ウチのすぐ近く,ほんの100m程離れた所に日用雑貨品全般を扱う大規模小売店舗がある(名前は特に秘す)。それはちょうど私共一家が当地に引っ越してきた約5年前に,ほぼ時期を同じくして開店した店である(いや別に隠すほどのモノでもないが)。広さは,そうさな,売場面積にして約1,500平方メートル前後はあろうか。置いてある商品の種類や陳列の仕方などは決して魅力的とは言い難いが,店側に言わせれば,とにかく値段が安い!のがウリなようで,いわゆるノーブランド的雑貨品をわりと無造作に数多く置いている店である(やっぱり匿名にしておこう)。
ところで,この店がまた見事なまでに客の入りが悪い。5年前も現在も,その間もずーっと悪い。例えば平日の午後早目の時間帯など,あるいは土曜・日曜でも夜7時過ぎなどに私が買い物に行くと,大体が客よりも店員の方が多い(店員3~4人に対して客1~2人,場合によっては客おらず)。その店員もパートのオバチャンと若いオニイチャンで,特にオニイチャンの方は何となくダラリンとした態度で活気がなく,客に対しては愛想なく,しばしばパート同士で無駄話をしていたりする。
同じく比較的近所に3軒の強力な競合店,中規模スーパー(スーパーK)と生協(K生協)とドラッグストア(Cスーパードラッグ)があることを割り引いても,当該店の全面的苦戦,一人負け状態は明らかである。これじゃあ近々店を閉めざるを得ないだろうなー,としばらく前から思っていたのであるが,これが結構シブトク持ちこたえていた。チェーン店という事情なども影響しているのだろう。それにしても駐車場40~50台分がいつもガラーンとしているのは実にモッタイナイ眺めであった。
ところがここにきて事態は急展開を見せた。売り場の約1/4をパーティションで仕切り,そこで新たに別の商売を始めることになったのだ。なななんと,ビリヤード場である(又貸しではなく営業品目拡大のようだ)。台が19台,料金は10分100円。営業時間は平日が正午~深夜1時,金曜・土曜が正午~翌朝5時までという。今までは9時半~19時半の健全青空営業であったことからすると何という変わりようか。これによってこの界隈の人の流れが今後どのように変わるか,容易に想像がつこうというものだ。
一応の理屈を申し述べておくと,都市計画法に基づくこの付近一帯の用途地域区分は,ウチの周囲は第一種低層住居専用地域(低層住宅に係る良好な住居の環境を保護をするため定める地域)であるが,表通りを隔てた当該店のある場所は第二種中高層住居専用地域(主として中高層住宅地に係る良好な住居の環境を保護しつつ,中規模店舗等の立地を認める地域)に指定されている。建築基準法では,第二種中高層住居専用地域においては「マージャン屋,パチンコ屋,射的場,ボーリング場,スケート場,カラオケボックス」などの建築は禁止されているが,例外措置として「特定行政庁が第二種中高層住居専用地域における良好な住居の環境を害するおそれがないと認め,又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては,この限りでない」とされている。さて,本来ビリヤード場ってのはボーリング場,射的場などと同類の遊戯施設だと思われるが,当該店の場合,市当局により『良好な住居の環境を害する恐れがない』と判断されたのですかね。あるいは『公益上やむを得ない』と判断されたのですかね(ウラで何かが動いたかな?) しかしそれにしても,やっぱりビリヤード場はないでしょう。ファミリーで楽しんで下さい,だって? ヲイヲイ,炎チャレのハイパーホッケーじゃないんだから。ったく,どういう神経じゃ。ブツブツ。
以上のような一地方生活圏におけるささやかな,しかしドラスティックな変化は,今日の日本経済の不活性,ドンヅマリ状態を象徴している出来事なのだろうか? 否! 単なる一企業のマーケティングの甘さ,商売下手,経営理念の欠如が現れただけに過ぎまい。経営者はホントは安直にパチンコ屋でもやりたかったんじゃなかろうか? 集客力,集金力という点ではもっとも速効性のある商売だろうから。しかし,さすがにそれは都市計画法に照らして無理なので,ビリヤード屋あたりで妥協したんじゃなかろうか。表向きは歴史と伝統ある立派な紳士のゲームないしスポーツ(ほんとか?),誰恥じるところのない健全娯楽であるからして,地域の皆さんにも比較的問題なく受け入れていただけそうだし,何よりも小銭をたくさん持っている若いニーチャン・ネーチャンたちには受けがよさそうだ。そうやって人が集まってくれば,本家のスーパーの方も少しは活気づくかも知れない。なんてね。
でもしかし,アタリマエのことを言わせていただければ,本来,お店(マーケット)というのは他でもない,地域に望まれ,地域に依存し,地域とともに育まれてゆくものではないか。その存立の可否は,“時代”や“世相”などではなく何よりもまず“地域”に委ねられる。では,地域が求めるお店とは何か? それは,私たちの日々の生活と密接に結びつき,生活に利便性をもたらし,さらには生活を豊かにする手段としての物資・情報などの交易場所,そんなお店であろう。これまたアタリマエのことだ。その場合,業態は何であれ,快適な店舗と有能な店員と魅力ある商品とは三位一体のものである。ハードとソフトのバランス感覚,商品も店員も常に“生き生きして”いなければならない。一方,地域住民たる我々お客の方も,そういった店を受け入れ,盛り上げ,啓蒙し,場合によっては逆に断固として店の在り方を否定する義務と権利がある。そんなこた,そこらのコンビニの繁盛振りを見ればすぐ判ることでしょうが。立地条件なんてものは,実はほとんど二の次,三の次なんですよ,きっと。(あれれ,何やら話の展開がこんがらかってきたぞ)
そんなわけで(何がソンナワケじゃ),オープン2日目の昨夕,買い物ついでにビリヤードの方を興味本位でちょいと覗いてみた。客はおよそ10組,30名ほどおり,一見してなかなか賑やかで繁盛している雰囲気が伺えた(もっとも開店2日目でしかも日曜日,当然といえば当然か)。しかし,ここであえて予測しておくが,このビリヤード場は結局のところ流行らないであろう。当地には定着しないであろう。今,ビリヤードが静かなブームである,などというヨタ記事が雑誌等のコピーに時折見出される今日この頃,当初はハヤリ病に物珍しさも手伝って若い男女のタマリ場として賑わうかも知れぬ。が,時とともに彼ら彼女らの足は次第に遠のき,やがては閑古鳥が淋しく鳴き渡るばかりとなろう。ビリヤードという遊戯自体が,それほど大衆(と敢えて言っておくが)を引きつけるメジャーなゲームであるとはとても思われないからだ。大衆はいつだって気まぐれで,薄情で,根性なしである。多分,1年も持つまいぞ。
ああ,何やらまたグダグダと書き過ぎてしまった。年度末の超多忙期だというに(ガックリ)。
ところで,この店がまた見事なまでに客の入りが悪い。5年前も現在も,その間もずーっと悪い。例えば平日の午後早目の時間帯など,あるいは土曜・日曜でも夜7時過ぎなどに私が買い物に行くと,大体が客よりも店員の方が多い(店員3~4人に対して客1~2人,場合によっては客おらず)。その店員もパートのオバチャンと若いオニイチャンで,特にオニイチャンの方は何となくダラリンとした態度で活気がなく,客に対しては愛想なく,しばしばパート同士で無駄話をしていたりする。
同じく比較的近所に3軒の強力な競合店,中規模スーパー(スーパーK)と生協(K生協)とドラッグストア(Cスーパードラッグ)があることを割り引いても,当該店の全面的苦戦,一人負け状態は明らかである。これじゃあ近々店を閉めざるを得ないだろうなー,としばらく前から思っていたのであるが,これが結構シブトク持ちこたえていた。チェーン店という事情なども影響しているのだろう。それにしても駐車場40~50台分がいつもガラーンとしているのは実にモッタイナイ眺めであった。
ところがここにきて事態は急展開を見せた。売り場の約1/4をパーティションで仕切り,そこで新たに別の商売を始めることになったのだ。なななんと,ビリヤード場である(又貸しではなく営業品目拡大のようだ)。台が19台,料金は10分100円。営業時間は平日が正午~深夜1時,金曜・土曜が正午~翌朝5時までという。今までは9時半~19時半の健全青空営業であったことからすると何という変わりようか。これによってこの界隈の人の流れが今後どのように変わるか,容易に想像がつこうというものだ。
一応の理屈を申し述べておくと,都市計画法に基づくこの付近一帯の用途地域区分は,ウチの周囲は第一種低層住居専用地域(低層住宅に係る良好な住居の環境を保護をするため定める地域)であるが,表通りを隔てた当該店のある場所は第二種中高層住居専用地域(主として中高層住宅地に係る良好な住居の環境を保護しつつ,中規模店舗等の立地を認める地域)に指定されている。建築基準法では,第二種中高層住居専用地域においては「マージャン屋,パチンコ屋,射的場,ボーリング場,スケート場,カラオケボックス」などの建築は禁止されているが,例外措置として「特定行政庁が第二種中高層住居専用地域における良好な住居の環境を害するおそれがないと認め,又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては,この限りでない」とされている。さて,本来ビリヤード場ってのはボーリング場,射的場などと同類の遊戯施設だと思われるが,当該店の場合,市当局により『良好な住居の環境を害する恐れがない』と判断されたのですかね。あるいは『公益上やむを得ない』と判断されたのですかね(ウラで何かが動いたかな?) しかしそれにしても,やっぱりビリヤード場はないでしょう。ファミリーで楽しんで下さい,だって? ヲイヲイ,炎チャレのハイパーホッケーじゃないんだから。ったく,どういう神経じゃ。ブツブツ。
以上のような一地方生活圏におけるささやかな,しかしドラスティックな変化は,今日の日本経済の不活性,ドンヅマリ状態を象徴している出来事なのだろうか? 否! 単なる一企業のマーケティングの甘さ,商売下手,経営理念の欠如が現れただけに過ぎまい。経営者はホントは安直にパチンコ屋でもやりたかったんじゃなかろうか? 集客力,集金力という点ではもっとも速効性のある商売だろうから。しかし,さすがにそれは都市計画法に照らして無理なので,ビリヤード屋あたりで妥協したんじゃなかろうか。表向きは歴史と伝統ある立派な紳士のゲームないしスポーツ(ほんとか?),誰恥じるところのない健全娯楽であるからして,地域の皆さんにも比較的問題なく受け入れていただけそうだし,何よりも小銭をたくさん持っている若いニーチャン・ネーチャンたちには受けがよさそうだ。そうやって人が集まってくれば,本家のスーパーの方も少しは活気づくかも知れない。なんてね。
でもしかし,アタリマエのことを言わせていただければ,本来,お店(マーケット)というのは他でもない,地域に望まれ,地域に依存し,地域とともに育まれてゆくものではないか。その存立の可否は,“時代”や“世相”などではなく何よりもまず“地域”に委ねられる。では,地域が求めるお店とは何か? それは,私たちの日々の生活と密接に結びつき,生活に利便性をもたらし,さらには生活を豊かにする手段としての物資・情報などの交易場所,そんなお店であろう。これまたアタリマエのことだ。その場合,業態は何であれ,快適な店舗と有能な店員と魅力ある商品とは三位一体のものである。ハードとソフトのバランス感覚,商品も店員も常に“生き生きして”いなければならない。一方,地域住民たる我々お客の方も,そういった店を受け入れ,盛り上げ,啓蒙し,場合によっては逆に断固として店の在り方を否定する義務と権利がある。そんなこた,そこらのコンビニの繁盛振りを見ればすぐ判ることでしょうが。立地条件なんてものは,実はほとんど二の次,三の次なんですよ,きっと。(あれれ,何やら話の展開がこんがらかってきたぞ)
そんなわけで(何がソンナワケじゃ),オープン2日目の昨夕,買い物ついでにビリヤードの方を興味本位でちょいと覗いてみた。客はおよそ10組,30名ほどおり,一見してなかなか賑やかで繁盛している雰囲気が伺えた(もっとも開店2日目でしかも日曜日,当然といえば当然か)。しかし,ここであえて予測しておくが,このビリヤード場は結局のところ流行らないであろう。当地には定着しないであろう。今,ビリヤードが静かなブームである,などというヨタ記事が雑誌等のコピーに時折見出される今日この頃,当初はハヤリ病に物珍しさも手伝って若い男女のタマリ場として賑わうかも知れぬ。が,時とともに彼ら彼女らの足は次第に遠のき,やがては閑古鳥が淋しく鳴き渡るばかりとなろう。ビリヤードという遊戯自体が,それほど大衆(と敢えて言っておくが)を引きつけるメジャーなゲームであるとはとても思われないからだ。大衆はいつだって気まぐれで,薄情で,根性なしである。多分,1年も持つまいぞ。
ああ,何やらまたグダグダと書き過ぎてしまった。年度末の超多忙期だというに(ガックリ)。