物は少ないようですが。
私は、これの他に、1~2点、ちょっと古そうなのを持っています。
なるほど。これら野香炉は、屋外で、祠に置いて、線香などをたくために使用されていたのですか。
このように上手の野香炉が、江戸前期に、どのような祠で使用されていたのか興味が湧きますね(^-^*)
底板との接合では、内側の変形が面白いです。そこ板の布目は内側も外側にもある。これは何故でしょうかと考えます(笑)見所がいっぱい~これは茶人が見れば喜びそうですね。
いま、13パーツを組み立てて作っているとと書かれていましたが、13パーツも使っているのかな~と疑問に感じました。でも、よく考えてみましたら、確かに、足の部分に4パーツ使っていますから、合計で13パーツになりますね(^-^*)
小さなものですし、パーツ数も多いですから、作るのは、意外と技術的に難しいのでしょうね。
padaさんも、底板の内側にも布目があることに気付きましたか。これ、何故なのでしょうね、、、。作陶経験のあるpadaさんにも分りませんか。
小さなものなのに、良くみると見所がいっぱいあり、面白いです、、、(^_^)