今回は、「伊万里 色絵 四君子文角徳利」の紹介です。
この角徳利は、昭和56年に(今から39年前に)買ってきたものです。
四君子の梅の図の面
四君子の竹の図の面
四君子の蘭の図の面
四君子の菊の図の面
上面
底面
製作年代: 江戸時代中期
サ イ ズ : 高さ;20.9cm
なお、この角徳利については、今では止めてしまっている拙ホームページの「古伊万里への誘い」で既に紹介していますので、次にそれを紹介し、この角徳利の紹介に代えさせていただきます。
<古伊万里への誘い>
*古伊万里バカ日誌30:古伊万里との対話(四君子文の角徳利)(平成17年9月筆)
登場人物
主 人 (平凡な田舎のサラリーマン)
角 男 (古伊万里様式色絵窓四君子文角徳利)
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梅の図の面 | 竹の図の面 | 蘭の図の面 | 菊の図の面 |
・・・・・プロローグ・・・・・
暑さ寒さも彼岸までというが、彼岸を迎え、暑さも和らぎ、めっきり過ごし易くなってきた。
そうしたなか、主人は、暫くぶりで、ゆったりと古伊万里と対話をしたくなり、押入帳のページをめくりはじめた。主人は、最近、柄にもなく、「古事記」などを読んでいるせいか(勿論、漢文の素養など全くないので、現代文で極めて易しく書き直したものを読んでいるのではあるが。)、なるべく古いものと対話したくなったようである。もっとも、主人の思っている、なるべく古いものの意味は、物そのものが古いということではなく、主人が買い求めた順番の古いものという意味である。それで、押入帳の初めのページのほうから眺めはじめた。
主人:「押入帳」を見ていると、いろんなことが思い出されるな~。中には、全く記憶になく、「ハテ、どんな物だったのかな~?」と思って現物を引っ張り出してみたら、「なんだ、こんなガラクタか!」と思い知らされるものがあるね。 (ほとんどが「ガラクタ」に近いのに、よく言うよとの陰の声あり!)
角男:私もその中の一つですか。
主人:う~ん。そうだな。そうであるような、そうでないようなというところかな。
でも、「押入帳」を見ただけで、現物を見なくとも、すぐ思い出せたよ!
お前が我が家に来たのは昭和56年だから、もう24年も前になる。約四半世紀だ。その後ほとんど見てないけど、すぐに思い出した。角徳利というのは我が家にも少ないから印象強いのかな~。
角男:そうですか。私はガラクタに近いんですか。 (意気消沈)
でも、ご主人様ほどにお目の高い方が、どうして私のようなガラクタをお求めになったんですか。 (ミエミエのお世辞)
主人:うん、うん。(得意満面) その頃ね、私は角徳利を一つも持ってなかったんで、是非一つは欲しいと思ってたんだ。
今ではもうそのお店もなくなってしまったが、その頃、時々行っていた骨董屋に、「角徳利」が欲しいな~。」と言ったことがあるんだ。そしたら、その骨董屋のオヤジはそれを覚えてくれていて、或る日、電話をかけてきたんだ。「角徳利が入荷しましたから見に来ませんか~。」ってね。
それで、さっそく、いそいそと出向いたんだが、見た瞬間、ちょっとがっかりしたんだよね。
角男:どうしてですか。
主人:見てのとおり、お前の金彩や色絵が使用擦れで、相当薄くなっているだろう。染付の色だけが異様に目立つんだよね。全体の色のバランスが悪くなってるんだよ。
でも、値段はまあまあだった。使用擦れのないチャントしたものなら、私なんかに買えっこないものなんだから、「我慢するか!」と思ったわけよ。それに、骨董屋のオヤジが、わざわざ私のために捜してきてくれたんだしな~とも思ったしね。ま、いうなれば、義理買いみたいなものかな~。
角男:義理買いなどということはよくあることなんですか。
主人:私の場合は、しょっちゅうはないけど、時々はあるね。
しょっちゅうお邪魔してお茶などをいただいていると、たまには買ってやらないと悪いな~なんて思うじゃない。
でもね、義理買いしたものにあまり良い物はないようだね。だってそうだろう。「良いな~」と感動して買ったものではないんだものね。そうはいっても、義理買いしたものなんだけれど、それが後になってだんだん良く見えてくるものもあるね。例えば、「これは良い物です。珍しいものです。めったに出てきません買っておいたほうがいいですよ!」と薦められて、その時点では自分としては気に入らなかったんだが、「せっかく骨董屋が薦めてくれるんだから、義理で買っとくか。」という気持で買った物が、後になって、どんどん良い物に見えてくるという場合もあるね。
角男:義理買いされた私の場合は、後になった今でも良くは見えないわけですね?
主人:う~ん。そうだな。またしても、そうであるような、そうでないようなというところかな。
使用擦れで色が薄くなってしまったものはどうしようもないものね。やはり、「良いな~」とは思えないよね。もっとも、再度焼付けて復元することも出来るだろうけれど、それでは古格が失われるしね。
でも、この位の大きさの角徳利は少なくなってきた。大金を払えばべつだが、なかなか手に入らなくなってきたね。そういう点では希少価値が出てきたかな~というところかな。
今日は、お前と対話するんじゃなくて、お前の悪口ばかりを並べ立てることになってしまった。すまなかった。今度対話する時は希代の名品に見えることを祈ってるよ。
*古伊万里ギャラリー91:古伊万里様式色絵窓四君子文角徳利 (平成17年10月1日登載)
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梅の図の面 | 竹の図の面 |
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蘭の図の面 | 菊の図の面 |
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肩の部分の金彩はほぼ消失 |
なんともネボケタ角徳利である。金彩や色絵が使用擦れで随分と飛んでしまっているからだ。その点、古伊万里ギャラリー41の角徳利の方には色がハッキリ残っているせいもあってインパクトがある。
この角徳利を手に入れてから10年程後に古伊万里ギャラリー41の角徳利を手に入れたわけであるが、それからは古伊万里ギャラリー41の角徳利のほうだけを手元に置き、この角徳利のほうは押入に入れたままで忘れてしまった。
今、久しぶりに両者を並べて見てみると、この角徳利のほうが古伊万里ギャラリー41の角徳利より著しく劣るというものでもなさそうである。
古伊万里ギャラリー41のほうは、「梅と竹」、「蘭と菊」との組み合わせで四君子を描いているが、こちらのほうは、窓の中にそれぞれ梅、竹、蘭、菊を独立させて描いている。色擦れがなければ、こちらのほうがインパクトが強いかもしれない。
製作された当時は、目にもあでやかで、桜花爛漫の下の宴の席では主役を演じていたことであろう。どうか、擦れで失った彩色を心の目で補い、当時の情景を思い浮かべながら鑑賞していただきたい。
江戸時代中期 高さ:20.9cm
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注:上記の「古伊万里ギャラリー41の角徳利」は、まだ、このブログには未登場です。いずれ登場させる予定ですが、それまでお待ちください。
植物の描きかたもしゃれています。
薄れている所は、想像力をかきたてられます。
袋物の擦れは、伊万里の勲章(^.^)
薄れている所は、想像して鑑賞するほかありませんね(^_^)
「袋物の擦れは、伊万里の勲章」ですか。ありがとうございます(^-^*)
ワタシの場合、袋物=高い、というイメージが出来上がっているせいか
こういった魅力的な品を遠ざけてしまっています。
色絵のスレはあるものの、なんというか元禄あたりの喧騒が過ぎ去ったあとの時代の
「もののあはれ」みたいなものが感じられます。
なるほど。言い得て妙ですね(^_^)
ピッタリの表現ですね。
私も、買う時は、「古伊万里への誘い」でも書いていますように、色絵の擦れがひどく、ちょっと躊躇したんですが、義理のようなものが働いて買いました。
でも、やはり、物足りなく感じていましたので、その後、チャンスがあって、10年程後に古伊万里ギャラリー41の角徳利を手に入れたわけです(^_^;