しばらく以前から我が家の納戸の片隅でホコリをかぶって眠っていた『ミニ四駆のコース』を,来る11月3日に水無川河川敷で行われる《市民の日》のフリーマーケットに出してしまうことに決めた。振り返ればそれは3年前のクリスマス,タカシがサンタさんからプレゼントされた当時としてはとびきりのオモチャで,田宮模型純製品のなかなか立派なコースである。しかし如何せん場所ふさぎのビッッグサイズであり,「常設コース」を設定できるほどの広い家に住まっている身ではないゆえ,遊び終わって片づけ,また遊ぶときに組み立てる,その作業が大変メンドーであった。その後,ポケモンの隆盛とともにミニ四駆は子供らの領分から徐々に縁遠くなってゆき,やがて忘れ去られて納戸の奥に仕舞われる運命を辿ることになった。それでも人に譲ったり捨てたりしなかったのは,要するに差し上げたり捨てたりすることすらメンドーだったからにすぎない。
そういう次第で昨晩,『ミニ四駆お別れ会』の最終レースを行うことにした。ほとんど1年振りくらいであろうか。二階の和室でコースを組み立て,もうボロボロになりながらもかろうじて残っていた数台のマシンをオモチャ箱の奥から引っぱり出してきて新しい電池を入れ,それからタカシとアキラでマッチレースを開始した。レディース,ゴー!
最初はそれでも昔を彷彿とさせるほどに興奮し,手に汗握るレースがしばし展開された。しかし,何度も繰り返し行っていると,レース自体はしごく単純なものであるゆえ,やがて,もういいか,という気になってしまう。タカシもその思いは同じであったようで,コースを売りに出すことにまったく異論を唱えなかった。むしろ,マシンの方もみんな捨てちゃおうよ,などと付け加えた。
ところがアキラの方は,意外なことにコースを売ってしまうことに頑として反対した。久しぶりに遊んだミニ四駆レースがよっぽど面白かったらしい。売らないで,売らないで,としきりに主張し「ねー,いいでしょ?お願いだから!」と何度も繰り返す。
でもね,アキラ。結局またすぐに飽きちゃって,ゴミみたいになって,納戸の奥に仕舞ったきりになっちゃうと思うよ。今は他にもパソコンだとかニンテンドーだとか,ブロックだとかシマジロウの付録だとか絵本だとか,アキラがオモシロイと思う遊びが沢山あるんだし,それにアキラももう大きくなったんだから,オニイチャンみたいに自分でいろんなゲームを作ることだって出来ると思うし,などと懇々と言い聞かせるが,そもそも父の説得などに耳を傾けるアキラではない。結局「いいでしょ?お願いだから!」の熱意に負けて,今回フリーマーケットに出すことは止めにした。ただし,交換条件として以下の3点を提示した。
(1) コースは部屋のなかに出しっぱなしにせず,遊び終わったら必ず片づけること
(2) ミニ四駆コースをとっておく代わり,同じく納戸の隅にしまってある幼児用の『大きな汽車(木製)』は,どこかの小さな子(1~2才)にあげること
(3) 同じく,ガレージの隅に置いてあるもうボロボロになってしまった『三輪車』は,ゴミとして捨てること
「うん,いいよ」と,いつもの軽口で即座に返事したアキラであるが,さてさて,本当に守れるのかな?
(例のごとく,一瞬よぎる不安)
そういう次第で昨晩,『ミニ四駆お別れ会』の最終レースを行うことにした。ほとんど1年振りくらいであろうか。二階の和室でコースを組み立て,もうボロボロになりながらもかろうじて残っていた数台のマシンをオモチャ箱の奥から引っぱり出してきて新しい電池を入れ,それからタカシとアキラでマッチレースを開始した。レディース,ゴー!
最初はそれでも昔を彷彿とさせるほどに興奮し,手に汗握るレースがしばし展開された。しかし,何度も繰り返し行っていると,レース自体はしごく単純なものであるゆえ,やがて,もういいか,という気になってしまう。タカシもその思いは同じであったようで,コースを売りに出すことにまったく異論を唱えなかった。むしろ,マシンの方もみんな捨てちゃおうよ,などと付け加えた。
ところがアキラの方は,意外なことにコースを売ってしまうことに頑として反対した。久しぶりに遊んだミニ四駆レースがよっぽど面白かったらしい。売らないで,売らないで,としきりに主張し「ねー,いいでしょ?お願いだから!」と何度も繰り返す。
でもね,アキラ。結局またすぐに飽きちゃって,ゴミみたいになって,納戸の奥に仕舞ったきりになっちゃうと思うよ。今は他にもパソコンだとかニンテンドーだとか,ブロックだとかシマジロウの付録だとか絵本だとか,アキラがオモシロイと思う遊びが沢山あるんだし,それにアキラももう大きくなったんだから,オニイチャンみたいに自分でいろんなゲームを作ることだって出来ると思うし,などと懇々と言い聞かせるが,そもそも父の説得などに耳を傾けるアキラではない。結局「いいでしょ?お願いだから!」の熱意に負けて,今回フリーマーケットに出すことは止めにした。ただし,交換条件として以下の3点を提示した。
(1) コースは部屋のなかに出しっぱなしにせず,遊び終わったら必ず片づけること
(2) ミニ四駆コースをとっておく代わり,同じく納戸の隅にしまってある幼児用の『大きな汽車(木製)』は,どこかの小さな子(1~2才)にあげること
(3) 同じく,ガレージの隅に置いてあるもうボロボロになってしまった『三輪車』は,ゴミとして捨てること
「うん,いいよ」と,いつもの軽口で即座に返事したアキラであるが,さてさて,本当に守れるのかな?
(例のごとく,一瞬よぎる不安)